媚薬魔法の優しい使い方

よかった

　村へ無事に戻ったジャスを、心配そうな顔のマリカが出迎えてくれた。

　もちろん、ジャスを迎えても、アウルの匂いがするなどとポンヤリすることなどはない。

「マリカ！もう完全に解けたんだな！」

「ええ！ジャスのおかげ！」

　マリカは嬉しそうにジャスの両手を握った。

「おかえり、ジャス。ところで、大魔法使いの花嫁になっちゃったんじゃ……？」

「あー、ま、振られちゃった、かな？」

　恥ずかしそうにそう答えると、マリカは目を釣り上げてプリプリと言った。

「まあ！うちの可愛い弟を振るなんて、見る目が無いのね」

「前と言ってること全然違うんだけど」

　呆れたようにジャスは言うが、よく見ると、マリカはとても嬉しそうだった。


　両親ももとに戻っていた。

　ジャスが帰った頃には、シバやマリカと仲直りを済ませていた。

「迷惑をかけた。知らないうちにジャスにも苦労かけたようだな」

　父親が頭を下げるので、ジャスは慌てた。

「いいんだよ。全部もとに戻ったんだから」


　全部もとに戻った。


　両親ももとに戻ったし、村の人達も安心してくれた。

　マリカとシバは、予定通り結婚する。


　よかった。

　全てが終わったのだ。

　ジャスは村の人々を見ながら、嬉しそうに笑った。