257 / 550
第四章
時には着飾って1
しおりを挟む
ティアローザに来た当初はまず国の中心にある首都に向かうつもりであった。
このティアローザの首都の名前はティアローザといって、国名と首都の名前が同じなのである。
ややこしいのだけどティアローザ国の首都ティアローザに行くのが本当の1番最初のリュードとルフォンの旅の予定だった。
それがその前にラストにあってこんな旅をすることになった。
まるでティアローザ国の国内周遊ツアーでもしているかのようにグルリと国内を回っているなとリュードはちょっとだけリュードは思っていた。
大領主のいる大都市も都合行くことになっていたのでメイン所を押さえた本当の旅行みたいに移動をしていた。
「ほお、ここがティアローザか」
「いろんな人がいるね」
これまで4つある大領地を全て巡ってきたことになる。
いよいよ次が最後となる、ティアローザ国の直轄地で首都ティアローザにリュードたちは来ていた。
これまでの大都市も当然賑わっていた。
賑わっているから大都市となったのだし大都市と言えるのだけど、首都はさらに1つ規模が大きい。
特に首都ティアローザに目的があったのではなくて来たかったものでもないが、いざ大きな都市に来て賑わいを見ると心が躍る。
紆余曲折があって相当回り道をしてここまで来たのだから感慨深くもある。
「えっとまずはお父様にご挨拶行こうか」
「俺たちも行っていいのか?」
「もちろん! むしろリュードは行かなきゃだめだよ」
ラストはまずお父様にご挨拶に会いに行くと言う。
ラストの父親とはすなわちティアローザ国の王様である。
国のトップに会うなんてこと恐れ多いし、面倒くさい。
親子水入らずで会ってくればいいと挨拶することを遠慮したリュードに、同行者として挨拶に伺わないのは失礼だとラストに言われて渋々リュードも挨拶に向かうことになった。
国王様といえば思い出すのはヘランドのドランダラスだ。
ドランダラスはかなりフランクな人柄で、リュードが必要なこともあって態度も良かった。
ただ本来なら王様なんて一般人のリュードが会っていい人でない。
貴族的な礼儀作法もリュードは全く分からない。
中には非常にプライドが高くて自分の気に入らないものにすぐに怒ってしまう王様もいるとかいないとか聞くこともある。
ラストの父親に限ってそんなことはないと信じたいけれども失礼な態度をとってしまって怒らせる可能性も考えられる。
「ドレスを買いに行こう!」
リュードが行くならルフォンも行く。
そしてまずは見た目から入ることが大事だとラストは言う。
いかに作法が完璧でも見た目が雑だと作法も見てはもらえない。
というラストの提案で王様に会いに行くのに相応しい服を買いに行くことになった。
「はぁ……」
男物はいつの時代も大きくは変わらない。
種類も多くなくてベーシックなものを選べばハズレはないので、問題は女性陣の方である。
流行りもあれば変わらぬものもある。
ほんの少しカラーが変わるだけでもガラリと印象が異なってくる。
デザインも男性のものよりも遥かに多い。
リュードはそんな買い物に付き合うことになった。
ヴィッツは治療薬を作るための設備のある場所を探すために一緒には来ておらず別行動となった。
「ここが私の行きつけなんだ」
リュードも服に関しては素人だからとヴィッツの方に行こうとしたのだけど2人に半ば無理矢理付き合わされてしまったのである。
曲がり無しにもラストは王族のお嬢様である。
ドレスを買うと言ってもそこらへんで適当に買うのではない。
ただのドレス店ではなく大きくて豪華なドレス店がラストの行きつけであった。
町の門よりも王城の方が近い一等地に店を構える、ルフォンとリュードにもすぐに高級店だと分かるお店にラストの案内で来ていた。
不安そうなルフォンがリュードに視線を送る。
「まあ、2、3着なら大丈夫だろう」
ルフォンの視線の意味をリュードも理解している。
若干の不安はあるけれどここは男の度量の見せ所となる。
つまりドレス代金大丈夫かという視線であった。
これまでも普段から散財はしないで時折ギルドでも依頼をこなしたり大きな問題を解決して色々お金ももらったりもした。
