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本編
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「…あ、安里、も、無理だから抜いてくれ」
「もうちょっと待て」
「………?」
振動してなくてもイけないままだし、変わらず痛い。そこに安里が手を伸ばしてきて、リングを外そうとしてくる。
「まだイくなよ」
「んなこと、ったって…っ!」
尿道と棒の隙間を押し潰しているリングがなくなったら、どんなに狭い隙間からでも溢れ出そうだ。
「実はな、龍にもらったの、この棒だけじゃないんだ」
「…っ、」
言葉とともに指先でその棒を弾かれて、そのえぐるような振動にぞくぞくして力が抜けた。イくなって言いつつそういうことをしてくるのがタチ悪い。
安里はそんな俺を笑って、棚の上から、なにかチューブ状の薬のようなものを持ってきた。
「……?」
「龍曰く、滅多に手に入らない上物らしい。ひとつ分けてもらった」
「……??」
それがなにかわからなくて手元をじっと見てると、やっぱり最初に見た通り、塗り薬にしか見えない。
「どうするかわかるか?」
安里がニヤニヤと聞いてくる。どうするか全くわからないのに、嫌な予感だけはする。
「大丈夫。痛くはない」
そう言いながら、安里が俺のモノに刺さっている棒に手を伸ばす。それがゆっくりと抜かれていく感覚に、背筋が震えた。
「…っは、ぁ、」
「イくなよ」
「…っ」
我慢は出来る。けど、刺激されればイきたいと思うのが男の自然だ。
全部抜けるギリギリまでそれが抜かれたら、例の薬のようなものが練り出された。それは白くて、本当に普通の薬みたいだ。
安里はそれを、飛び出してる棒に塗り込みはじめた。棒にある程度塗られたら、またゆっくりと差し込まれていく。
「……、…っ」
塗りつけるようにグリグリと回されて、目の前に白い星が飛んだ。そしたらまたゆっくり出されて、また薬を塗って中に入れられる。それを何度か繰り返したあと、ようやく棒を抜き取ってくれた。
「…安里、さっきの薬、なんだよ」
「…ふ、さぁな」
…ニヤニヤしてる安里の顔を見る限りでは、いいものではなさそうだ。
「さ、後ろ向け」
「…、」
言われた通り、後ろを向く。以前まではそれはただ少しの羞恥心と恐怖を産み出すだけの行為だった。けど、その意味するところを知った今は、変な感じがする。俺が安里のもので、それがこの身体を捧げるための行為なら、悪くはないような気がする。
そんなことを考えてたら、俺の背中を撫でて、安里が笑う。
「ふ、背中、力入ってんな。後ろにも塗るから力抜けよ」
「……っ」
安里の指がゆっくり背骨をなぞって、その感覚に力が抜けた。
妙に緊張してしまうのは、行為の意味をちゃんと理解したから。あれが単なる暴力ではなくて、誰でも抱けるわけじゃないと言った安里の、少なくとも少しは愛ある行為だってわかったから。そうなんだと知ったら、何故か痛いだけだった頃より力が入る。
「…は、やっと、なにをされてるか理解したか」
安里の指が中に入ってくる。薬が潤滑剤になってるせいか痛みはまったくないけど、代わりに妙な感じはすぐ来た。
「…っ、…は、」
「イくなよ。待てるよな?」
「……~っ」
ベッドにうつ伏せで、シーツを握りしめて耐える。必死で頷いたら腰あたりにキスされたのがわかって、余計にたまらなくなった。
「海斗、こっち向け」
くたくたになりながら振り向くと、安里がベルトを外す音が聞こえた。やれって言われたわけでもないけど、そこに手を伸ばしてファスナーを下ろす。それからちょっとだけ元気になってるソレを取り出して舌を這わせたら、ふ、と笑う声が聞こえた。
