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1章 奇跡
1話 夢、叶えようか?
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「ああ、空を飛べたらなあ」
誰もが願うそんなことがもし現実になったら?
このお話はそんな願いを叶えた少年から初まるちょっと不思議な心温まる(かもしれない)物語だ。
─────────────────────────────────────
「ああ、空を飛べたらなあ」
少年はつぶやいた。この少年の名は春樹。石川春樹だ。
この少年は空を飛びたかった。それは、学校に遅れるから、などといったしょうもない理由ではない。
子供の頃からの夢だったのだ。
──みんな、夢は叶うと言った。でもなぜ僕の夢は叶わないとみんな馬鹿にするのだろう?
それが気になってしかたなかった。
「その夢、叶えようか?」
後ろから急に出てきたおじさんに春樹は驚き、
「わあっ!」
と声をあげてしまった。このおじさんは誰なのだろう、と春樹は考えつつ、同時に後ろ手でスマホを開き、『110』と番号を入力し、通話ボタンに手を添えた。
「まあまあ、そんなに驚かないで。春樹くん」
なぜぼくの名前を知っているのだろう?と春樹は考え、この男への不信感は大きくなるばかりだ。
「なぜ、僕の名前を知っているんですか?」
思わず聞いてみてしまった。
「それはね、僕が君の……」
そこまで言いかけて男は口を止めてしまった。
「まあでも悪い人じゃあない。それだけは保証する。なんなら免許証とか、パスポートとか、見せようか?」
男が見せた書類には、『Ragtex 石川 恭平』と書かれていた。Ragtexは国内最大手の携帯メーカーで、最近では、化粧品や自動車、ゲームやおもちゃまで製造している。もはや何でもできる、国の中心となる会社だ。
「ん⁇Ragtexの石川恭平⁇いしかわ……きょうへい……⁇ああっっ!!」
石川恭平といったら、僕のおじさんだ。6、7年会っていなかったので全くわからなかった。あわわわ。僕、おじさんになんてことを……。そう思ったのも束の間、たずねられた。
「さあ、これで誰か分かったろう?」
「はい。おじさんですよね?」
「そうだよ、春樹くん」
でもおじさんが空なんか飛ばせてくれるのだろうか?
「これから君をRagtexの最新工場に招待するよ」
「Ragtexの最新工場⁇何を作っているんですか⁇」
春樹は聞いてしまった。でも、実際、何を作っているかなんて想像がつかない。もはやなんでも作っているので、きっと僕の想像を超えるのだろう、と春樹は考えていた。
「それは、ついてからのお楽しみといこうじゃあない」
ますます気になる!絶対に行こう。でも……。一方で悪い噂もある。何されるかわからない。ただ、その気持ちは好奇心に勝ることはできない。よし、行こう!行くことに決めた。
誰もが願うそんなことがもし現実になったら?
このお話はそんな願いを叶えた少年から初まるちょっと不思議な心温まる(かもしれない)物語だ。
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「ああ、空を飛べたらなあ」
少年はつぶやいた。この少年の名は春樹。石川春樹だ。
この少年は空を飛びたかった。それは、学校に遅れるから、などといったしょうもない理由ではない。
子供の頃からの夢だったのだ。
──みんな、夢は叶うと言った。でもなぜ僕の夢は叶わないとみんな馬鹿にするのだろう?
それが気になってしかたなかった。
「その夢、叶えようか?」
後ろから急に出てきたおじさんに春樹は驚き、
「わあっ!」
と声をあげてしまった。このおじさんは誰なのだろう、と春樹は考えつつ、同時に後ろ手でスマホを開き、『110』と番号を入力し、通話ボタンに手を添えた。
「まあまあ、そんなに驚かないで。春樹くん」
なぜぼくの名前を知っているのだろう?と春樹は考え、この男への不信感は大きくなるばかりだ。
「なぜ、僕の名前を知っているんですか?」
思わず聞いてみてしまった。
「それはね、僕が君の……」
そこまで言いかけて男は口を止めてしまった。
「まあでも悪い人じゃあない。それだけは保証する。なんなら免許証とか、パスポートとか、見せようか?」
男が見せた書類には、『Ragtex 石川 恭平』と書かれていた。Ragtexは国内最大手の携帯メーカーで、最近では、化粧品や自動車、ゲームやおもちゃまで製造している。もはや何でもできる、国の中心となる会社だ。
「ん⁇Ragtexの石川恭平⁇いしかわ……きょうへい……⁇ああっっ!!」
石川恭平といったら、僕のおじさんだ。6、7年会っていなかったので全くわからなかった。あわわわ。僕、おじさんになんてことを……。そう思ったのも束の間、たずねられた。
「さあ、これで誰か分かったろう?」
「はい。おじさんですよね?」
「そうだよ、春樹くん」
でもおじさんが空なんか飛ばせてくれるのだろうか?
「これから君をRagtexの最新工場に招待するよ」
「Ragtexの最新工場⁇何を作っているんですか⁇」
春樹は聞いてしまった。でも、実際、何を作っているかなんて想像がつかない。もはやなんでも作っているので、きっと僕の想像を超えるのだろう、と春樹は考えていた。
「それは、ついてからのお楽しみといこうじゃあない」
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