人と希望を伝えて転生したのに竜人という最強種族だったんですが?〜世界はもう救われてるので美少女たちとのんびり旅をします〜

犬型大

文字の大きさ
248 / 550
第四章

決戦! 亡者の騎士デュラハン8

しおりを挟む
 リュードとデュラハンの切り合いになる。
 とりあえず馬の足は止められたけれど馬上から振り下ろされるデュラハンの剣は重たくて受け流すのも精一杯だった。

 反撃もしっかりと防がれていて中々攻めきれない。
 むしろリュードが押されている。

 アンデッドであるデュラハンには腕の痛みという概念もない。
 無理なストップアンドゴーも構わず、常に全力で剣を振り、想定していない角度からも剣が飛んでくる。
 
 リュードも負けじと反撃をするけど様々な条件がデュラハンに有利であって攻めきれない。
 最上級の聖水を使った神聖力を付与しているので当たりさえすればデュラハンにもダメージがある。

 デュラハンはそれをわかっているのか巧みに防御してくる。
 巧みというか防御もリュードなら無茶な腕の角度もデュラハンには難しくないので防いでくるのだ。

 騎乗しているので高くてやりにくいということもあるけどデュラハンには頭がない。
 デュラハンは左手に剣を持ち、右手に頭を持って戦っている。

 手に持った頭をリュードから遠ざけるようにしているために頭を狙うことができない。
 フルフェイスの兜っぽい頭は中身がわからないがどう動いてもリュードの攻撃が当たらない位置にある。
 
 これもまた厄介ポイントの一つだ。
 リュードが足を止めた激しい切り合いでデュラハンの意識を引きつける。

「くらえー!」

 しかし目がどこにあるかも分からない馬はラストが馬に向かって矢を放ったのを見ていた。
 前に出てかわしてしまうとデュラハンが背中をリュードに晒すことになる。
 
 馬は自分で考えて後ろにステップするようにラストの矢をかわした。
 けれどデュラハンの馬は続けざまに放たれた2本目の矢までは気づくことができなかった。
 
 いきなり動いたのでデュラハンは僅かにバランスを崩しており、これ以上動くとデュラハンを振り落とすことになってしまう。
 見た目は不思議でも中身は知能が低めの馬。
 
 判断し切ることができないでいたデュラハンの馬に矢が刺さり爆発する。
 馬が倒れて、デュラハンが投げ出される。
 
 鎧っぽい馬には爆発はあまりダメージがなかった。
 ほとんど驚いて倒れただけのようなデュラハンの馬にリュードは剣を振り下ろした。
 
 神聖力の助けもあったリュードは馬の首を切り落とし、デュラハンが立ち上がった時には馬はしっかりとトドメを刺されて動かなくなっていた。
 
「リュード後ろ!」

「おっと!」

 痛みを感じないデュラハンは馬から落ちて地面に叩きつけられたとしても怯むこともない。
 すぐさま切りかかってきたのをリュードはサッと回避する。

 もしかしたら馬を倒された怒りなんてものもあるのかもしれない。
 そのままデュラハンは攻勢を強めてリュードに切りかかり続ける。

「くっ、重たい!」

 デュラハンの持つ剣は大きい。
 質量だけならリュードの剣よりもさらに重そうに見える剣をデュラハンはコンパクトに振り回す。

 リュードが同じような速度で剣を振ろうと思ったら絶対に腕のどこかを痛めてしまうだろうがデュラハンにはそれが出来る。
 剣の技量も高く素早く攻撃は油断すると一気にやられてしまうほど破壊力がある。

 一度立て直したくてもデュラハンがしつこくリュードに切りかかり、リュードはデュラハンの剣を防ぐのでいっぱいいっぱいになっていた。
 反撃する隙もなく、重たいデュラハンの剣をなんとか受け流していた。

 リュードは疲れを知らないスケルトンともここまで戦い通してきて体力的にも万全ではない。
 このまま疲れを知らないデュラハンを前に防戦を続けてしまうと結果は目に見えている。

