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第五章
あの人を追いかけて4
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「で、でもあんな大金」
「じゃあさ、いつか返してよ。余裕ができた時でいいから」
余裕ができた時に返せばいいなんて実質的には返さなくていいと言っているのと同じ。
この先リュードを助け出して旅を再開することになったらミュリウォとは別れることになるし、きっと会うこともなくなる。
旅をしている人を探し出してお金を返すなんて至難の業で、まして定住するミュリウォたちが現実的にお金を返せることなんてないだろう。
つまりルフォンは返さなくていいと言っているのだ。
なんとなくリュードっぽい言い回しだとラストはひっそり思った。
「う……あ、ありがとうございます!」
ミュリウォも鈍い人ではない。
ルフォンが本気で返さなくてもいいと言ってくれていることを察して深々と頭を下げた。
もし機会があるならば本気で返すつもりはあるがルフォンの心意気に感動していた。
大切な人を助けたいという気持ちは同じである。
人攫いについては噂を聞く限りでは人攫いは同じグループのようだ。
とりあえず同じ人攫いに攫われたなら同じところにいる可能性は考えられる。
さらに奴隷が集められた大会があるならば最終的にはそこに集まる可能性は非常に高い。
ついでだと言うのは言葉は悪いがリュードを大会で探すならトーイも探しても大きくは変わらない。
むしろリュードは目立つのでトーイの方が見つかればそこからリュードの足取りを終える可能性もあった。
まだもうちょっと心を開き切ってはいないが同じ目的を持つ仲間である。
お金の問題くらいは些事である。
「ですがマヤノブッカですか……とても面倒なところですね」
ルフォンとラストはマヤノブッカがどんなところか分かっていないのでミュリウォが説明する。
リュードは知っていたが行くつもりのないところであったので、リュードも特に触れることがなく知らなかったのだ。
荒れたところとして有名でトゥジュームというよりは他の国との空白地帯にある中規模の都市だと伝えた。
確かに非合法の大会をやるにはちょうどよさそうな場所である。
「危ない場所でも行くしかないよ」
少しでも可能性があるなら、リュードに繋がる何かが見つけられるなら地の底にだって行く。
「危ないところにいるなら余計助けなきゃ! 絶対助けるよ、ルフォン!」
ラストだって同じ気持ちだ。
何度も危機を助けてくれた大事な恩人の危機なのだ、まだ何の恩も返せていないのにリュードを失うわけにはいかない。
「……そうですね、私もトーイの事諦めません。微力ながら頑張ります!」
三人は決意を一つにしてマヤノブッカに向かうことに決めたのであった。
どっちにしろ情報ギルドはルフォンたちがマヤノブッカの方に向かうと思っているので情報を得るのにもマヤノブッカ方面に行かなきゃいけない。
じっと待っているより動いた方がルフォンたちの性に合っている。
急ぐ、けれど冷静に。
ーーーーー
ルフォンたちはマヤノブッカに向かった。
旅に不慣れなミュリウォも必死に食らいついて移動する。
あんなところに行くのはやめときな、なんて言われることも飽き飽きしてきたので行き先を聞かれても答えなくなった。
「失礼します。サドゥパガンの者です」
女性だけだと視線も集めることもなく順調にルフォンたちは旅を進めていた。
行程としては半分ほど来て宿で休んでいたところに突然宿のドアが控えめにノックされた。
ルフォンたちを訪ねる人はいないはずとルフォンがナイフを構えた。
サドゥパガンだと聞いても警戒を解かず片手にナイフを、もう片方に割符を持ってサッとドアを開ける。
フードをまぶかにかぶった女性が頭を下げ、割符を差し出す。
ナイフをしまって割符を合わせるとギザギザしたところがピタリと合わさり、半端に見えていたサドゥパガンの文字がちゃんと読めるようになる。
「入ってください」
「失礼します」
情報ギルドの者だと確認できたので部屋に招き入れる。
「この度一つ分かったことがありますのでご報告に参りました」
「何が分かったんですか?」
「人攫いの集団について居場所が判明いたしました」
「本当ですか?」
「はい。どうやらここからそう遠くないところに拠点を構えているようです。詳細はこちらにまとめてありますので」
そう言って女性はテーブルに丸めた書類を置いた。
「お探しの人物につきましてはまだ調査中となります。貴族の大会につきましてもまだ開催されておりませんのでお調べできない状況にあります」
「……分かりました」
「人攫いはあまり素行の良くない者の集まりなので向かわれるならお気をつけください」
「ありがとうございます」
情報ギルドはしっかり仕事してくれていた。
割符の片割れを回収して情報ギルドの女性は宿を後にした。
「人攫いか……」
ここに来てもう1つ追うべき重要な対象が見つかってしまった。
人攫いの元にリュードがそのままいることは考えにくいが行き先を知っている可能性はある。
