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第二章
いざダンジョンで実戦訓練!6
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緊張が解けて一時的に力が抜けただけでルフォンは消耗しきったわけではない。
「ルフォン、下がっていろ」
ルフォンの武器であるナイフは2本ともホワイトラインベアの頭に刺さったままである。
多少の疲労もしているし武器もないのでルフォンを下がらせる。
「こいつ、不死かよ……」
糸でつられた操り人形を思い出した。
上から何かで引っ張られでもしているかのように不自然な動きでホワイトラインベアは起き上がった。
そのままゆっくりと立ち上がり、何も捉えていないような濁った目でリュードを見据える。
「頭を潰して死なないのなら細切れ……にでも…………」
剣を抜いてどうするか思案するリュードの前でホワイトラインベアが突如として倒れた。
まるで糸が切れたように。
「いったい……何なんだ」
足の先からホワイトラインベアが魔力になって消えていく。
気味の悪い謎を残してホワイトラインベアは消えてしまい、ルフォンのナイフがカランと音を立てて床に落ちた。
ちゃんとホワイトラインベアが消え去ったので今度こそこれで終わりだと言える。
ボスが倒されたことを察知したように重たい音を立てて扉が開いた。
「……出ようか」
薄気味悪いこの場所に長くいたくない。
竜人化を解いたリュードが2人に声をかける。
また扉が閉まってしまうかもしれないのでさっさとボス部屋を出ようとした。
「た、たすけてくれ!」
扉の向こうから緊迫した声が聞こえて緊張が高まる。
リュードが剣を構えて先に扉から出てルフォンとエミナも続く。
「くっ、みんな耐えるんだ! もう少しで教師たちも来てくれるはずだから!」
声の方に行ってみるとサンセールと仲間たちがデカいカマキリ2匹と戦っていた。
サンセールが1匹を引き受けて、仲間たちでもう1匹と戦っている。
なかなか頑張っていると評価してもいいけれど、状況はサンセールたちの方がやや押され気味だった。
このまま放っておけばそのうちサンセールか仲間の1人かがやられて一気に劣勢になるとリュードは見ていて思った。
決してサンセールたちが悪いのでもない。
カマキリは狂ったようにカマを振り回していてあれでは戦うのも厳しい。
「エミナ、あっちの1匹を頼めるか?」
「はい、分かりました」
幸いカマキリはリュードたちに気づいていない。
ならば奇襲をかけるチャンスである。
「エミナ、今だ!」
「いけっ、ファイヤーボール!」
「サンセール、やれ!」
「な、分かった!」
エミナがサンセールと対峙するカマキリの背中に炎の球をぶつける。
羽が燃えて叫び声を上げるカマキリの懐に入り込み、サンセールがトドメをさした。
キスズにはあっさりやられていたけれどサンセールもキスズに挑戦するだけの腕に覚えはあったのである。
リュードはその横をすり抜けてもう1匹のカマキリのところに駆け寄る。
「こっちだ!」
リュードは一気に距離を詰めるとカマキリの両手のカマを素早く切り落とす。
そのまま胴体も真っ二つに切って戦いは終わりとなった。
しっかりとカマキリの死体が消えることを確認してから剣を収める。
何度も起き上がってくるようなゾンビ化はやはり異常な現象だったようだ。
しかしカマキリの興奮具合や狭い通路に2匹もいたことを考えると異常さはある。
「ありがとう、助かった」
リュードたちの後発組として入ってきていたのはサンセールたちだった。
まだ上層にいたサンセールたちはダンジョンの再構築で運が悪くボス部屋の前まで運ばれてきてしまっていた。
ボス部屋は閉まっているし異常事態に危険を覚えたのでダンジョンを脱出しようとしたところいきなり魔物が現れて挟み撃ちにされてしまった。