 けれどリュードの顔にはまだ余裕が見えていた。
 なぜならリュードは1人で戦っているのではないから。

「こっちもいるよ!」
 
 デュラハンの斜め後ろに回り込んだラストが矢を放つ。
 頭は手に持っているし目が見えているのかもアンデッドにしか分からない。
 
 ただデュラハンはラストの矢に反応してみせた。
 やはりこのデュラハンは剣士としても卓越しているとリュードは舌を巻く。
 
 振り向きざまにデュラハンはラストの矢を縦に切り捨てようとした。
 デュラハンの剣の刃が矢の先端に当たった瞬間、込められた魔力が爆発した。

「忘れてもらっちゃ困るよ!」

 この戦いはラストとリュードの戦いで、1人じゃない。

「いいぞ!」

 リュードもすぐさまラストに続く。
 狙いたいのは弱点だけどデュラハンの弱点はわからない。

 首を切り落としたいところだけどデュラハンの首はすでに落ちている。
 怪しいのは頭だけど手に抱えた頭を狙うことは難しい。

 とりあえずラストの方に振り向いて背中をさらすデュラハンを切りつける。
 最上級の聖水は効果も高い。

 アンデッドの中でも強敵であるデュラハン相手にもしっかりと効果を発揮して、デュラハンの背中が大きく切り裂かれた。
 鎧が切り裂かれて中が露出する。
 
 チラリと見える鎧の中は闇が広がっていてどうなっているのか分からない。
 爆発で怯んだのも一瞬でデュラハンはすぐさまリュードに反撃を繰り出す。

「うっ……なんだこれ」

 頭が痛くなるようなキーンとした音がした。
 何かの鳴き声のようにも聞こえたそれと同時にデュラハンが黒い魔力に包まれる。

「うわっ、ヤバっ!」

「リュード!」

 黒い魔力に包まれた剣がリュードに迫った。
 振り下ろされた剣をリュードが間一髪でかわしてデュラハンが地面を叩きつけて衝撃で土煙が上がる。
 
 ラストからはリュードは無事なのか土埃のせいで見えない。
 デュラハンが出てくるかもしれないと身構えるラストの耳に金属音が聞こえてきた。
 
 土埃の中で戦っている。

「うっ!」
 
 呼吸もできないような土埃の中で黒い影が動き剣が目の前に現れる。
 デュラハンにはリュードの場所が見えているらしく正確にリュードのことを追撃してきていた。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

最強無敗の少年は影を従え全てを制す

ユースケ
ファンタジー
不慮の事故により死んでしまった大学生のカズトは、異世界に転生した。 産まれ落ちた家は田舎に位置する辺境伯。 カズトもといリュートはその家系の長男として、日々貴族としての教養と常識を身に付けていく。 しかし彼の力は生まれながらにして最強。 そんな彼が巻き起こす騒動は、常識を越えたものばかりで……。

ダンジョン冒険者にラブコメはいらない(多分)~正体を隠して普通の生活を送る男子高生、実は最近注目の高ランク冒険者だった~

エース皇命
ファンタジー
 学校では正体を隠し、普通の男子高校生を演じている黒瀬才斗。実は仕事でダンジョンに潜っている、最近話題のAランク冒険者だった。  そんな黒瀬の通う高校に突如転校してきた白桃楓香。初対面なのにも関わらず、なぜかいきなり黒瀬に抱きつくという奇行に出る。 「才斗くん、これからよろしくお願いしますねっ」  なんと白桃は黒瀬の直属の部下として派遣された冒険者であり、以後、同じ家で生活を共にし、ダンジョンでの仕事も一緒にすることになるという。  これは、上級冒険者の黒瀬と、美少女転校生の純愛ラブコメディ――ではなく、ちゃんとしたダンジョン・ファンタジー(多分)。 ※小説家になろう、カクヨムでも連載しています。

異世界サバイバルゲーム 〜転移先はエアガンが最強魔道具でした〜

九尾の猫
ファンタジー
サバイバルゲームとアウトドアが趣味の主人公が、異世界でサバゲを楽しみます! って感じで始めたのですが、どうやら王道異世界ファンタジーになりそうです。 ある春の夜、季節外れの霧に包まれた和也は、自分の持ち家と一緒に異世界に転移した。 転移初日からゴブリンの群れが襲来する。 和也はどうやって生き残るのだろうか。