高級ドレスがいかほどのお値段のものなのか知らないけどルフォンのためならここでお金を使っても全く構わない。
ドレスなんてものの値段は青天井なものだけど払えない金額になることの方が珍しいはずだ。
今後使う予定もないお金ならここで使おう。
リュードはルフォンに頷き返した。
「いらっしゃいませ……あれ、ラスト……サキュルラスト領主様じゃ、ではありませんか」
「やだなー、ラストでいいって、ビューラ」
店に入ると迎えてくれたのは血人族の女性であった。
ラストを見てやや垂れた目を大きく見開いて驚いていた。
入った時に見せていたいかにも高級店店員なすまし顔が一瞬で崩れてしまった。
「今日はお父様に会うためのドレスを買いに来たんだ! この子も一緒だからよろしくね!」
「えっと、あ、はい。かしこまりました」
「もう、そんなに固くならないでよ。ビューラは私の友達だし、ルフォンも私の友達。友達の友達で友達でいいし、店員だけど友達だからいつも通りでいいじゃん!」
ビューラという女性はラストの数少ない友達であった。
このドレス店を営む夫婦の娘で、このお店は昔から高級店で王城への出入りもあった。
ラストもお店に来たことも何度もあった。
その時に少し年上でお化粧やなんかを教えてくれたビューラとラストは仲良くなったのであった。
このティアローザの首都の名前はティアローザといって、国名と首都の名前が同じなのである。
ややこしいのだけどティアローザ国の首都ティアローザに行くのが本当の1番最初のリュードとルフォンの旅の予定だった。
それがその前にラストにあってこんな旅をすることになった。
まるでティアローザ国の国内周遊ツアーでもしているかのようにグルリと国内を回っているなとリュードはちょっとだけリュードは思っていた。
大領主のいる大都市も都合行くことになっていたのでメイン所を押さえた本当の旅行みたいに移動をしていた。
「ほお、ここがティアローザか」
「いろんな人がいるね」
これまで4つある大領地を全て巡ってきたことになる。
いよいよ次が最後となる、ティアローザ国の直轄地で首都ティアローザにリュードたちは来ていた。
これまでの大都市も当然賑わっていた。
賑わっているから大都市となったのだし大都市と言えるのだけど、首都はさらに1つ規模が大きい。
特に首都ティアローザに目的があったのではなくて来たかったものでもないが、いざ大きな都市に来て賑わいを見ると心が躍る。
紆余曲折があって相当回り道をしてここまで来たのだから感慨深くもある。
「えっとまずはお父様にご挨拶行こうか」
「俺たちも行っていいのか?」
「もちろん! むしろリュードは行かなきゃだめだよ」
ラストはまずお父様にご挨拶に会いに行くと言う。
ラストの父親とはすなわちティアローザ国の王様である。
国のトップに会うなんてこと恐れ多いし、面倒くさい。
親子水入らずで会ってくればいいと挨拶することを遠慮したリュードに、同行者として挨拶に伺わないのは失礼だとラストに言われて渋々リュードも挨拶に向かうことになった。
国王様といえば思い出すのはヘランドのドランダラスだ。
ドランダラスはかなりフランクな人柄で、リュードが必要なこともあって態度も良かった。
ただ本来なら王様なんて一般人のリュードが会っていい人でない。
貴族的な礼儀作法もリュードは全く分からない。
中には非常にプライドが高くて自分の気に入らないものにすぐに怒ってしまう王様もいるとかいないとか聞くこともある。
ラストの父親に限ってそんなことはないと信じたいけれども失礼な態度をとってしまって怒らせる可能性も考えられる。
「ドレスを買いに行こう!」
リュードが行くならルフォンも行く。
そしてまずは見た目から入ることが大事だとラストは言う。
いかに作法が完璧でも見た目が雑だと作法も見てはもらえない。
というラストの提案で王様に会いに行くのに相応しい服を買いに行くことになった。
「はぁ……」
男物はいつの時代も大きくは変わらない。
種類も多くなくてベーシックなものを選べばハズレはないので、問題は女性陣の方である。
