媚薬魔法の優しい使い方

りりぃこ

文字の大きさ
77 / 114

分かり合おうと ※

しおりを挟む
 気絶したように寝ているジャスを見ながら、アウルは思った。

 ――セックス、しちまってもいいんじゃねえか?

 ジャスは人生を明け渡す覚悟だと言っていた。
 ならもう契のセックスをしてもいいだろう。寝てる間に終わらせてしまうなら問題ないんじゃないか。

 アウルは、ジャスとのしない約束が、自分の欲情に負けつつある自覚があった。

 ――だって無理だろう。あんなに乱れた姿を見て、あんな風に言われて、これで耐えろという方が無理だな。

 アウルは、自分も下着を降ろして陰茎を取り出した。

 そして、ジャスの背中に再度キスをすると、その窄みに、自分の硬くそそり勃つモノをあてがった。

 その時だった。

「……アウル……本当は僕……嫌いじゃないからな……」

「あん?」

 アウルは、急に声を発したジャスの口元に耳を寄せた。

「何だ?何か言ったか」

「……お前との、毎日のキス。キスで……少しずつ……お前と分かり合おうと……思ってる……よ」

 ジャスの目は完全に閉じていて寝ている。寝言だろうか。

「……ああ、クソ!」

 アウルはイライラと叫び、ジャスの窄みから自分の陰茎を離した。

「んな事言われたら!キスの契にするしかねえだろうが!」

 そう言って、くったりと寝ているジャスの腰を上げ、その両足の間に自分の陰茎を挟み込んだ。

「これで勘弁してやる」

 そう呟いて、アウルはジャスの両太腿の間に、何度も自分のそそり勃つ陰茎を叩きつけた。

 ジャスの柔らかい太腿を堪能して、夢中で腰を振り、欲を放つ。

 気づくとジャスも、ダラダラと欲を漏らしていたので、アウルは少し満足した。

 ジャスの頭を優しく撫で、魔法でドロドロになった寝具を軽くかたづけると、アウルは上機嫌で部屋を出て行った。



 次の日、ジャスはぐったりと机にうつ伏せていた。

 朝起きて無理矢理魔法薬を飲ませられたので、キスの中毒性は免れてスッキリしているものの、屈辱感が拭えない。

 途中記憶がなかったので、何されたのかよく覚えていないのも気分が悪い。


「何ダラダラしてんだよ。飯も食ってねえで」

「ちょっと放っておいてくれ」

 ジャスは不貞腐れたようにアウルに背を向ける。

 アウルは黙ってジャスの前にコーヒーのカップを置いた。

 ジャスはチラリとカップを見た。

「いつもなら無理矢理飲ませるくせに」

「何だ、無理矢理の方がお好みみてえだな」

 アウルはそう言って、ジャスの顎をわしづかみにして湯気の立ったコーヒーを流し込もうとした。

「わー!!違うって!やめろよ!」

「何なんだよ、全く」

 アウルはジャスの顎を放して、目の前にドカッと座った。

 ジャスは、仕方なくチビチビとコーヒーを啜る。


「あの、さ」

 目の前で食べるのを監視しているかのようにしているアウルに、ジャスはおそるおそる言った。

「そんなに見ないでよ」

「……んだよ。見るのも駄目なのか」

 チッと舌打ちをして席を立とうとするアウルに、ジャスは慌てて言った。

「違、今のは、単にそんな怖い顔で睨まれてると飲みづらいだけっていうか。駄目とかじゃ」

 ジャスの言葉に、アウルはまた座り直した。

「あのさ、昨日のことだけど」

 ジャスはアウルと目を合わせずに話しだした。

「あん?」

「あの、僕も少し妥協するっていうか…」

「妥協だと?」

「えっと、妥協っていうか。少しアウルと距離縮める努力を、するから」

「ほう」

「えっと、だから昨夜みたいなのは、ちょっと控えてもらいたいんだけど」

「……まあ、そうだな」

 あっさりとアウルは頷いた。そして立ち上がり、ジャスの顎を掴んで少し深めのキスをする。ジャスは無意識的に抵抗して、アウルの胸を押してキスから逃れた。

「おい、急に何すんだ」

「これはいいだろ」

「そっ……れは……。1番勘弁してもらいたいやつ…」

「ふん、素直じゃねえな」

 アウルはニヤリと笑った。

「本当は嫌いじゃねえんだろ?俺とのキスで分かり合おうとしてんだろ?」

「は?何でキスで分かりかえるんだよ。意味わかんねえ」

「……テメェは本当に……自分の発言に責任持てよ……」

 アウルは呆れたようにジャスを睨んだ。



しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

男子高校に入学したらハーレムでした!

