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第三章
変態的な別れ2
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もっと、成長したのだと。
精神的にも成長したと、堂々と言うつもりだったのに。
「まだ、わだしといっじょにだびじでぐれまずがー?」
ヒドイ。
ちゃんと言葉にもなってない。
涙が溢れて、前が見えなくなる。
今はそれでよかったかもしれない。
呆れ顔でも優しい顔でも見えていなければ関係ない。
「もちろんだよ!」
エミナにあてられて感極まったルフォンはギュッとエミナを抱きしめる。
ルフォンの体に手を回してエミナも抱きしめ返す。
互いに頭を肩に乗せあい、泣き合う。
ヤノチも我慢できずに泣き出す。
ダカンは顔を逸らして体を震わせているけど泣いているのが丸わかりである。
リュードも鼻の奥がツンとして込み上げてくるものがあったけれど必死に堪えた。
これは一生の別れではない。
2度と会えないんじゃないから泣くものかという薄いプライドのようなものを持って、1人でも涙の別れにしないと涙を抑え込んだ。
目がウルついていたけどどうにか流すのだけは耐え抜いた。
その日はみんな目が腫れるまで泣いた。
リュードも油断するとウルっと来ちゃうのでしばらく動けず、ルフォンとエミナは抱き合って泣いたまま疲れてしまったのかベッドで寝てしまった。
ダカンも泣き疲れて眠そうにしていたのでリュードは引きずるようにして部屋に連れて行った。
ーーーーー
「こんなはずじゃ……こんなはずじゃなかったのにーー!」
次の日、エミナはベッドに籠城した。
早速出発とは流石のリュードもそうはいかなかった。
というのもいい話になってしまったのは次にどうするかの話し合いの最中であって、実はまだ次の目的地も定まっていなかった。
あたかも明日お別れのような雰囲気があったのだけれど、特に出発の予定があったわけではなかった。
あんな風にお別れの挨拶を交わしたのだから決意が鈍らないうちに早めに出発しようとは思う。
だから少しだけエミナが勇み足だった感じは否めないのだ。
ルフォンと次の目的地の相談のために部屋に来たのだけどエミナは布団を被って出てこない。
クールにお別れを言うつもりだったのに号泣に次ぐ号泣。
泣きじゃくる様は子供ドン引きレベルであった。
その上泣きに泣いたために目は完全に腫れていてとても2人に合わせる顔がなかった。
「エミナ、出てきてくれよ」
とりあえず話し合って目的地は決めたので出発しようと思えば出来ないこともない。
しかし最後の最後でこんな布団の中からお別れするだなんてとてもじゃないけどできない。
困ったようにリュードがベッドに座ってエミナを揺すってみる。
「……てください」
「なんだって?」
「リュードさんの、あの、もう1つのあの姿で抱きしめてください!」
エミナの声を聞こうと静まり返った部屋の中、布団をかぶっているがためにくぐもった声が響き渡る。
リュードの困った顔がエミナには想像できた。
恥ずかしさと散々泣いたために疲れていたエミナは完全に暴走した。
少なくともしばらく会う事はない。
もう恥ずかしさの頂点にいるのだから多少の恥はかき捨てとばかりに顔も見えないこともいいことにエミナは思いついた欲望を口にした。
何を言ったのか、分かっているけど分かっていない。
段々と口にしてしまった言葉を自分で理解できてしまって顔が熱くなってくる。
涙が枯れるほど泣いたはずなのに恥ずかしさでまた涙が出てきそうな気分になる。
放った言葉はもう取り消せず、相手の反応を待つしかない。
けれどなんの反応もなく布団の外は静かで、布団の中の自分の鼓動しか聞こえない。
呆れられているのか、怒っているのか、まさか無言でみんな出ていってしまったのか。
そんなことはしないだろうと思いつつもエミナは段々と不安になってきた。
いなくても嫌だけど、いたらいたで恥ずかしさで死んでしまう。
あまりにも沈黙が長くてそっと布団をあげて外を確認した瞬間だった。
「ひゃっ……!」
強い力で引っ張られて布団が上に剥ぎ取られる。
ベッドの横に誰かがいるといると視線を向けるとそこに立っていたのは布団を後ろに放り投げるリュード。
しかも竜人化した姿であった。
「きゃ…………」
布団を放り投げたリュードはすぐさまエミナの口を手で塞いだ。
ここで悲鳴なんて上げられたら人が飛んできてしまう。
エミナが口を押さえた拍子にバランスを崩して後ろに倒れたものだから自然と押し倒すような形になってしまった。
「シィー」
リュードはエミナの口を塞いでいない方の指を口に当てて騒がないように言う。
エミナはこくりとうなずいたのでリュードは手を離した。
エミナのお願いを聞いたリュードは困った顔をしてルフォンに視線を送っていた。
抱きしめてほしいなんてお願いルフォンが許すわけないと思ったからである。
しかしなんと意外なことにルフォンは険しい顔をしながらもリュードにうなずいてみせた。
許可が下りたのである。
なんの気遣いなのかルフォンはヤノチとダカンを連れて部屋を出て行ってしまい、呆然とするリュードと外の状況をわかっていないエミナだけが残された。
