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11 指なら‥?
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どうしても自分でシーツを洗いたい、と申し出るとハルタカは建物の裏側にある玉石を敷き詰めた場所に案内してくれた。
「私も何か洗う時はここで行っている。まず私のやり方をみていてくれ」
ハルタカはそう言ってマヒロを少し大きな石に座らせ、シーツを少し広げて玉石の上に置いた。そして右手をかざす。するとハルタカの右手の前に大きな水の玉が現れた。「うわあ!」とマヒロが声を上げるのにも構わず、ハルタカは手をシーツの汚れているところにかざし続ける。水の玉からは激しい水流が迸り、汚れを直撃している。その後水の玉を全体に降らせてシーツ全体をまんべんなく濡らした。
「本当にお水も引っ張ってきちゃうんですねえ」
「ああ」
一度水を止め、持参してきていた小瓶の中身を少しシーツに垂らす。そしてまた離れるとシーツに向かって再び手をかざした。すると今度はシーツが持ち上がり、空中でぐるぐる回転しだした。ふわりといい匂いがする。先ほど垂らしていたものの香りだろうか。一分ほど回転させたらもう一度大きな水の玉を引き寄せその中にシーツを入れてまた回転。水からシーツを引き上げると今度はシーツだけで回転させ、そこに強い風を当てた。
しばらくして完全に乾燥したシーツがふわりと浮き上がったのをハルタカが手で掴み、さっとたたむ。
この作業全てでおよそ五分ほどだった。
ハルタカの手にシーツが収まった時には思わずマヒロは拍手してしまった。ハルタカはなぜ拍手されているのかよくわからなかったようで「なぜ手を打っている?」と訊いてきた。
「すごいなあと思って!‥確かに私がやるより断然早かったですね」
「どうしてもやりたいなら止めはしないが‥」
そう言われて、結局洗うためにハルタカに水を出してもらわないとならないのなら自分がやる意味はあまりないのでは‥?とマヒロは思った。しかし手洗いが基本の世界であれば慣れておいた方がいいかもしれない。少しまだ身体のだるさは残っているから、完全によくなったら試しにさせてもらおう、と考えた。
「そのうちやらせて下さい。まだちょっと身体怠いから治ってから‥」
でお願いします、と言いたかったがその言葉が終わらぬうちにハルタカがつかつかと近づいてきて、がばっとマヒロを抱き上げた。
へっ!?と驚いているとそのまま寝台のある部屋に有無を言わさず連れていかれる。
「痛みやだるさが残っているのに余計なことを考えるな。休め」
「え、いや、そこまで酷いわけじゃ‥」
そう言おうとするマヒロを寝台にそっと下ろした。そして厳しい顔でマヒロの顔を覗き込む。
「お前は結構ひどい状態だった。内臓に折れたあばらが掠ってたんだ。タツリキを流して傷ついたところは修復したがそこに使ったお前自身の体力は回復していない。だからまだ怠いんだ。‥もう少しタツリキを流せば、回復も早まるが‥」
そう言ってそっとマヒロの頬に手を当てる。
いやそれってまたあのディープキス到来!ってやつよな!?それは‥マジで無理・・
「え~、あ、本当に色々ありがとうございます‥で、でも自力でも大人しくしてれば回復するってことですよね?」
「‥そうだが‥」
「大人しくしてます!」
ハルタカはやや不機嫌な顔をしながらもマヒロからは離れた。マヒロはほっと息をついた。恋愛経験値ゼロの身にあのキスはかなりやばい。
「‥指ならどうだ」
ぼそっと低い声でハルタカが告げる。何についての事かさっぱりわからないマヒロは「は?」と返した。ハルタカは腕組みをして不機嫌な顔のままこちらを睨むようにして言葉を続けてくる。
「私の指を咥えてくれるかお前の指を私が咥えるかでもいい、体内粘液を通せばタツリキは通りやすくなる」
‥‥‥‥
‥えーと‥‥‥
私がハルタカさんの指舐めるかハルタカさんが私の指舐めるか、という選択肢を出されているんだなこれは‥
「‥‥ちょっと‥断りたい、です‥‥」
「‥‥‥そうか」
そういうとハルタカはさっと立ち上がりそのままドアのほうに歩きだした。出て行きしなに
「少し出かける。すぐ戻る」
と言い残して、扉の向こうに消えていった。
マヒロは、はーと思わず深いため息をついて、目をつぶった。
イケメンの距離感、つかめん‥。
いや、イケメンだからというより龍人?という種族の考えが読めない。ハルタカさんは何を考えているんだろう。
‥‥そう難しくもないか。興味があることをどんどん聞いたりしたりしている感じだったもんな。
キスしたいわけじゃなくて、私を早く治したい感じだったし。でも、無理なんよイケメンとのキスは!指舐めろって余計なんか‥やらしー感じするし!余計無理だし!