くわえて、上下する。わかりやすい反応なんかはくれないけど、視線をやってなんとか反応を伺う。喘がせたいとか思っても、余裕そうにニヤニヤ笑うだけだ。
「……、」
「どうした?」
舐めるのに集中したいのに、なんか、疼く。前も、後ろも。原因はどう考えてもさっきの薬だろう。熱いような、痒いような、とにかく疼く。
「…なん、か、変な感じが…、」
「効いてきたみたいだな。…ほら、後ろ向け」
ぺち、と頬を叩かれて、そのままうつ伏せになった。安里の熱いソレが宛がわれて、息が止まりそうになる。そっか、抱かれるんだ、今から。
ず、と中にソレが入ってくる。薬のおかげで滑りがよくて、痛みはほとんどない、薬でじくじく疼いてたそこを鎮めるみたいに、ゆっくり、俺のナカが安里に塞がれていく。
「…っぁ、は、…っ!」
「…、海斗、ほら、わかるか」
ぐ、と奥を突かれて、身体が跳ねた。疼いてたところを満たされて、気持ちよくて思考が飛んで真っ白になる。痛みなんかない、ただただ与えられる快感。
「…っ、あさ、と…、」
中が擦れるたびに、処理しきれないくらいの衝撃が走る。そろそろ慣れてきたかと思ったのに、いつもと全然違って戸惑う。痛みが全くない、行為の意味を知ってる。そのどちらも初めてだ。
「ぅあッ、あ、あッあ、」
「海斗、」
耳元で安里の声が聞こえて熱い吐息が耳にかかって、そのまま首筋を舐められる。余裕なんかまったくないのにそんなことされたら、もっとイきそうになった。
「…ふ、背中、ビクビクしてる。……まだ我慢しろよ」
「……~ッは…、あッ、…ッや、べぇ、って!ぅあッあッ、あッあ、」
もうイきたい。ちょっとでも油断したら出そうだ。それに、早く出してしまって、薬を塗られてじくじく疼いてるモノを精液で洗いたい。
「…あさ、と!も…無理だ…!イきたい…!」
「…ったく、しょうがねえな」
「…、」
イっていいのか、と一瞬喜んだら、安里が動きを止めて、後ろに突っ込まれてた安里のものが抜けた。腕を引かれて、仰向けにひっくり返される。
「……………」
仰向けな俺に覆い被さったまま、安里がじっと俺を見下ろしてくる。
「…?なんだよ」
「…たまには、この体勢でするか」
「えっ」
安里のいきなりの台詞にうろたえる俺を無視して、さっさと足を担がれた。けどいくらなんでも、仰向けで足を開くのは女みたいだし抵抗がある。這いつくばってる上に乗られるのと、全然違う。
安里の顔が見たいと思ったことはある。けど、実際にそうなったら、なんでそんな馬鹿なことを考えたんだろうと思う。
いつもベッドに擦り付けてた情けない顔を、安里に見られるのか。しかも今日は痛くなくて気持ちいい。どんな顔をしてるのか自分でも想像がつかない。
それにもし目を開いて安里と目が合ったら、それだけでもっとおかしくなりそうだ。
「…っあ、安里…、」
そんなことをグダグダ考えてたら、安里のモノが入ってきた。身体の中にそれが入って来てる間、耐えるみたいにちょっと目を細める安里の顔見てたら、なんかいっぱいいっぱいでたまらなくなった。
好きだ、本当に。
全部入り終わったら褒美みたいにキスされた。
さっきも突っ込んでた安里のソレは、限界が近いらしかった。ずっと余裕そうだった安里が、イきそうになったらさすがに余裕がなくなるのがわかった。眉をひそめた顔の色っぽさと、小さく漏れる声が心臓に響く。
「あさ、と、好きだ、好きッだ、」
しがみつきながら言ったら、余裕なさげな安里がふっと笑って、顔を近づけてきた。
口に軽くキスされて、それから鎖骨を舐められてゾクゾクした。安里の動きが荒くなっていく、安里の吐息が首にかかる。
「海斗、」
ブチッ
安里の低い声が俺を呼んだ直後、肉が切れるみたいな音が聞こえて、視界に火花が散った。
「…っ!?」
けど、焼けるような痛みに気がついて、噛まれてんだとようやく理解した。
「…っあ、っぁ、い、てぇ!」
「…、は、」