中層相当の敵になるカマキリだったのでなんとかサンセールたちでも持ち堪えられた。
それでも痛みを恐れない異常な激しい攻撃と広くない通路での挟み撃ちに苦戦を強いられていた。
「怪我はないか?」
「僕たちは平気だけど……うん、ちょっと待ってくれ」
そう言うとサンセールは荷物を漁り出した。
「これ、お礼ではないけど是非使ってくれないか」
「服?」
「見たところ僕たちよりも君の格好の方がひどいじゃないか」
言われてみればそうである。
竜人化した影響で服はビリビリに破けてしまっていた。
管理された訓練下だし竜人化するつもりはなかったので替えの服も持ってきていない。
ボロ切れとなってしまった服をまとっているリュードを見かねたサンセールが自分の替えをリュードに渡した。
「あの、すまなかった!」
サンセールも別に小柄じゃないがリュードには及ばない。
少し小さいななんて思いながら服に袖を通しているとサンセールがリュードに頭を下げた。
「僕は君のことを見誤っていた」
何のことか分からず苦い顔をするリュード。
「ルフォンの可愛さと君の顔に嫉妬して色々言ってしまったこと謝罪する。どうか許してほしい」
どうして自分に関する悪い噂が流れているのかようやくリュードは理解した。
知っていたらどさくさに紛れて蹴りでも入れてやったところだがもう謝罪されてしまったこと。
リュードにとっては今知ったことだが相手にとっては今終わったことなのだ。
ここで蒸し返して文句を言ってはリュードが度量の狭いやつになってしまう。
「……分かった。許すよ」
しぶしぶ許す。こうなったら早く忘れてしまう方が賢いと言うものだ。
服ももらったのだ、これでおあいこということにしよう。
拭い切れないモヤモヤを胸にリュードは1つ大人になって笑顔を作った。
「おーい、誰かいるかー!」
サンセールたちと共にダンジョンの脱出を目指す。
少し登って下層から中層ぐらいに入ってきたぐらいでキスズや救助に来た他の冒険者と合流することができた。
そのあとは特に問題もなくリュードたちはダンジョンから脱出した。
「ルフォン、下がっていろ」
ルフォンの武器であるナイフは2本ともホワイトラインベアの頭に刺さったままである。
多少の疲労もしているし武器もないのでルフォンを下がらせる。
「こいつ、不死かよ……」
糸でつられた操り人形を思い出した。
上から何かで引っ張られでもしているかのように不自然な動きでホワイトラインベアは起き上がった。
そのままゆっくりと立ち上がり、何も捉えていないような濁った目でリュードを見据える。
「頭を潰して死なないのなら細切れ……にでも…………」
剣を抜いてどうするか思案するリュードの前でホワイトラインベアが突如として倒れた。
まるで糸が切れたように。
「いったい……何なんだ」
足の先からホワイトラインベアが魔力になって消えていく。
気味の悪い謎を残してホワイトラインベアは消えてしまい、ルフォンのナイフがカランと音を立てて床に落ちた。
ちゃんとホワイトラインベアが消え去ったので今度こそこれで終わりだと言える。
ボスが倒されたことを察知したように重たい音を立てて扉が開いた。
「……出ようか」
薄気味悪いこの場所に長くいたくない。
竜人化を解いたリュードが2人に声をかける。
また扉が閉まってしまうかもしれないのでさっさとボス部屋を出ようとした。
「た、たすけてくれ!」
扉の向こうから緊迫した声が聞こえて緊張が高まる。
リュードが剣を構えて先に扉から出てルフォンとエミナも続く。
「くっ、みんな耐えるんだ! もう少しで教師たちも来てくれるはずだから!」
声の方に行ってみるとサンセールと仲間たちがデカいカマキリ2匹と戦っていた。
サンセールが1匹を引き受けて、仲間たちでもう1匹と戦っている。
なかなか頑張っていると評価してもいいけれど、状況はサンセールたちの方がやや押され気味だった。
