媚薬魔法の優しい使い方

りりぃこ

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嫌がるんだ

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 アウルの家の玄関に突然、眠り込んだ状態ジャスが、投げ込まれるように入ってきた。

 家で待っていたクロウは慌ててジャスに駆け寄る。

 その後でアウルがのっそりと帰ってきた。

「すぐに見つけたんだね」

 クロウがホッとしたように呼びかけるが、アウルは険しい顔をしていた。

「狼の縄張りの中にいた。バカな奴だ」

 そう言って、玄関で寝惚けているジャスを乱暴に持ち上げた。

「上着だけが飛んできたときは、食われたんじゃねえかって肝が冷えた」

 そうイライラと言いながら、ジャスを自分の部屋へ連れて行く。

 ベットに乱暴に放り投げると、ジャスの手首を掴み、また銀の腕輪を付けた。

「逃げてんじゃねえよクソ」

 イライラしたまま小さな声でアウルは呟く。

 そして、ジャスの顔を持ち上げると乱暴にキスをした。

「え、このタイミングで何してんの?」

 部屋についてきたクロウは、訝しげに問う。

「何って、今日のノルマだろうが。一ヶ月毎日キスしねえとだめなのに、今日まだしてなかったからな。危うく日付が変わるところだった」

 事もなげにアウルは言う。そしてまたキスをし、何度も何度も怒りに任せたキスをする。

「ちょっ、一日一回じゃないの?」

 クロウが慌てて言うと、アウルは面倒くさそうに答える。

「一回より多くしたらだめなのかよ」

「いや、別に……」

「起きたら嫌がるからな。今のうちに大量にキスしてやる。前みたいに、あいつから求めるようになるくらいな」

 そう言ったアウルの目は、ギラギラしていた。

 何度もキスされるジャスは、段々と顔が赤らんでいく。

「そ、それくらいにしておいたら?」

 鬼気迫る勢いでキスを続けるアウルに、クロウは恐る恐る呼びかけた。しかしアウルは聞く耳を持たない。


 初めは、怒りに任せてキスをしていたアウルだったが、次第に壊れ物でも扱うように優しいキスになっていった。口だけではなく、首筋や胸元まで、キスと言うよりは貪り食うようにジャスを口で愛撫していく。そのうち、乱暴にジャスの服を脱がしはじめた。

「もうやめなよ。見てるこっちが恥ずかしくなってくる」

 クロウが苦言を呈す。アウルはクロウの顔を見て呆れたように言った。

「何でテメェの方が顔赤くなってんだよ」

「だってなんか……。そんなことより、手っ取り早く誘惑魔法使えば逃げないんじゃないの」

「無理矢理は駄目だってテメェが言ったんだろうが」

 アウルは険しい顔で言った。するとクロウは首をかしげた。

「え?逃さないための誘惑はいいんじゃない?」

「ん?」

「だって、誘惑で無理矢理契るのはダメかもだけど、逃さないためなら別にいいでしょ?」

 クロウの言葉に、アウルは少し考え込んだ。そして頷いた。

「なるほど、確かに」

「でしょう?」

「でも駄目だ」

「何で?」

「こいつが、嫌がるんだ」

 アウルは、寝ているジャスの顔をそっと撫でる。

 クロウは、白けたような声で、ふうん、と呟いた。

「まあ、確かに、とりあえずこのくらいにしておいてやる」

 アウルはそう言うと、また乱暴にジャスをベットに放り投げた。



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