朧月

寂しさを埋めるモノ

0.1

あまりの頭痛に目を覚ましたのは、昼の13時。
うーんと起き上がると、散らばった酎ハイの缶が大量に。

朋美と朋樹はまだ爆睡していた。

よっこらしょ、と立ち上がり一階に降りると、不機嫌そうな朋美の母親の姿。

「あ…お邪魔してます…」

ボサボサの頭に浮腫きった顔で挨拶をすると、シジミの味噌汁を机に置き私を座らせる。

「酷い顔してるわね、いつもいつも」

煙草に火を着けて私の顔をまじまじとみる朋美のお母さん。
私の好きな白味噌の味噌汁は、とても美味しかった。

「昨日学校から電話があってね、朋美の事で校長先生がとてもお怒りになっていたの」

「…朋美、何かあったんですか？」

スッと渡された大きな茶封筒。
中を開けて写真と書類を取り出すと、朋美が援助交際していた時の写真等が出てきた。

「今朝学校に行ってね、お話を伺ってきたの。私は娘にはキチンと卒業して、いい人生を送って欲しいと思ってる」

「朋美は、退学になっちゃうんですか？」

「これだけ多くの学校の秩序を乱す証拠があるからね。皐月ちゃんは朋美の友達でしょう？私から言っても聞かないから、高卒認定試験を受けさせる話をしてくれないかしら、お願い…」

高卒認定試験って、何だろう？
そう聞こうとしたが、あまりにも悲しそうな表情をしている朋美のお母さんに何も言えずに頷くしか出来なかった。

「ありがとう…」

「大丈夫ですよ！私も退学になったから2人で受けようって言えば朋美もするだろうし！」

「2人揃って退学になったの…？」

「はい！なりました！」

元気良く答えた私を、恨めしそうに睨む朋美のお母さん。
笑って誤魔化したが、やらかした感が半端じゃ無かった。