このまま放っておけばそのうちサンセールか仲間の1人かがやられて一気に劣勢になるとリュードは見ていて思った。
決してサンセールたちが悪いのでもない。
カマキリは狂ったようにカマを振り回していてあれでは戦うのも厳しい。
「エミナ、あっちの1匹を頼めるか?」
「はい、分かりました」
幸いカマキリはリュードたちに気づいていない。
ならば奇襲をかけるチャンスである。
「エミナ、今だ!」
「いけっ、ファイヤーボール!」
「サンセール、やれ!」
「な、分かった!」
エミナがサンセールと対峙するカマキリの背中に炎の球をぶつける。
羽が燃えて叫び声を上げるカマキリの懐に入り込み、サンセールがトドメをさした。
キスズにはあっさりやられていたけれどサンセールもキスズに挑戦するだけの腕に覚えはあったのである。
リュードはその横をすり抜けてもう1匹のカマキリのところに駆け寄る。
「こっちだ!」
リュードは一気に距離を詰めるとカマキリの両手のカマを素早く切り落とす。
そのまま胴体も真っ二つに切って戦いは終わりとなった。
しっかりとカマキリの死体が消えることを確認してから剣を収める。
何度も起き上がってくるようなゾンビ化はやはり異常な現象だったようだ。
しかしカマキリの興奮具合や狭い通路に2匹もいたことを考えると異常さはある。
「ありがとう、助かった」
リュードたちの後発組として入ってきていたのはサンセールたちだった。
まだ上層にいたサンセールたちはダンジョンの再構築で運が悪くボス部屋の前まで運ばれてきてしまっていた。
ボス部屋は閉まっているし異常事態に危険を覚えたのでダンジョンを脱出しようとしたところいきなり魔物が現れて挟み撃ちにされてしまった。
中層相当の敵になるカマキリだったのでなんとかサンセールたちでも持ち堪えられた。
それでも痛みを恐れない異常な激しい攻撃と広くない通路での挟み撃ちに苦戦を強いられていた。
「怪我はないか?」
「僕たちは平気だけど……うん、ちょっと待ってくれ」
そう言うとサンセールは荷物を漁り出した。
「これ、お礼ではないけど是非使ってくれないか」
「服?」
「見たところ僕たちよりも君の格好の方がひどいじゃないか」
言われてみればそうである。
竜人化した影響で服はビリビリに破けてしまっていた。
管理された訓練下だし竜人化するつもりはなかったので替えの服も持ってきていない。
ボロ切れとなってしまった服をまとっているリュードを見かねたサンセールが自分の替えをリュードに渡した。
「あの、すまなかった!」
サンセールも別に小柄じゃないがリュードには及ばない。
少し小さいななんて思いながら服に袖を通しているとサンセールがリュードに頭を下げた。
「僕は君のことを見誤っていた」
何のことか分からず苦い顔をするリュード。
「ルフォンの可愛さと君の顔に嫉妬して色々言ってしまったこと謝罪する。どうか許してほしい」
どうして自分に関する悪い噂が流れているのかようやくリュードは理解した。
知っていたらどさくさに紛れて蹴りでも入れてやったところだがもう謝罪されてしまったこと。
リュードにとっては今知ったことだが相手にとっては今終わったことなのだ。
ここで蒸し返して文句を言ってはリュードが度量の狭いやつになってしまう。
「……分かった。許すよ」
しぶしぶ許す。こうなったら早く忘れてしまう方が賢いと言うものだ。
服ももらったのだ、これでおあいこということにしよう。
拭い切れないモヤモヤを胸にリュードは1つ大人になって笑顔を作った。
「おーい、誰かいるかー!」
サンセールたちと共にダンジョンの脱出を目指す。
少し登って下層から中層ぐらいに入ってきたぐらいでキスズや救助に来た他の冒険者と合流することができた。
そのあとは特に問題もなくリュードたちはダンジョンから脱出した。
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