流行りもあれば変わらぬものもある。
ほんの少しカラーが変わるだけでもガラリと印象が異なってくる。
デザインも男性のものよりも遥かに多い。
リュードはそんな買い物に付き合うことになった。
ヴィッツは治療薬を作るための設備のある場所を探すために一緒には来ておらず別行動となった。
「ここが私の行きつけなんだ」
リュードも服に関しては素人だからとヴィッツの方に行こうとしたのだけど2人に半ば無理矢理付き合わされてしまったのである。
曲がり無しにもラストは王族のお嬢様である。
ドレスを買うと言ってもそこらへんで適当に買うのではない。
ただのドレス店ではなく大きくて豪華なドレス店がラストの行きつけであった。
町の門よりも王城の方が近い一等地に店を構える、ルフォンとリュードにもすぐに高級店だと分かるお店にラストの案内で来ていた。
不安そうなルフォンがリュードに視線を送る。
「まあ、2、3着なら大丈夫だろう」
ルフォンの視線の意味をリュードも理解している。
若干の不安はあるけれどここは男の度量の見せ所となる。
つまりドレス代金大丈夫かという視線であった。
これまでも普段から散財はしないで時折ギルドでも依頼をこなしたり大きな問題を解決して色々お金ももらったりもした。
高級ドレスがいかほどのお値段のものなのか知らないけどルフォンのためならここでお金を使っても全く構わない。
ドレスなんてものの値段は青天井なものだけど払えない金額になることの方が珍しいはずだ。
今後使う予定もないお金ならここで使おう。
リュードはルフォンに頷き返した。
「いらっしゃいませ……あれ、ラスト……サキュルラスト領主様じゃ、ではありませんか」
「やだなー、ラストでいいって、ビューラ」
店に入ると迎えてくれたのは血人族の女性であった。
ラストを見てやや垂れた目を大きく見開いて驚いていた。
入った時に見せていたいかにも高級店店員なすまし顔が一瞬で崩れてしまった。
「今日はお父様に会うためのドレスを買いに来たんだ! この子も一緒だからよろしくね!」
「えっと、あ、はい。かしこまりました」
「もう、そんなに固くならないでよ。ビューラは私の友達だし、ルフォンも私の友達。友達の友達で友達でいいし、店員だけど友達だからいつも通りでいいじゃん!」
ビューラという女性はラストの数少ない友達であった。
このドレス店を営む夫婦の娘で、このお店は昔から高級店で王城への出入りもあった。
ラストもお店に来たことも何度もあった。
その時に少し年上でお化粧やなんかを教えてくれたビューラとラストは仲良くなったのであった。
17
あなたにおすすめの小説
最強無敗の少年は影を従え全てを制す
ユースケ
ファンタジー
不慮の事故により死んでしまった大学生のカズトは、異世界に転生した。
産まれ落ちた家は田舎に位置する辺境伯。
カズトもといリュートはその家系の長男として、日々貴族としての教養と常識を身に付けていく。
しかし彼の力は生まれながらにして最強。
そんな彼が巻き起こす騒動は、常識を越えたものばかりで……。
ダンジョン冒険者にラブコメはいらない(多分)~正体を隠して普通の生活を送る男子高生、実は最近注目の高ランク冒険者だった~
エース皇命
ファンタジー
学校では正体を隠し、普通の男子高校生を演じている黒瀬才斗。実は仕事でダンジョンに潜っている、最近話題のAランク冒険者だった。
そんな黒瀬の通う高校に突如転校してきた白桃楓香。初対面なのにも関わらず、なぜかいきなり黒瀬に抱きつくという奇行に出る。
「才斗くん、これからよろしくお願いしますねっ」
なんと白桃は黒瀬の直属の部下として派遣された冒険者であり、以後、同じ家で生活を共にし、ダンジョンでの仕事も一緒にすることになるという。
これは、上級冒険者の黒瀬と、美少女転校生の純愛ラブコメディ――ではなく、ちゃんとしたダンジョン・ファンタジー(多分)。
※小説家になろう、カクヨムでも連載しています。
異世界サバイバルゲーム 〜転移先はエアガンが最強魔道具でした〜
九尾の猫
ファンタジー
サバイバルゲームとアウトドアが趣味の主人公が、異世界でサバゲを楽しみます!