噛み傷から、ず…と血を吸われる感覚に背筋がゾクゾクして、視界が揺れた。
「もうちょっと待て」
「………?」
振動してなくてもイけないままだし、変わらず痛い。そこに安里が手を伸ばしてきて、リングを外そうとしてくる。
「まだイくなよ」
「んなこと、ったって…っ!」
尿道と棒の隙間を押し潰しているリングがなくなったら、どんなに狭い隙間からでも溢れ出そうだ。
「実はな、龍にもらったの、この棒だけじゃないんだ」
「…っ、」
言葉とともに指先でその棒を弾かれて、そのえぐるような振動にぞくぞくして力が抜けた。イくなって言いつつそういうことをしてくるのがタチ悪い。
安里はそんな俺を笑って、棚の上から、なにかチューブ状の薬のようなものを持ってきた。
「……?」
「龍曰く、滅多に手に入らない上物らしい。ひとつ分けてもらった」
「……??」
それがなにかわからなくて手元をじっと見てると、やっぱり最初に見た通り、塗り薬にしか見えない。
「どうするかわかるか?」
安里がニヤニヤと聞いてくる。どうするか全くわからないのに、嫌な予感だけはする。
「大丈夫。痛くはない」
そう言いながら、安里が俺のモノに刺さっている棒に手を伸ばす。それがゆっくりと抜かれていく感覚に、背筋が震えた。
「…っは、ぁ、」
「イくなよ」
「…っ」
我慢は出来る。けど、刺激されればイきたいと思うのが男の自然だ。
全部抜けるギリギリまでそれが抜かれたら、例の薬のようなものが練り出された。それは白くて、本当に普通の薬みたいだ。
安里はそれを、飛び出してる棒に塗り込みはじめた。棒にある程度塗られたら、またゆっくりと差し込まれていく。
「……、…っ」
塗りつけるようにグリグリと回されて、目の前に白い星が飛んだ。そしたらまたゆっくり出されて、また薬を塗って中に入れられる。それを何度か繰り返したあと、ようやく棒を抜き取ってくれた。
「…安里、さっきの薬、なんだよ」
「…ふ、さぁな」
…ニヤニヤしてる安里の顔を見る限りでは、いいものではなさそうだ。
「さ、後ろ向け」
「…、」
言われた通り、後ろを向く。以前まではそれはただ少しの羞恥心と恐怖を産み出すだけの行為だった。けど、その意味するところを知った今は、変な感じがする。俺が安里のもので、それがこの身体を捧げるための行為なら、悪くはないような気がする。
そんなことを考えてたら、俺の背中を撫でて、安里が笑う。
「ふ、背中、力入ってんな。後ろにも塗るから力抜けよ」
「……っ」
安里の指がゆっくり背骨をなぞって、その感覚に力が抜けた。
妙に緊張してしまうのは、行為の意味をちゃんと理解したから。あれが単なる暴力ではなくて、誰でも抱けるわけじゃないと言った安里の、少なくとも少しは愛ある行為だってわかったから。そうなんだと知ったら、何故か痛いだけだった頃より力が入る。
「…は、やっと、なにをされてるか理解したか」
安里の指が中に入ってくる。薬が潤滑剤になってるせいか痛みはまったくないけど、代わりに妙な感じはすぐ来た。
「…っ、…は、」
「イくなよ。待てるよな?」
「……~っ」
ベッドにうつ伏せで、シーツを握りしめて耐える。必死で頷いたら腰あたりにキスされたのがわかって、余計にたまらなくなった。
「海斗、こっち向け」
くたくたになりながら振り向くと、安里がベルトを外す音が聞こえた。やれって言われたわけでもないけど、そこに手を伸ばしてファスナーを下ろす。それからちょっとだけ元気になってるソレを取り出して舌を這わせたら、ふ、と笑う声が聞こえた。
くわえて、上下する。わかりやすい反応なんかはくれないけど、視線をやってなんとか反応を伺う。喘がせたいとか思っても、余裕そうにニヤニヤ笑うだけだ。
「……、」
「どうした?」
舐めるのに集中したいのに、なんか、疼く。前も、後ろも。原因はどう考えてもさっきの薬だろう。熱いような、痒いような、とにかく疼く。
