媚薬魔法の優しい使い方

りりぃこ

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魔法の無い三日間③

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 次の日、アウルの寝室にクロウは静かに入っていく。

「今日は遅いよーもう朝ですよー起きてー」

 クロウは起こすが、昨日散々ストレスがかかったり考えたりしたせいか全く起きる気配が無い。

「起きてー。起きないならチューしちゃうよ?」

 いつもならこれで起きるのに今日は全く起きない。

「あら、本当に疲れちゃってんだね。まあ別に起こさなくてもいいか」

 アウルを起こすのを諦めて寝室を出ようとしたクロウは、ふといたずらを思いついた。

 そして、指を2本軽く濡らして、ぐっすりと眠ったままのアウルの唇に、ムニ、と押し付けた。そして軽く唇をこじ開けて舌を指で軽く撫でた。

「ばっ……!!何しやがる!」

 アウルは飛び起きた。

「おはよー」

 クロウはニコニコしてみせる。そんなクロウをアウルは真っ赤な顔で睨みつけた。

「テメェ、本当にキスすんじゃねぇって!」

「キスなんかしてないしー」

 そうニヤニヤしながら二本の指を見せてみる。察したアウルは苦々しい顔をした。

「悪趣味なイタズラしやがって…」

「ヤダなぁー、こんな指なんかで騙されるなんて、ウブすぎじゃないのー?」

 クロウはケラケラ笑いながら寝室を出ていく。


 今日は特にする事も無いので、アウルは魔法具の掃除をする事にした。クロウはクロウで何やら自分の仕事の準備らしく魔法書を読んだり羊皮紙に何やら計算書を書いたりしている。

 ふと、アウルは思い出したようにクロウに話しかけた。

「なあ、昨日言ってた、話好きの魔女に捕まってたって、何の話してたんだ?」

「ああ、いい子いるから紹介するよーってやつ」

 クロウは事も無げに答えた。

「ちょくちょくそろそろ花嫁をーって紹介されるんだけどね。でも俺まだ20年くらい余裕あるし。てか、別に紹介してもらわなくても何とかなる自信あるしさ。アウルと違って」

「一言多いぞ」

 アウルはそう言いながらも感慨深げな顔でクロウを見つめた。

「全然考えもしなかったが……テメェもいずれ花嫁貰うんだな」

「そーだよー」

「なんか、テメェが誰かのモンになるって考えてもなかったな」

「何いってんのさ。アウルももうすぐジャスくんのモンになるでしょうが」

「俺は誰のモンにもならねぇよ。ジャスが俺のモンになるんだ」

「その理論だと、何で俺は人のモンになる言い方なのさ」

 クロウは苦笑する。

「さてはアウル、俺の事、自分のモンだと思ってたな」

 クロウの言葉にアウルは思わずぽかんとした顔になった。

「そう思ってたわ」

「嘘でしょ、冗談で言ったのに」

 クロウは苦笑した。


 アウルは家中の魔法具を磨き上げ、クロウも自分の仕事を終えた。

「明日の午前中には魔法がまた使えるようになるな」

 アウルは自分の手を見つめながら呟いた。

「やっぱキツイ?魔法使えないのって慣れない?」

「ああ、俺が俺じゃなくなるみてぇだ」

 アウルは静かに目をつぶる。

「なあ、明日、アイツは帰ってくると思うか」

「ジャスくん?さあね」

 クロウはわざとそっけなく答える。


 夜が更けてゆき、1日が終わる。

 明日にはまた、アウルにとって『普通』か戻ってくる
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