隠しスキルを手に入れた俺のうぬ惚れ人生

紅柄ねこ(Bengara Neko)

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第3章 消えた街

第10話 消えた街①

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 俺たちは、白狼に乗りリキングバウトに向かう。
 道中強力な個体だけは始末していたので、辺りはすっかりと暗くなっていたのだ。

 だが不思議なことにどれだけ走っても街の篝火は見えてこないのだ。
 避難したのだから当然といえば当然なのかもしれないのだが、ドルヴィンは『待つ』と言っていたのだ。
 
「どうした?シロ」
 なにか魔物でもいるようで、『グルル』と唸る白狼たち。
 周りを見回しても魔物の姿らしきものは見えず、音も聞こえない。
 ミドもまた、近くにいる強い魔物に警戒するよう皆に言っていた。

 白狼達は警戒を続けピクリとも動かない。
 魔物の姿を確認せねば、と辺りを照らす光球魔法も屋外ではほとんど役には立たなかった。
 俺がインベントリからドロップアイテムの毛皮を取り出す。先程の戦闘で随分と手に入ったので、これに火をつけ辺りを照らそうと考えたのだ。

 いくつかを地面に置き、ローズが魔法を使おうとすると、先程までとはうって変わり辺りにズルズルと這う音が響いてくる。
 白狼達も音に驚いてか急に飛び退いた。

「ローズ!」
「わかっとるよ、ちょっと、動かんとってや!」
 なんとか行使された炎魔法が毛皮に火をつける。
 次第に大きくなる炎が辺りを照らす。

「なんなのです……?大きな、水たまり?」
 ミドには水たまりに見えたのだが、濁った池か沼と言われてもおかしくない大きさのものが、そこにはあったのだった。

「まさか……これが魔物か?」
 ズルズルと火から遠ざかる魔物。
 火に弱いならと俺がフレイムボムを取り出し構える。それを『投げちゃダメ』とミドが制止するのだ。

「なぜだ?こんなよくわからん魔物は倒してしまった方が良いだろう?」
「違うのよ、多分そいつスライムだと思うのよ。
 スライムは強力な酸を色素として持ってるの、だから…」
 そう言って、普通を矢を魔物に射ちこむミド。矢と、そして刺さったところから飛び散った魔物の体液らしきものが周りで音を立て煙と化していく。

 そこまでで皆ミドの言いたいことを理解した。俺はそっとフレイムボムをインベントリに戻したのである。

「じゃあどうやって倒せばいいんだよ?」
「ダメ、あんな強力な個体を飛び散らせる前に一撃で仕留める方法なんて……。
 武器を失っても良いならその魔剣ならもしかしたらできるかもしれないけれど……」

 俺が、蒸発させたり凍らせたらどうかと言ったら、実際はそういったやり方は難しいらしいのだ。
 炎を使った場合は、その身を弾けさせ周りに被害が出る。
 凍らせようとしても、全く効き目がないらしい。

 ならばいっそ結界に隠れながら爆散させまくれば良いのでは?というローズの提案も、どこまで耐えられるかわからないからと却下された。

 とりあえずはこちらに襲いかかってくる意思は無さそうなのだが、もし街に向かったらと思うと、やはり今のうちに始末しておきたい気持ちになるのだ。

 それに……この辺りにあるはずの街が見当たらない。
 もしかしたら、という気持ちが俺たちの思考を鈍らせている。
 ひとまず皆の無事の確認が先か、今ここでどうにか倒す方法を考えるべきか。

 そうしている間に燃え尽きてしまう毛皮の山。再びズルズルと近寄るスライムは、その灰になった毛皮を呑み込み身体に取り込んでいたのだ。

「ダメ、このスライムやっぱり物を取り込んで強力になっていってる。早いうちに倒しちゃわないと大変なことになっちゃうよ」
 俺たちは少し距離を取り、とにかく一度魔法を当ててみることにした。
 決して大きく飛び散らぬよう、こちらに被害が及ばぬよう、注意をしながら。

「ローズお姉様、可能性のある方法も一つ思いついたので試していただけます?」
 ミドがローズに指示をしたのは水魔法の行使、威力はなく生活魔法の一部と言われる水生成魔法だ。これをスライムに取り込ませ、少しでも酸が薄まればと考えたようである。

 ミドも同じく可能な限りの水を生成するのだが、出てくる水の量などしれている。
 たとえ倍の体積になるまで水魔法を行使できたとしても、大した効果は得られなかったのかもしれない。その前にあっさりと魔力が尽きてしまったのだから。
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