「…なん、か、変な感じが…、」
「効いてきたみたいだな。…ほら、後ろ向け」
ぺち、と頬を叩かれて、そのままうつ伏せになった。安里の熱いソレが宛がわれて、息が止まりそうになる。そっか、抱かれるんだ、今から。
ず、と中にソレが入ってくる。薬のおかげで滑りがよくて、痛みはほとんどない、薬でじくじく疼いてたそこを鎮めるみたいに、ゆっくり、俺のナカが安里に塞がれていく。
「…っぁ、は、…っ!」
「…、海斗、ほら、わかるか」
ぐ、と奥を突かれて、身体が跳ねた。疼いてたところを満たされて、気持ちよくて思考が飛んで真っ白になる。痛みなんかない、ただただ与えられる快感。
「…っ、あさ、と…、」
中が擦れるたびに、処理しきれないくらいの衝撃が走る。そろそろ慣れてきたかと思ったのに、いつもと全然違って戸惑う。痛みが全くない、行為の意味を知ってる。そのどちらも初めてだ。
「ぅあッ、あ、あッあ、」
「海斗、」
耳元で安里の声が聞こえて熱い吐息が耳にかかって、そのまま首筋を舐められる。余裕なんかまったくないのにそんなことされたら、もっとイきそうになった。
「…ふ、背中、ビクビクしてる。……まだ我慢しろよ」
「……~ッは…、あッ、…ッや、べぇ、って!ぅあッあッ、あッあ、」
もうイきたい。ちょっとでも油断したら出そうだ。それに、早く出してしまって、薬を塗られてじくじく疼いてるモノを精液で洗いたい。
「…あさ、と!も…無理だ…!イきたい…!」
「…ったく、しょうがねえな」
「…、」
イっていいのか、と一瞬喜んだら、安里が動きを止めて、後ろに突っ込まれてた安里のものが抜けた。腕を引かれて、仰向けにひっくり返される。
「……………」
仰向けな俺に覆い被さったまま、安里がじっと俺を見下ろしてくる。
「…?なんだよ」
「…たまには、この体勢でするか」
「えっ」
安里のいきなりの台詞にうろたえる俺を無視して、さっさと足を担がれた。けどいくらなんでも、仰向けで足を開くのは女みたいだし抵抗がある。這いつくばってる上に乗られるのと、全然違う。
安里の顔が見たいと思ったことはある。けど、実際にそうなったら、なんでそんな馬鹿なことを考えたんだろうと思う。
いつもベッドに擦り付けてた情けない顔を、安里に見られるのか。しかも今日は痛くなくて気持ちいい。どんな顔をしてるのか自分でも想像がつかない。
それにもし目を開いて安里と目が合ったら、それだけでもっとおかしくなりそうだ。
「…っあ、安里…、」
そんなことをグダグダ考えてたら、安里のモノが入ってきた。身体の中にそれが入って来てる間、耐えるみたいにちょっと目を細める安里の顔見てたら、なんかいっぱいいっぱいでたまらなくなった。
好きだ、本当に。
全部入り終わったら褒美みたいにキスされた。
さっきも突っ込んでた安里のソレは、限界が近いらしかった。ずっと余裕そうだった安里が、イきそうになったらさすがに余裕がなくなるのがわかった。眉をひそめた顔の色っぽさと、小さく漏れる声が心臓に響く。
「あさ、と、好きだ、好きッだ、」
しがみつきながら言ったら、余裕なさげな安里がふっと笑って、顔を近づけてきた。
口に軽くキスされて、それから鎖骨を舐められてゾクゾクした。安里の動きが荒くなっていく、安里の吐息が首にかかる。
「海斗、」
ブチッ
安里の低い声が俺を呼んだ直後、肉が切れるみたいな音が聞こえて、視界に火花が散った。
「…っ!?」
けど、焼けるような痛みに気がついて、噛まれてんだとようやく理解した。
「…っあ、っぁ、い、てぇ!」
「…、は、」
噛み傷から、ず…と血を吸われる感覚に背筋がゾクゾクして、視界が揺れた。
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