ルフォンもリュード離れをして大人になりつつあるのかと変な感動と寂しさを感じた。
精神的にも成長したと、堂々と言うつもりだったのに。
「まだ、わだしといっじょにだびじでぐれまずがー?」
ヒドイ。
ちゃんと言葉にもなってない。
涙が溢れて、前が見えなくなる。
今はそれでよかったかもしれない。
呆れ顔でも優しい顔でも見えていなければ関係ない。
「もちろんだよ!」
エミナにあてられて感極まったルフォンはギュッとエミナを抱きしめる。
ルフォンの体に手を回してエミナも抱きしめ返す。
互いに頭を肩に乗せあい、泣き合う。
ヤノチも我慢できずに泣き出す。
ダカンは顔を逸らして体を震わせているけど泣いているのが丸わかりである。
リュードも鼻の奥がツンとして込み上げてくるものがあったけれど必死に堪えた。
これは一生の別れではない。
2度と会えないんじゃないから泣くものかという薄いプライドのようなものを持って、1人でも涙の別れにしないと涙を抑え込んだ。
目がウルついていたけどどうにか流すのだけは耐え抜いた。
その日はみんな目が腫れるまで泣いた。
リュードも油断するとウルっと来ちゃうのでしばらく動けず、ルフォンとエミナは抱き合って泣いたまま疲れてしまったのかベッドで寝てしまった。
ダカンも泣き疲れて眠そうにしていたのでリュードは引きずるようにして部屋に連れて行った。
ーーーーー
「こんなはずじゃ……こんなはずじゃなかったのにーー!」
次の日、エミナはベッドに籠城した。
早速出発とは流石のリュードもそうはいかなかった。
というのもいい話になってしまったのは次にどうするかの話し合いの最中であって、実はまだ次の目的地も定まっていなかった。
あたかも明日お別れのような雰囲気があったのだけれど、特に出発の予定があったわけではなかった。
あんな風にお別れの挨拶を交わしたのだから決意が鈍らないうちに早めに出発しようとは思う。
だから少しだけエミナが勇み足だった感じは否めないのだ。
ルフォンと次の目的地の相談のために部屋に来たのだけどエミナは布団を被って出てこない。
クールにお別れを言うつもりだったのに号泣に次ぐ号泣。
泣きじゃくる様は子供ドン引きレベルであった。
その上泣きに泣いたために目は完全に腫れていてとても2人に合わせる顔がなかった。
「エミナ、出てきてくれよ」
とりあえず話し合って目的地は決めたので出発しようと思えば出来ないこともない。
しかし最後の最後でこんな布団の中からお別れするだなんてとてもじゃないけどできない。
困ったようにリュードがベッドに座ってエミナを揺すってみる。
「……てください」
「なんだって?」
「リュードさんの、あの、もう1つのあの姿で抱きしめてください!」
エミナの声を聞こうと静まり返った部屋の中、布団をかぶっているがためにくぐもった声が響き渡る。
リュードの困った顔がエミナには想像できた。
恥ずかしさと散々泣いたために疲れていたエミナは完全に暴走した。
少なくともしばらく会う事はない。
もう恥ずかしさの頂点にいるのだから多少の恥はかき捨てとばかりに顔も見えないこともいいことにエミナは思いついた欲望を口にした。
何を言ったのか、分かっているけど分かっていない。
段々と口にしてしまった言葉を自分で理解できてしまって顔が熱くなってくる。
涙が枯れるほど泣いたはずなのに恥ずかしさでまた涙が出てきそうな気分になる。
放った言葉はもう取り消せず、相手の反応を待つしかない。
けれどなんの反応もなく布団の外は静かで、布団の中の自分の鼓動しか聞こえない。
呆れられているのか、怒っているのか、まさか無言でみんな出ていってしまったのか。
そんなことはしないだろうと思いつつもエミナは段々と不安になってきた。
いなくても嫌だけど、いたらいたで恥ずかしさで死んでしまう。
あまりにも沈黙が長くてそっと布団をあげて外を確認した瞬間だった。
「ひゃっ……!」
強い力で引っ張られて布団が上に剥ぎ取られる。
ベッドの横に誰かがいるといると視線を向けるとそこに立っていたのは布団を後ろに放り投げるリュード。
しかも竜人化した姿であった。
「きゃ…………」
布団を放り投げたリュードはすぐさまエミナの口を手で塞いだ。
ここで悲鳴なんて上げられたら人が飛んできてしまう。
エミナが口を押さえた拍子にバランスを崩して後ろに倒れたものだから自然と押し倒すような形になってしまった。
「シィー」
リュードはエミナの口を塞いでいない方の指を口に当てて騒がないように言う。
エミナはこくりとうなずいたのでリュードは手を離した。
エミナのお願いを聞いたリュードは困った顔をしてルフォンに視線を送っていた。
抱きしめてほしいなんてお願いルフォンが許すわけないと思ったからである。
しかしなんと意外なことにルフォンは険しい顔をしながらもリュードにうなずいてみせた。
許可が下りたのである。
なんの気遣いなのかルフォンはヤノチとダカンを連れて部屋を出て行ってしまい、呆然とするリュードと外の状況をわかっていないエミナだけが残された。
ルフォンもリュード離れをして大人になりつつあるのかと変な感動と寂しさを感じた。
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