って感じで始めたのですが、どうやら王道異世界ファンタジーになりそうです。
ある春の夜、季節外れの霧に包まれた和也は、自分の持ち家と一緒に異世界に転移した。
転移初日からゴブリンの群れが襲来する。
和也はどうやって生き残るのだろうか。
人の才能が見えるようになりました。~いい才能は幸運な俺が育てる~
犬型大
ファンタジー
突如として変わった世界。
塔やゲートが現れて強いものが偉くてお金も稼げる世の中になった。
弱いことは才能がないことであるとみなされて、弱いことは役立たずであるとののしられる。
けれども違ったのだ。
この世の中、強い奴ほど才能がなかった。
これからの時代は本当に才能があるやつが強くなる。
見抜いて、育てる。
育てて、恩を売って、いい暮らしをする。
誰もが知らない才能を見抜け。
そしてこの世界を生き残れ。
なろう、カクヨムその他サイトでも掲載。
更新不定期
(完結)魔王討伐後にパーティー追放されたFランク魔法剣士は、超レア能力【全スキル】を覚えてゲスすぎる勇者達をザマアしつつ世界を救います
しまうま弁当
ファンタジー
魔王討伐直後にクリードは勇者ライオスからパーティーから出て行けといわれるのだった。クリードはパーティー内ではつねにFランクと呼ばれ戦闘にも参加させてもらえず場美雑言は当たり前でクリードはもう勇者パーティーから出て行きたいと常々考えていたので、いい機会だと思って出て行く事にした。だがラストダンジョンから脱出に必要なリアーの羽はライオス達は分けてくれなかったので、仕方なく一階層づつ上っていく事を決めたのだった。だがなぜか後ろから勇者パーティー内で唯一のヒロインであるミリーが追いかけてきて一緒に脱出しようと言ってくれたのだった。切羽詰まっていると感じたクリードはミリーと一緒に脱出を図ろうとするが、後ろから追いかけてきたメンバーに石にされてしまったのだった。
【もうダメだ!】貧乏大学生、絶望から一気に成り上がる〜もし、無属性でFランクの俺が異文明の魔道兵器を担いでダンジョンに潜ったら〜
KEINO
ファンタジー
貧乏大学生の探索者はダンジョンに潜り、全てを覆す。
~あらすじ~
世界に突如出現した異次元空間「ダンジョン」。
そこから産出される魔石は人類に無限のエネルギーをもたらし、アーティファクトは魔法の力を授けた。
しかし、その恩恵は平等ではなかった。
富と力はダンジョン利権を牛耳る企業と、「属性適性」という特別な才能を持つ「選ばれし者」たちに独占され、世界は新たな格差社会へと変貌していた。
そんな歪んだ現代日本で、及川翔は「無属性」という最底辺の烙印を押された青年だった。
彼には魔法の才能も、富も、未来への希望もない。
あるのは、両親を失った二年前のダンジョン氾濫で、原因不明の昏睡状態に陥った最愛の妹、美咲を救うという、ただ一つの願いだけだった。
妹を治すため、彼は最先端の「魔力生体学」を学ぶが、学費と治療費という冷酷な現実が彼の行く手を阻む。
希望と絶望の狭間で、翔に残された道はただ一つ――危険なダンジョンに潜り、泥臭く魔石を稼ぐこと。
英雄とも呼べるようなSランク探索者が脚光を浴びる華やかな世界とは裏腹に、翔は今日も一人、薄暗いダンジョンの奥へと足を踏み入れる。
これは、神に選ばれなかった「持たざる者」が、絶望的な現実にもがきながら、たった一つの希望を掴むために抗い、やがて世界の真実と向き合う、戦いの物語。
彼の「無属性」の力が、世界を揺るがす光となることを、彼はまだ知らない。
テンプレのダンジョン物を書いてみたくなり、手を出しました。
SF味が増してくるのは結構先の予定です。
スローペースですが、しっかりと世界観を楽しんでもらえる作品になってると思います。
良かったら読んでください!
魔力0の貴族次男に転生しましたが、気功スキルで補った魔力で強い魔法を使い無双します
burazu
ファンタジー
事故で命を落とした青年はジュン・ラオールという貴族の次男として生まれ変わるが魔力0という鑑定を受け次男であるにもかかわらず継承権最下位へと降格してしまう。事実上継承権を失ったジュンは騎士団長メイルより剣の指導を受け、剣に気を込める気功スキルを学ぶ。
その気功スキルの才能が開花し、自然界より魔力を吸収し強力な魔法のような力を次から次へと使用し父達を驚愕させる。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる