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第七章
父親になるってこんな気持ちなのかな3
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「氷神信仰の国であるグルーウィンの王様は氷子などとも呼ばれているのですよ。その起こりは古く……」
氷神信仰は特に聖派を攻撃するものでもないが、他の神を認めていないスタンス上仲良くもしない。
アルフォンスが語る氷神信仰の話を軽く聞きながら、王様である氷子のところに案内される。
ダリルたちはあくまでも冒険者パーティーに所属する聖職者であって、協会に所属しているのではないというのが建前である。
聖者や使徒であることは隠してただの冒険者風として振る舞う。
聖者や使徒である人は活動することも多いのでもしかしたら知っている人もいるかもしれないが、表立って何かをしていない限りは向こうも事を荒立てないだろう。
もしかしたらプラチナランクが特別なルートで傭兵として雇ったと考えてくれるかもしれない。
「こちらです。失礼のないようお願いいたします」
こうして真っ白な集団となったリュードたち一行は氷子に会うことになった。
一国の王様だろうがリュードは緊張しないが、他の人たちはややこわばった表情をしていた。
ウィドウはどちらかと言えば面倒そうな顔。
この中での代表はウィドウなのでウィドウが対応することになるからである。
「よく来てくれた。私はフロスティオン。この国の氷子、言うなれば王である」
透き通る氷を思わせるような明るいブルーの髪、光の加減によっては黒にも見える深いブルーの瞳。
異なった青を持つ中年の美しい女性がこの国の王である氷子だった。
「我々の頭痛の種であったダンジョンを攻略して消してくれたこと感謝いたします」
フロスティオンは玉座から立ち上がるとゆったりと頭を下げる。
王だからとどんな相手にも踏ん反り返っている王もいる。
だがリュードたちはフロスティオンの臣下、臣民ではない。
払うべき必要な敬意を持って接してくれようとするところは好感が持てた。
「いつからか攻略不可と呼ばれ、魔物の討伐すらままならず、ダンジョンブレイクを起こすかもしれないと人々に不安を与えていた存在をあなた方は解決してくださいました。すでに名誉はあなた方の手にありますが名誉だけで人は生きてはいけないもの。我が国とギルドとで共同し、毎年褒賞金を積み立てて参りました。それらはすべてあなた方のものです」
極寒のダンジョンは攻略不可ダンジョンであるために、攻略を促すための褒賞金が設けられていた。
前年までの分はそのままに毎年褒賞金は上乗せされていき、今では莫大な金額になっていた。
攻略した人数もさほど多いとは言えない。
一人頭で割ったとしても相当な金額になるものだった。
「慎んでお受けいたします」
一生遊んでいても暮らせるだけのお金が手に入る。
適当な国に行って領地と爵位を買って、部下に仕事を任せていても生きていけるぐらいにはなる。
ちなみに世界には他にも攻略不可ダンジョンはあって、他のダンジョンも毎年褒賞金を積み立てている。
極寒のダンジョンよりも悪名高いところは非常に長いこと褒賞金が積み立てられていて、攻略すれば王になれるとまで言われている。
国を買えるほどにお金が積み立てられているというのだ。
実際国なんか買えないと思うけど、ものの例えとしては面白い。
「ダンジョンが攻略されて無くなったことを正式に発表して祝うための宴を開こうと思っています。是非ともみなさんには参加していただきたい」
フロスティオンは笑顔で話を続ける。
「我々はダンジョンの消滅を確認しましたが、ギルドの方ではまだ承認が下りていない。数日中には承認が下りてギルドの方から褒賞金が支払われることでしょう」
何事も手続きというのは面倒なものである。
しばらく攻略されていなかったダンジョンが攻略され、その褒賞金を支払う手続きなんてギルドも久々で手間取っている。
「そしてもう一つ話があります。どうでしょうか、望まれる方がいらしたら我が国に迎え入れたいと思うのですが」
これが本題だなとリュードは思う。
攻略不可ダンジョンを攻略したものを自国に引き入れたいというのは当然の話である。
単に逃げ回っていても生き延びることすら容易ではないではないのが、攻略不可ダンジョンだ。
それを攻略してきたとなれば、末端のメンバーであろうと実力は保証されているようなものである。
一人でも攻略不可ダンジョンを攻略した冒険者がいるとなれば、国としても大きなカードであり、他国を牽制できる。
国民もそんな人がいる国だと安心することができるのだ。
優秀な人ならその血統も欲しい。
さらには一人でも抱えられれば攻略不可ダンジョンを攻略した他のメンバーとの繋がりも維持は出来る。
支払われた褒賞金も結局はいくらか国に返ってくるとかさまざまなメリットがある。
「もちろんただでとは言いません。おおよその条件は飲みましょう」
グルーウィンは国の役職や領地、爵位まで大抵の条件を飲むつもりで提案してきた。
貴族もいるが圧倒的に平民の身分が多い冒険者に対しては破格の条件だ。
けれど悪魔の方が条件は良かった、なんてリュードはちょっとだけ思った。
世界の半分なんてことはないが、国を与えて自由にさせてくれるという甘言はなかなか忘れられない。
「今すぐに答えを出すことはない。この提案はこの場限りでなく、例え十年先でも有効であることは今から言っておきましょう」
急いては事を仕損ずる。
寛大な心を見せフロスティオンはその場締めくくった。
氷神信仰は特に聖派を攻撃するものでもないが、他の神を認めていないスタンス上仲良くもしない。
アルフォンスが語る氷神信仰の話を軽く聞きながら、王様である氷子のところに案内される。
ダリルたちはあくまでも冒険者パーティーに所属する聖職者であって、協会に所属しているのではないというのが建前である。
聖者や使徒であることは隠してただの冒険者風として振る舞う。
聖者や使徒である人は活動することも多いのでもしかしたら知っている人もいるかもしれないが、表立って何かをしていない限りは向こうも事を荒立てないだろう。
もしかしたらプラチナランクが特別なルートで傭兵として雇ったと考えてくれるかもしれない。
「こちらです。失礼のないようお願いいたします」
こうして真っ白な集団となったリュードたち一行は氷子に会うことになった。
一国の王様だろうがリュードは緊張しないが、他の人たちはややこわばった表情をしていた。
ウィドウはどちらかと言えば面倒そうな顔。
この中での代表はウィドウなのでウィドウが対応することになるからである。
「よく来てくれた。私はフロスティオン。この国の氷子、言うなれば王である」
透き通る氷を思わせるような明るいブルーの髪、光の加減によっては黒にも見える深いブルーの瞳。
異なった青を持つ中年の美しい女性がこの国の王である氷子だった。
「我々の頭痛の種であったダンジョンを攻略して消してくれたこと感謝いたします」
フロスティオンは玉座から立ち上がるとゆったりと頭を下げる。
王だからとどんな相手にも踏ん反り返っている王もいる。
だがリュードたちはフロスティオンの臣下、臣民ではない。
払うべき必要な敬意を持って接してくれようとするところは好感が持てた。
「いつからか攻略不可と呼ばれ、魔物の討伐すらままならず、ダンジョンブレイクを起こすかもしれないと人々に不安を与えていた存在をあなた方は解決してくださいました。すでに名誉はあなた方の手にありますが名誉だけで人は生きてはいけないもの。我が国とギルドとで共同し、毎年褒賞金を積み立てて参りました。それらはすべてあなた方のものです」
極寒のダンジョンは攻略不可ダンジョンであるために、攻略を促すための褒賞金が設けられていた。
前年までの分はそのままに毎年褒賞金は上乗せされていき、今では莫大な金額になっていた。
攻略した人数もさほど多いとは言えない。
一人頭で割ったとしても相当な金額になるものだった。
「慎んでお受けいたします」
一生遊んでいても暮らせるだけのお金が手に入る。
適当な国に行って領地と爵位を買って、部下に仕事を任せていても生きていけるぐらいにはなる。
ちなみに世界には他にも攻略不可ダンジョンはあって、他のダンジョンも毎年褒賞金を積み立てている。
極寒のダンジョンよりも悪名高いところは非常に長いこと褒賞金が積み立てられていて、攻略すれば王になれるとまで言われている。
国を買えるほどにお金が積み立てられているというのだ。
実際国なんか買えないと思うけど、ものの例えとしては面白い。
「ダンジョンが攻略されて無くなったことを正式に発表して祝うための宴を開こうと思っています。是非ともみなさんには参加していただきたい」
フロスティオンは笑顔で話を続ける。
「我々はダンジョンの消滅を確認しましたが、ギルドの方ではまだ承認が下りていない。数日中には承認が下りてギルドの方から褒賞金が支払われることでしょう」
何事も手続きというのは面倒なものである。
しばらく攻略されていなかったダンジョンが攻略され、その褒賞金を支払う手続きなんてギルドも久々で手間取っている。
「そしてもう一つ話があります。どうでしょうか、望まれる方がいらしたら我が国に迎え入れたいと思うのですが」
これが本題だなとリュードは思う。
攻略不可ダンジョンを攻略したものを自国に引き入れたいというのは当然の話である。
単に逃げ回っていても生き延びることすら容易ではないではないのが、攻略不可ダンジョンだ。
それを攻略してきたとなれば、末端のメンバーであろうと実力は保証されているようなものである。
一人でも攻略不可ダンジョンを攻略した冒険者がいるとなれば、国としても大きなカードであり、他国を牽制できる。
国民もそんな人がいる国だと安心することができるのだ。
優秀な人ならその血統も欲しい。
さらには一人でも抱えられれば攻略不可ダンジョンを攻略した他のメンバーとの繋がりも維持は出来る。
支払われた褒賞金も結局はいくらか国に返ってくるとかさまざまなメリットがある。
「もちろんただでとは言いません。おおよその条件は飲みましょう」
グルーウィンは国の役職や領地、爵位まで大抵の条件を飲むつもりで提案してきた。
貴族もいるが圧倒的に平民の身分が多い冒険者に対しては破格の条件だ。
けれど悪魔の方が条件は良かった、なんてリュードはちょっとだけ思った。
世界の半分なんてことはないが、国を与えて自由にさせてくれるという甘言はなかなか忘れられない。
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寛大な心を見せフロスティオンはその場締めくくった。
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