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第2章 精霊王
13話 街道
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翌朝から俺たちは遠く西にある城下町へと向かう。
目的は主に3つだ。
1つはサルヴァン国王に謁見し、此度の報告をすること。
2つ目は大水晶で3人が上位職になるということ。
そして一番大事なのが。
「王国を満喫することだ!」
とはいえ今は荷馬車も来ておらず、次の来る予定も知らされていない。
「ダンジョンでさ、最悪全員を別の場所へ送る方法があるって言ってなかったっけ?」
ピルスルは確かにそんな事を言っていた、色々手段を持っていそうなのに出し渋っているのだろうか?
それに、時折王様に連絡しているらしいのだが、どうやって?
「儂一人だけ先に行っても良いというならそうするが、あの時に言っていた方法っちゅうのはまた別じゃ」
あまり言いたくはなさそうに喋り始めるのだった。
その方法とは…。
【対象】を、なるべく近くで魔素のより薄い場所へ飛ばす魔法らしい。
しかし、これは魔素の塊である魔物には効かないので飛ばすなら味方の方である。
そして、下手をすれば仲間が散り散りになる上、どこに出るかもわからないときた。
もっと上達すれば場所指定も上手くいくのだろうが、曖昧な指定という条件でなんとか使えるものであって、特に現状役立つ能力でもないと言うのだ。
「そりゃ確かに最後の手段だな、なんで教会で鈴買っておいてくれなかったんだよ?」
「失念しておったわ」
そう即答されたのだった。
「海でも森でも、魔素が濃いダンジョン以外なら死にはせんじゃろ、おそらく」
そんな危険な方法を手段として用いようだなんて…。
それじゃあ仕方ない、そんな不確かな魔法になど頼る事はできんのだから歩くとしよう。
街に出て西は若干整備されているとも言える。
だからといって魔物が出ないわけではなく、まぁ時折出て来る、むしろ出てくるのが当たり前である。
柵があるわけじゃないからあちこちから飛び出して来たりするらしい。
なんて喋ってたらさっそく狼が群れで飛び出してくるのだ。
「ウルフって夜にしか出ないんじゃないのかよ!俺あいつ苦手だわ」
森での思い出が蘇る。
「あれは軍狼じゃ、昔から襲われる行商人が多くてかなわん」
近づかれると怖いのでさっさと倒してしまうか、と矢を射ったのだがあっさり躱されてしまった。
「あの魔物って、超感覚みたいの持ってまして…遠くからの攻撃って大体察知されて避けられちゃうんです。
いつもドルヴィンさんが引きつけてから倒してましたよ」
レギが説明するのだけど、やけに落ち着いてやがる。
「で、どうすればいいんだ?!」
「まぁ見とれ」
ピルスルが前に立って短剣を握りしめる。
「此奴らは、な…だいたい3メートルほどまで近づくと一気に飛びかかって来る。
一度にせいぜい2匹までじゃが、連続で来るから次を見極めにゃいかんぞ」
と、説明をしながら最初に飛びかかる一体をギリギリで躱し、狼の脇に強烈な一撃をくわえるのだった。
「クォォオオーン…」
瞬殺だ。
『さっ…さっ…ささっ…さささっ!』っと見事に避けるピルスル。
『綺麗に避けなるなぁ』とローズも感心しているのだった。
ん?避けるだけ?
「一匹しか倒さないのか?」
俺が問う。
「何を言うとる?お主の練習台じゃろうが」
「え…?」
まさかの悪夢が蘇ろうとしているのだった。
それからしばらく悪魔の特訓が続き、何組かの軍狼と戦った。
「もうそろそろ良いじゃろ、あとは儂が片付けるか」
そうピルスルが言うと、右手を前に突き出し、次の瞬間…。
狼たちの動きが完全に止まってしまうのだった。
「てめぇー…」
「はっはっ、時には訓練も必要じゃろうて」
「しっかし、出現するの減らせるんなら全く出ないようにしてくれれば良いのにな」
「そうやね、安全に進めるんやったら商人らももっと来る思うんやけど」
ローズも同意といった感じで。
「そいつはちと違うぞ」
ピルスルの講義の時間が始まる。
完全に魔素がなければ魔物も出ない。
つまりそれは大地の命が尽きることを意味する。
ある大地では事実そのようなことが起き、魔物も出ないが草木一本生えない場所があるのだそうで。
非常に眺めは良いのだけれど、この世界では【戒めの象徴】として訪れるものは滅多にいないのだった。
「そもそも、この街道が作られたのも100年より前の話じゃ」
あぁ、なるほど失われた技術ってやつか。
多少の魔物が出るくらいで、世界が滅びずにいるのだから『良し』とされているのが、この世界の考え方なのだそうだった。
目的は主に3つだ。
1つはサルヴァン国王に謁見し、此度の報告をすること。
2つ目は大水晶で3人が上位職になるということ。
そして一番大事なのが。
「王国を満喫することだ!」
とはいえ今は荷馬車も来ておらず、次の来る予定も知らされていない。
「ダンジョンでさ、最悪全員を別の場所へ送る方法があるって言ってなかったっけ?」
ピルスルは確かにそんな事を言っていた、色々手段を持っていそうなのに出し渋っているのだろうか?
