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大葉 朋美
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しおりを挟むあまりの男運の無さに泣いていると、携帯が鳴った。
弟の朋樹からだ。
『もしもし姉ちゃん?皐月が乗り込んできたけど…って、姉ちゃんも泣いてんの?』
鼻を大きく啜りながら、これまでの男達も皆妻子持ちや彼女持ちだった事が頭の中でグルグルと浮かび上がる。
「またかよぉぉぉ!!」
寝静まった静かな住宅街で、私の声が響き渡った。
電話越しでは朋樹の溜息が聴こえてくる。
「お前らまた男にやり逃げされたんだろ…はぁ…」
今日はSEX自体しなかったのに、つい反射的にやり逃げされたような言い回しをした。
そしたら皐月と被って、余計に涙が溢れ出す。
「毎回俺に愚痴聞かしてんのどこのどいつらだ!!」
そう言って切られた電話。
無性に寂しさが溢れ出して、気がつけば私は全力で走っていた。
「一途に愛されたいだけなのに…こんな人生嫌だぁぁぁ!!」
周りから見ればいい迷惑だと言われそうな雄叫びを、綺麗な朧月だけが静かに見守っていた。
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