はやしかわともえ
BL
閲覧ありがとうございます。 ゆっくり書いていきます。 毎日19時更新です。 よろしくお願い致します。 2022.04.28 お気に入り、栞ありがとうございます。 とても励みになります。 引き続き宜しくお願いします。 2022.05.01 近々番外編SSをあげます。 よければ覗いてみてください。 2022.05.10 お気に入りしてくれてる方、閲覧くださってる方、ありがとうございます。 精一杯書いていきます。 2022.05.15 閲覧、お気に入り、ありがとうございます。 読んでいただけてとても嬉しいです。 近々番外編をあげます。 良ければ覗いてみてください。 2022.05.28 今日で完結です。閲覧、お気に入り本当にありがとうございました。 次作も頑張って書きます。 よろしくおねがいします。

鎖に繋がれた騎士は、敵国で皇帝の愛に囚われる

結衣可
BL
戦場で捕らえられた若き騎士エリアスは、牢に繋がれながらも誇りを折らず、帝国の皇帝オルフェンの瞳を惹きつける。 冷酷と畏怖で人を遠ざけてきた皇帝は、彼を望み、夜ごと逢瀬を重ねていく。 憎しみと抗いのはずが、いつしか芽生える心の揺らぎ。 誇り高き騎士が囚われたのは、冷徹な皇帝の愛。 鎖に繋がれた誇りと、独占欲に満ちた溺愛の行方は――。

魔王の息子を育てることになった俺の話

お鮫
BL
俺が18歳の時森で少年を拾った。その子が将来魔王になることを知りながら俺は今日も息子としてこの子を育てる。そう決意してはや数年。 「今なんつった?よっぽど死にたいんだね。そんなに俺と離れたい?」 現在俺はかわいい息子に殺害予告を受けている。あれ、魔王は?旅に出なくていいの?とりあえず放してくれません? 魔王になる予定の男と育て親のヤンデレBL BLは初めて書きます。見ずらい点多々あるかと思いますが、もしありましたら指摘くださるとありがたいです。 BL大賞エントリー中です。

異世界にやってきたら氷の宰相様が毎日お手製の弁当を持たせてくれる

七瀬京
BL
異世界に召喚された大学生ルイは、この世界を救う「巫覡」として、力を失った宝珠を癒やす役目を与えられる。 だが、異界の食べ物を受けつけない身体に苦しみ、倒れてしまう。 そんな彼を救ったのは、“氷の宰相”と呼ばれる美貌の男・ルースア。 唯一ルイが食べられるのは、彼の手で作られた料理だけ――。 優しさに触れるたび、ルイの胸に芽生える感情は“感謝”か、それとも“恋”か。 穏やかな日々の中で、ふたりの距離は静かに溶け合っていく。 ――心と身体を癒やす、年の差主従ファンタジーBL。

吊るされた少年は惨めな絶頂を繰り返す

五月雨時雨
BL
ブログに掲載した短編です。

やっと退場できるはずだったβの悪役令息。ワンナイトしたらΩになりました。

毒島醜女
BL
目が覚めると、妻であるヒロインを虐げた挙句に彼女の運命の番である皇帝に断罪される最低最低なモラハラDV常習犯の悪役夫、イライ・ロザリンドに転生した。 そんな最期は絶対に避けたいイライはヒーローとヒロインの仲を結ばせつつ、ヒロインと円満に別れる為に策を練った。 彼の努力は実り、主人公たちは結ばれ、イライはお役御免となった。 「これでやっと安心して退場できる」 これまでの自分の努力を労うように酒場で飲んでいたイライは、いい薫りを漂わせる男と意気投合し、彼と一夜を共にしてしまう。 目が覚めると罪悪感に襲われ、すぐさま宿を去っていく。 「これじゃあ原作のイライと変わらないじゃん!」 その後体調不良を訴え、医師に診てもらうととんでもない事を言われたのだった。 「あなた……Ωになっていますよ」 「へ?」 そしてワンナイトをした男がまさかの国の英雄で、まさかまさか求愛し公開プロポーズまでして来て―― オメガバースの世界で運命に導かれる、強引な俺様α×頑張り屋な元悪役令息の元βのΩのラブストーリー。

異世界転移した元コンビニ店長は、獣人騎士様に嫁入りする夢は……見ない!

めがねあざらし
BL
過労死→異世界転移→体液ヒーラー⁈ 社畜すぎて魂が擦り減っていたコンビニ店長・蓮は、女神の凡ミスで異世界送りに。 もらった能力は“全言語理解”と“回復力”! ……ただし、回復スキルの発動条件は「体液経由」です⁈ キスで癒す? 舐めて治す? そんなの変態じゃん! 出会ったのは、狼耳の超絶無骨な騎士・ロナルドと、豹耳騎士・ルース。 最初は“保護対象”だったのに、気づけば戦場の最前線⁈ 攻めも受けも騒がしい異世界で、蓮の安眠と尊厳は守れるのか⁉ -------------------- ※現在同時掲載中の「捨てられΩ、癒しの異能で獣人将軍に囲われてます!?」の元ネタです。出しちゃった!

処理中です...