それに、時折王様に連絡しているらしいのだが、どうやって?
「儂一人だけ先に行っても良いというならそうするが、あの時に言っていた方法っちゅうのはまた別じゃ」
あまり言いたくはなさそうに喋り始めるのだった。
その方法とは…。
【対象】を、なるべく近くで魔素のより薄い場所へ飛ばす魔法らしい。
しかし、これは魔素の塊である魔物には効かないので飛ばすなら味方の方である。
そして、下手をすれば仲間が散り散りになる上、どこに出るかもわからないときた。
もっと上達すれば場所指定も上手くいくのだろうが、曖昧な指定という条件でなんとか使えるものであって、特に現状役立つ能力でもないと言うのだ。
「そりゃ確かに最後の手段だな、なんで教会で鈴買っておいてくれなかったんだよ?」
「失念しておったわ」
そう即答されたのだった。
「海でも森でも、魔素が濃いダンジョン以外なら死にはせんじゃろ、おそらく」
そんな危険な方法を手段として用いようだなんて…。
それじゃあ仕方ない、そんな不確かな魔法になど頼る事はできんのだから歩くとしよう。
街に出て西は若干整備されているとも言える。
だからといって魔物が出ないわけではなく、まぁ時折出て来る、むしろ出てくるのが当たり前である。
柵があるわけじゃないからあちこちから飛び出して来たりするらしい。
なんて喋ってたらさっそく狼が群れで飛び出してくるのだ。
「ウルフって夜にしか出ないんじゃないのかよ!俺あいつ苦手だわ」
森での思い出が蘇る。
「あれは軍狼じゃ、昔から襲われる行商人が多くてかなわん」
近づかれると怖いのでさっさと倒してしまうか、と矢を射ったのだがあっさり躱されてしまった。
「あの魔物って、超感覚みたいの持ってまして…遠くからの攻撃って大体察知されて避けられちゃうんです。
いつもドルヴィンさんが引きつけてから倒してましたよ」
レギが説明するのだけど、やけに落ち着いてやがる。
「で、どうすればいいんだ?!」
「まぁ見とれ」
ピルスルが前に立って短剣を握りしめる。
「此奴らは、な…だいたい3メートルほどまで近づくと一気に飛びかかって来る。
一度にせいぜい2匹までじゃが、連続で来るから次を見極めにゃいかんぞ」
と、説明をしながら最初に飛びかかる一体をギリギリで躱し、狼の脇に強烈な一撃をくわえるのだった。
「クォォオオーン…」
瞬殺だ。
『さっ…さっ…ささっ…さささっ!』っと見事に避けるピルスル。
『綺麗に避けなるなぁ』とローズも感心しているのだった。
ん?避けるだけ?
「一匹しか倒さないのか?」
俺が問う。
「何を言うとる?お主の練習台じゃろうが」
「え…?」
まさかの悪夢が蘇ろうとしているのだった。
それからしばらく悪魔の特訓が続き、何組かの軍狼と戦った。
「もうそろそろ良いじゃろ、あとは儂が片付けるか」
そうピルスルが言うと、右手を前に突き出し、次の瞬間…。
狼たちの動きが完全に止まってしまうのだった。
「てめぇー…」
「はっはっ、時には訓練も必要じゃろうて」
「しっかし、出現するの減らせるんなら全く出ないようにしてくれれば良いのにな」
「そうやね、安全に進めるんやったら商人らももっと来る思うんやけど」
ローズも同意といった感じで。
「そいつはちと違うぞ」
ピルスルの講義の時間が始まる。
完全に魔素がなければ魔物も出ない。
つまりそれは大地の命が尽きることを意味する。
ある大地では事実そのようなことが起き、魔物も出ないが草木一本生えない場所があるのだそうで。
非常に眺めは良いのだけれど、この世界では【戒めの象徴】として訪れるものは滅多にいないのだった。
「そもそも、この街道が作られたのも100年より前の話じゃ」
あぁ、なるほど失われた技術ってやつか。
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