「でも、やっぱり傷つけちゃってるのかなあ‥?そういう気恥ずかしさってこちらの人にはないのかな?あ~~せめてこっちの普通の人とも常識のすり合わせがしたい!」
結局こちらの世界に転移?してきてからはハルタカとしか話をしていない。だから、ハルタカが思っている常識が本当にこの世界の常識なのか、まだわからない部分がある。
デリカシーのなさにドン引く部分はあるが、ハルタカは決して悪い人ではないと思う。自分を気遣って言ってくれている部分もたくさんあるし。
ただ、‥キスだったり抱きしめたりとかのくだりがどうもマヒロはこそばゆくて恥ずかしくてどうしようもない。
「HPが瀕死になるからなあ‥」
そう思ってぼふんと顔を枕に埋めた。
「私も何か洗う時はここで行っている。まず私のやり方をみていてくれ」
ハルタカはそう言ってマヒロを少し大きな石に座らせ、シーツを少し広げて玉石の上に置いた。そして右手をかざす。するとハルタカの右手の前に大きな水の玉が現れた。「うわあ!」とマヒロが声を上げるのにも構わず、ハルタカは手をシーツの汚れているところにかざし続ける。水の玉からは激しい水流が迸り、汚れを直撃している。その後水の玉を全体に降らせてシーツ全体をまんべんなく濡らした。
「本当にお水も引っ張ってきちゃうんですねえ」
「ああ」
一度水を止め、持参してきていた小瓶の中身を少しシーツに垂らす。そしてまた離れるとシーツに向かって再び手をかざした。すると今度はシーツが持ち上がり、空中でぐるぐる回転しだした。ふわりといい匂いがする。先ほど垂らしていたものの香りだろうか。一分ほど回転させたらもう一度大きな水の玉を引き寄せその中にシーツを入れてまた回転。水からシーツを引き上げると今度はシーツだけで回転させ、そこに強い風を当てた。
しばらくして完全に乾燥したシーツがふわりと浮き上がったのをハルタカが手で掴み、さっとたたむ。
この作業全てでおよそ五分ほどだった。
ハルタカの手にシーツが収まった時には思わずマヒロは拍手してしまった。ハルタカはなぜ拍手されているのかよくわからなかったようで「なぜ手を打っている?」と訊いてきた。
「すごいなあと思って!‥確かに私がやるより断然早かったですね」
「どうしてもやりたいなら止めはしないが‥」
そう言われて、結局洗うためにハルタカに水を出してもらわないとならないのなら自分がやる意味はあまりないのでは‥?とマヒロは思った。しかし手洗いが基本の世界であれば慣れておいた方がいいかもしれない。少しまだ身体のだるさは残っているから、完全によくなったら試しにさせてもらおう、と考えた。
「そのうちやらせて下さい。まだちょっと身体怠いから治ってから‥」
でお願いします、と言いたかったがその言葉が終わらぬうちにハルタカがつかつかと近づいてきて、がばっとマヒロを抱き上げた。
へっ!?と驚いているとそのまま寝台のある部屋に有無を言わさず連れていかれる。
「痛みやだるさが残っているのに余計なことを考えるな。休め」
「え、いや、そこまで酷いわけじゃ‥」
そう言おうとするマヒロを寝台にそっと下ろした。そして厳しい顔でマヒロの顔を覗き込む。
「お前は結構ひどい状態だった。内臓に折れたあばらが掠ってたんだ。タツリキを流して傷ついたところは修復したがそこに使ったお前自身の体力は回復していない。だからまだ怠いんだ。‥もう少しタツリキを流せば、回復も早まるが‥」
そう言ってそっとマヒロの頬に手を当てる。
いやそれってまたあのディープキス到来!ってやつよな!?それは‥マジで無理・・
「え~、あ、本当に色々ありがとうございます‥で、でも自力でも大人しくしてれば回復するってことですよね?」
「‥そうだが‥」
「大人しくしてます!」
ハルタカはやや不機嫌な顔をしながらもマヒロからは離れた。マヒロはほっと息をついた。恋愛経験値ゼロの身にあのキスはかなりやばい。
「‥指ならどうだ」
ぼそっと低い声でハルタカが告げる。何についての事かさっぱりわからないマヒロは「は?」と返した。ハルタカは腕組みをして不機嫌な顔のままこちらを睨むようにして言葉を続けてくる。
「私の指を咥えてくれるかお前の指を私が咥えるかでもいい、体内粘液を通せばタツリキは通りやすくなる」
‥‥‥‥
‥えーと‥‥‥
私がハルタカさんの指舐めるかハルタカさんが私の指舐めるか、という選択肢を出されているんだなこれは‥
「‥‥ちょっと‥断りたい、です‥‥」
「‥‥‥そうか」
そういうとハルタカはさっと立ち上がりそのままドアのほうに歩きだした。出て行きしなに
「少し出かける。すぐ戻る」
と言い残して、扉の向こうに消えていった。
マヒロは、はーと思わず深いため息をついて、目をつぶった。
イケメンの距離感、つかめん‥。
いや、イケメンだからというより龍人?という種族の考えが読めない。ハルタカさんは何を考えているんだろう。
‥‥そう難しくもないか。興味があることをどんどん聞いたりしたりしている感じだったもんな。
キスしたいわけじゃなくて、私を早く治したい感じだったし。でも、無理なんよイケメンとのキスは!指舐めろって余計なんか‥やらしー感じするし!余計無理だし!
「でも、やっぱり傷つけちゃってるのかなあ‥?そういう気恥ずかしさってこちらの人にはないのかな?あ~~せめてこっちの普通の人とも常識のすり合わせがしたい!」
結局こちらの世界に転移?してきてからはハルタカとしか話をしていない。だから、ハルタカが思っている常識が本当にこの世界の常識なのか、まだわからない部分がある。
デリカシーのなさにドン引く部分はあるが、ハルタカは決して悪い人ではないと思う。自分を気遣って言ってくれている部分もたくさんあるし。
ただ、‥キスだったり抱きしめたりとかのくだりがどうもマヒロはこそばゆくて恥ずかしくてどうしようもない。
「HPが瀕死になるからなあ‥」
そう思ってぼふんと顔を枕に埋めた。
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