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変わる世界
5.8
しおりを挟む杏果と美菜と別れ、2人で家までの道のりをトボトボと歩く。
綺麗な夕暮れが、桜を照らしていた。
「ねぇ皐月」
朋美はカバンから小さな袋と手紙を取り出し、私に手渡す。
中を開けて見ると、そこにはミサンガが入っていて。
「手紙は照れ臭いから帰ってから見て、またね!」
くるっと私に背を向けて、家とは逆方向の道を走り去って行った朋美。
まあいいか、と思って一人で家に帰ると、そこには相原と竹内と道重の姿が。
「皐月の母ちゃんに呼ばれたんだよ~、ところでさ、美菜ちゃんと知り合いだったの?」
竹内はニヤニヤ笑みを浮かべて家の中でシャボン玉を膨らませていた。
「何で美菜の事知ってたの?」
「昔のバイト先が一緒だったからな!これで俺もリア充か~、くぅ~!!」
道重も最近彼女が出来たそうで。
自分だけ彼女が居ない事で、二人を妬んでいたと話した。
「いいだろ~」
相原は私に抱きつき、竹内の顔を見てニヤニヤと笑う。
竹内は悔しそうにシャボン玉を私達の顔面に向けて吹き、奇声を上げていた。
「あら、皐月帰ってたの」
お母さんは寝巻き姿のスッピンでお風呂場から出てきて、大量のオムライスを作ってくれた。
それを全員で食べながらテレビを見ていると、突然お母さんが口を開いた。
「そうだ、人を1人呼んでもいいかしら」
「いいっすよ!何人でも!」
まるで我が家に住んでいる様に受け答えする相原。
道重と竹内もウキウキしながらその人が来るのを待っていた。
しばらくして玄関のチャイムが鳴り、お母さんが受け答えする。
「初めまして、吉野と申します。」
中に入って来たのは、スーツ姿で髪の毛をビシッと整えた少し若目な男性。
軽く挨拶をして、その男性はお母さんの隣の席に座る。
「この人と結婚しようと思うんだけど、どうかしら?」
「「「「はぁ!!??」」」」
盛大にハモって声を出すと、吉野さんとお母さんは笑ってお互いの顔を見つめ合う。
「すぐにじゃ無いわ、結婚前提でお付き合いしている方なの」
何処でそんな人を捕まえたのだ、と内心パニックになって相原を見ると、放心状態で開いた口が塞がっていなくて。
竹内と道重は興奮して、吉野さんに質問攻めしていた。
「ずっと皐月ちゃんに挨拶をしたかったんだ、だけど色々大変だって話を聞いていたから。落ち着いたら挨拶をしようって話をしててね?」
照れ臭そうに微笑む吉野さん。
去年の冬から付き合い出したと話した。
「じゃあ、吉野さん送って行くから、ゆっくりご飯食べてなさい」
パタンと閉まった扉。
道重と竹内だけが、ひたすら興奮していた。
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