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第三章
熱き砂浜の戦い5
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むしろ見知らぬ料理だから食べてみたいとすら思っている。
しかし変な鳴き声が出る激辛の犠牲者などリュード1人で十分だ。
名物ならどこか安全な環境でも食べられるはずだ。
ただしリュード自身は辛い料理が得意ではない。
甘いものの方が好きなのである。
だがルフォンのためにここはやるしかない。
料理が並べられたテーブルに向かうリュードは覚悟を決めた男の顔をしていた。
「食べるだけ、なのですが1つだけルールがあります。食べ終えたらパートナーへ一言お願いします」
なんだそのルールと思ったがちゃんと飲み込んだということの証明なのである。
「それでは参りましょう。ようい……ドーン!」
一斉にヒュポクウォを食べ始める。
フォークで持ち上げてみるとヒュポクウォは麺料理だった。
赤いスープがよく絡み、ツンとくる匂いが鼻にくる。
その立ち上る蒸気だけで目に染みる。
リュードも勇気を出してヒュポクウォを一口食べた。
「うぶっ!」
「ひゃんだこれ!」
我先にと食べ始めた参加者から悲鳴が上がる。
流石にヒュポクウォなんて声は出していないけど、辛さが苦手な人はヒュッぐらいの音は出していた。
悲鳴こそ上げなかったものの一口食べてリュードも内心悶絶した。
一瞬美味いと思った。
本当に刹那の旨味ですぐに口の中が辛さの暴力に襲われた。
一気に汗が吹き出してきて、魔法も使ってないのに炎を口から吐き出せそうな気分になる。
「この早食い対決に出たのはほとんどが男性の方です。その中でも男気で食べ進めている方がなんと2名もいらっしゃいます! 前回大会の覇者、パートナーのエリザのためにヒュポクウォを食らう、バーナードぉー!」
しかしリュードも辛さには負けない。
若干の涙目になりながらヒュポクウォを食べ進める。
「そしてそれに負けじとヒュポクウォに食らいつくのは1回戦の砂山崩しで神かがったバランスを見せた若い挑戦者のシューナリュードだー! パートナーのルフォンは今大会のヴィーナス候補の1人でもあります!」
ヴィーナス候補とはなんぞや。
浮かんだ疑問も辛さが消しとばしてしまう。
目に入りそうな汗を拭って他の参加者を見る。
少し離れた席に座る日焼けをしたボディービルダーのようなムキムキスキンヘッドの男性と目があった。
他の人がグッタリと食べる手を止める中でこの男性だけがヒュポクウォを食べ続けている。
あれがバーナードだとリュードにはすぐに分かった。
そしてバーナードにもリュードのことがすぐに分かった。
「2人の男によるデッドヒート! 先に食べ終えるのはどちらになるのかー!」
旨味は早い段階で分からなくなったのに辛味だけはいつまでも舌を刺し、どれだけ食べても消えてくれない。
「ルフォン、俺はお前の料理の方が好きだ!」
器の汁まで飲み干してリュードがパートナーのルフォンに思いを伝える。
もうこんな辛いもの二度といらない。
ルフォンの料理が良い。
そんな思いが溢れて出てきた。
「先に食べ終えたのはシューナリュード! パートナーの料理がいいと熱いメッセージをいただきました」
「エリザ、負けちまった、すまねぇ!」
「ここでバーナードもヒュポクウォを食べ終えたぁー!」
リュードがヒュポクウォを食べ終えてから遅れてバーナードも汁を飲み干して器を叩きつけるようにテーブルに置いた。
結局この料理を食べられたのはリュードとバーナードの2人だけで後はリタイアすることになった。
「リューちゃん大丈夫?」
拭いても拭いても汗が止まらず唇が腫れぼったく感じる。
特別スポンサーとして紹介されたヒュポクウォを出している店の店主によるとあまり辛くないものから激辛まで辛さを選べるとのことだった。
今回は競技用に超激辛仕様のヒュポクウォを出していた。
1番最初に感じたのは旨味だったので辛さがまともなら美味いんだろうと思うけど食べにいく気は起きない。
参加者であるリュードとルフォンはその場を離れられないのでスナハマバトルの応援に来てくれていたエミナに飲み物を頼む。
「やるじゃないか、ボウズ」
辛さにやられて木陰で休んでいるとバーナードが話しかけてきた。
「どうも……」
リュードは辛さのためにヒィーヒィーしているのにバーナードは元気そう、に見えてバーナードの唇もなんだかさっきよりも分厚く見える。
リュードほど汗はかいていないけど、バーナードもしっかりと辛さにやられていたのだ。
「前回は酸っぱいもの早食いだったんだが今回は辛いものだとはな。苦手ではないけどあれは辛すぎる」
「そうですね。自分でも食べ切れたのが信じられません」
「私も君がいなかったらリタイアしていたかもしれないな」
「今回の大会はあなたたちが私たちのライバルになりそうね」
青い水着を身につけたバーナードの隣に立つ女性はバーナードのパートナーであるエリザ。
「そうだな、若いことは素晴らしいが私たちも経験というものがあるからな、負けないぞ」
豪快に笑うバーナード。
「よろしく頼むぞ!」
まるでボディービルダーのような体つきのバーナードは己の筋肉を誇示するようなポーズを決めて、去っていった。
この世界にボディービルダーという職業はあるのか知らないけどそんな体つきである。
ただ悪い人ではなさそうだ。
「さて! 次の競技の準備ができました。続きましては~息止め対決ー!」