もしかしたらマヤノブッカに行かない方向で話が進むこともありうる。
三人は悩んだ。
どちらがより大切な人に近づけるのか材料が少な過ぎて判断が出来ない。
「じゃあさ、いつか返してよ。余裕ができた時でいいから」
余裕ができた時に返せばいいなんて実質的には返さなくていいと言っているのと同じ。
この先リュードを助け出して旅を再開することになったらミュリウォとは別れることになるし、きっと会うこともなくなる。
旅をしている人を探し出してお金を返すなんて至難の業で、まして定住するミュリウォたちが現実的にお金を返せることなんてないだろう。
つまりルフォンは返さなくていいと言っているのだ。
なんとなくリュードっぽい言い回しだとラストはひっそり思った。
「う……あ、ありがとうございます!」
ミュリウォも鈍い人ではない。
ルフォンが本気で返さなくてもいいと言ってくれていることを察して深々と頭を下げた。
もし機会があるならば本気で返すつもりはあるがルフォンの心意気に感動していた。
大切な人を助けたいという気持ちは同じである。
人攫いについては噂を聞く限りでは人攫いは同じグループのようだ。
とりあえず同じ人攫いに攫われたなら同じところにいる可能性は考えられる。
さらに奴隷が集められた大会があるならば最終的にはそこに集まる可能性は非常に高い。
ついでだと言うのは言葉は悪いがリュードを大会で探すならトーイも探しても大きくは変わらない。
むしろリュードは目立つのでトーイの方が見つかればそこからリュードの足取りを終える可能性もあった。
まだもうちょっと心を開き切ってはいないが同じ目的を持つ仲間である。
お金の問題くらいは些事である。
「ですがマヤノブッカですか……とても面倒なところですね」
ルフォンとラストはマヤノブッカがどんなところか分かっていないのでミュリウォが説明する。
リュードは知っていたが行くつもりのないところであったので、リュードも特に触れることがなく知らなかったのだ。
荒れたところとして有名でトゥジュームというよりは他の国との空白地帯にある中規模の都市だと伝えた。
確かに非合法の大会をやるにはちょうどよさそうな場所である。
「危ない場所でも行くしかないよ」
少しでも可能性があるなら、リュードに繋がる何かが見つけられるなら地の底にだって行く。
「危ないところにいるなら余計助けなきゃ! 絶対助けるよ、ルフォン!」
ラストだって同じ気持ちだ。
何度も危機を助けてくれた大事な恩人の危機なのだ、まだ何の恩も返せていないのにリュードを失うわけにはいかない。
「……そうですね、私もトーイの事諦めません。微力ながら頑張ります!」
三人は決意を一つにしてマヤノブッカに向かうことに決めたのであった。
どっちにしろ情報ギルドはルフォンたちがマヤノブッカの方に向かうと思っているので情報を得るのにもマヤノブッカ方面に行かなきゃいけない。
じっと待っているより動いた方がルフォンたちの性に合っている。
急ぐ、けれど冷静に。
ーーーーー
ルフォンたちはマヤノブッカに向かった。
旅に不慣れなミュリウォも必死に食らいついて移動する。
あんなところに行くのはやめときな、なんて言われることも飽き飽きしてきたので行き先を聞かれても答えなくなった。
「失礼します。サドゥパガンの者です」
女性だけだと視線も集めることもなく順調にルフォンたちは旅を進めていた。
行程としては半分ほど来て宿で休んでいたところに突然宿のドアが控えめにノックされた。
ルフォンたちを訪ねる人はいないはずとルフォンがナイフを構えた。
サドゥパガンだと聞いても警戒を解かず片手にナイフを、もう片方に割符を持ってサッとドアを開ける。
フードをまぶかにかぶった女性が頭を下げ、割符を差し出す。
ナイフをしまって割符を合わせるとギザギザしたところがピタリと合わさり、半端に見えていたサドゥパガンの文字がちゃんと読めるようになる。
「入ってください」
「失礼します」
情報ギルドの者だと確認できたので部屋に招き入れる。
「この度一つ分かったことがありますのでご報告に参りました」
「何が分かったんですか?」
「人攫いの集団について居場所が判明いたしました」
「本当ですか?」
「はい。どうやらここからそう遠くないところに拠点を構えているようです。詳細はこちらにまとめてありますので」
そう言って女性はテーブルに丸めた書類を置いた。
「お探しの人物につきましてはまだ調査中となります。貴族の大会につきましてもまだ開催されておりませんのでお調べできない状況にあります」
「……分かりました」
「人攫いはあまり素行の良くない者の集まりなので向かわれるならお気をつけください」
「ありがとうございます」
情報ギルドはしっかり仕事してくれていた。
割符の片割れを回収して情報ギルドの女性は宿を後にした。
「人攫いか……」
ここに来てもう1つ追うべき重要な対象が見つかってしまった。
人攫いの元にリュードがそのままいることは考えにくいが行き先を知っている可能性はある。
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