人の才能が見えるようになりました。~いい才能は幸運な俺が育てる~

犬型大
ファンタジー
突如として変わった世界。 塔やゲートが現れて強いものが偉くてお金も稼げる世の中になった。 弱いことは才能がないことであるとみなされて、弱いことは役立たずであるとののしられる。 けれども違ったのだ。 この世の中、強い奴ほど才能がなかった。 これからの時代は本当に才能があるやつが強くなる。 見抜いて、育てる。 育てて、恩を売って、いい暮らしをする。 誰もが知らない才能を見抜け。 そしてこの世界を生き残れ。 なろう、カクヨムその他サイトでも掲載。 更新不定期

(完結)魔王討伐後にパーティー追放されたFランク魔法剣士は、超レア能力【全スキル】を覚えてゲスすぎる勇者達をザマアしつつ世界を救います

しまうま弁当
ファンタジー
魔王討伐直後にクリードは勇者ライオスからパーティーから出て行けといわれるのだった。クリードはパーティー内ではつねにFランクと呼ばれ戦闘にも参加させてもらえず場美雑言は当たり前でクリードはもう勇者パーティーから出て行きたいと常々考えていたので、いい機会だと思って出て行く事にした。だがラストダンジョンから脱出に必要なリアーの羽はライオス達は分けてくれなかったので、仕方なく一階層づつ上っていく事を決めたのだった。だがなぜか後ろから勇者パーティー内で唯一のヒロインであるミリーが追いかけてきて一緒に脱出しようと言ってくれたのだった。切羽詰まっていると感じたクリードはミリーと一緒に脱出を図ろうとするが、後ろから追いかけてきたメンバーに石にされてしまったのだった。

【もうダメだ!】貧乏大学生、絶望から一気に成り上がる〜もし、無属性でFランクの俺が異文明の魔道兵器を担いでダンジョンに潜ったら〜

KEINO
ファンタジー
貧乏大学生の探索者はダンジョンに潜り、全てを覆す。 ~あらすじ~ 世界に突如出現した異次元空間「ダンジョン」。 そこから産出される魔石は人類に無限のエネルギーをもたらし、アーティファクトは魔法の力を授けた。 しかし、その恩恵は平等ではなかった。 富と力はダンジョン利権を牛耳る企業と、「属性適性」という特別な才能を持つ「選ばれし者」たちに独占され、世界は新たな格差社会へと変貌していた。 そんな歪んだ現代日本で、及川翔は「無属性」という最底辺の烙印を押された青年だった。 彼には魔法の才能も、富も、未来への希望もない。 あるのは、両親を失った二年前のダンジョン氾濫で、原因不明の昏睡状態に陥った最愛の妹、美咲を救うという、ただ一つの願いだけだった。 妹を治すため、彼は最先端の「魔力生体学」を学ぶが、学費と治療費という冷酷な現実が彼の行く手を阻む。 希望と絶望の狭間で、翔に残された道はただ一つ――危険なダンジョンに潜り、泥臭く魔石を稼ぐこと。 英雄とも呼べるようなSランク探索者が脚光を浴びる華やかな世界とは裏腹に、翔は今日も一人、薄暗いダンジョンの奥へと足を踏み入れる。 これは、神に選ばれなかった「持たざる者」が、絶望的な現実にもがきながら、たった一つの希望を掴むために抗い、やがて世界の真実と向き合う、戦いの物語。 彼の「無属性」の力が、世界を揺るがす光となることを、彼はまだ知らない。 テンプレのダンジョン物を書いてみたくなり、手を出しました。 SF味が増してくるのは結構先の予定です。 スローペースですが、しっかりと世界観を楽しんでもらえる作品になってると思います。 良かったら読んでください!

魔力0の貴族次男に転生しましたが、気功スキルで補った魔力で強い魔法を使い無双します

burazu
ファンタジー
事故で命を落とした青年はジュン・ラオールという貴族の次男として生まれ変わるが魔力0という鑑定を受け次男であるにもかかわらず継承権最下位へと降格してしまう。事実上継承権を失ったジュンは騎士団長メイルより剣の指導を受け、剣に気を込める気功スキルを学ぶ。 その気功スキルの才能が開花し、自然界より魔力を吸収し強力な魔法のような力を次から次へと使用し父達を驚愕させる。

俺は普通の高校生なので、

雨ノ千雨
ファンタジー
普通の高校生として生きていく。その為の手段は問わない。

処理中です...