せっせと料理たちを片付けて今度は深めの透明な容器がステージ上に並べられた。
水が並々と注がれていて競技の名前と合わせると容易に次の競技のことを想像ができる。
しかし変な鳴き声が出る激辛の犠牲者などリュード1人で十分だ。
名物ならどこか安全な環境でも食べられるはずだ。
ただしリュード自身は辛い料理が得意ではない。
甘いものの方が好きなのである。
だがルフォンのためにここはやるしかない。
料理が並べられたテーブルに向かうリュードは覚悟を決めた男の顔をしていた。
「食べるだけ、なのですが1つだけルールがあります。食べ終えたらパートナーへ一言お願いします」
なんだそのルールと思ったがちゃんと飲み込んだということの証明なのである。
「それでは参りましょう。ようい……ドーン!」
一斉にヒュポクウォを食べ始める。
フォークで持ち上げてみるとヒュポクウォは麺料理だった。
赤いスープがよく絡み、ツンとくる匂いが鼻にくる。
その立ち上る蒸気だけで目に染みる。
リュードも勇気を出してヒュポクウォを一口食べた。
「うぶっ!」
「ひゃんだこれ!」
我先にと食べ始めた参加者から悲鳴が上がる。
流石にヒュポクウォなんて声は出していないけど、辛さが苦手な人はヒュッぐらいの音は出していた。
悲鳴こそ上げなかったものの一口食べてリュードも内心悶絶した。
一瞬美味いと思った。
本当に刹那の旨味ですぐに口の中が辛さの暴力に襲われた。
一気に汗が吹き出してきて、魔法も使ってないのに炎を口から吐き出せそうな気分になる。
「この早食い対決に出たのはほとんどが男性の方です。その中でも男気で食べ進めている方がなんと2名もいらっしゃいます! 前回大会の覇者、パートナーのエリザのためにヒュポクウォを食らう、バーナードぉー!」
しかしリュードも辛さには負けない。
若干の涙目になりながらヒュポクウォを食べ進める。
「そしてそれに負けじとヒュポクウォに食らいつくのは1回戦の砂山崩しで神かがったバランスを見せた若い挑戦者のシューナリュードだー! パートナーのルフォンは今大会のヴィーナス候補の1人でもあります!」
ヴィーナス候補とはなんぞや。
浮かんだ疑問も辛さが消しとばしてしまう。
目に入りそうな汗を拭って他の参加者を見る。
少し離れた席に座る日焼けをしたボディービルダーのようなムキムキスキンヘッドの男性と目があった。
他の人がグッタリと食べる手を止める中でこの男性だけがヒュポクウォを食べ続けている。
あれがバーナードだとリュードにはすぐに分かった。
そしてバーナードにもリュードのことがすぐに分かった。
「2人の男によるデッドヒート! 先に食べ終えるのはどちらになるのかー!」
旨味は早い段階で分からなくなったのに辛味だけはいつまでも舌を刺し、どれだけ食べても消えてくれない。
「ルフォン、俺はお前の料理の方が好きだ!」
器の汁まで飲み干してリュードがパートナーのルフォンに思いを伝える。
もうこんな辛いもの二度といらない。
ルフォンの料理が良い。
そんな思いが溢れて出てきた。
「先に食べ終えたのはシューナリュード! パートナーの料理がいいと熱いメッセージをいただきました」
「エリザ、負けちまった、すまねぇ!」
「ここでバーナードもヒュポクウォを食べ終えたぁー!」
リュードがヒュポクウォを食べ終えてから遅れてバーナードも汁を飲み干して器を叩きつけるようにテーブルに置いた。
結局この料理を食べられたのはリュードとバーナードの2人だけで後はリタイアすることになった。
「リューちゃん大丈夫?」
拭いても拭いても汗が止まらず唇が腫れぼったく感じる。
特別スポンサーとして紹介されたヒュポクウォを出している店の店主によるとあまり辛くないものから激辛まで辛さを選べるとのことだった。
今回は競技用に超激辛仕様のヒュポクウォを出していた。
1番最初に感じたのは旨味だったので辛さがまともなら美味いんだろうと思うけど食べにいく気は起きない。
参加者であるリュードとルフォンはその場を離れられないのでスナハマバトルの応援に来てくれていたエミナに飲み物を頼む。
「やるじゃないか、ボウズ」
辛さにやられて木陰で休んでいるとバーナードが話しかけてきた。
「どうも……」
リュードは辛さのためにヒィーヒィーしているのにバーナードは元気そう、に見えてバーナードの唇もなんだかさっきよりも分厚く見える。
リュードほど汗はかいていないけど、バーナードもしっかりと辛さにやられていたのだ。
「前回は酸っぱいもの早食いだったんだが今回は辛いものだとはな。苦手ではないけどあれは辛すぎる」
「そうですね。自分でも食べ切れたのが信じられません」
「私も君がいなかったらリタイアしていたかもしれないな」
「今回の大会はあなたたちが私たちのライバルになりそうね」
青い水着を身につけたバーナードの隣に立つ女性はバーナードのパートナーであるエリザ。
「そうだな、若いことは素晴らしいが私たちも経験というものがあるからな、負けないぞ」
豪快に笑うバーナード。
「よろしく頼むぞ!」
まるでボディービルダーのような体つきのバーナードは己の筋肉を誇示するようなポーズを決めて、去っていった。
この世界にボディービルダーという職業はあるのか知らないけどそんな体つきである。
ただ悪い人ではなさそうだ。
「さて! 次の競技の準備ができました。続きましては~息止め対決ー!」
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