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休暇とお小遣い
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そんなパティだったが、マナを感じ魔道具作りに興味を示す冒険者と出会うことになった。
素直に教えを乞い、思わぬ反応を見せる男シン。
パティから見れば、ほんの赤ん坊にも感じる歳の者ではあるが、そんな男の言葉が、仕草が非常に嬉しく感じていたのだ。
まだまだマナの本質を掴むのは先になるのだろうが、出会ったばかりの者の言う話を疑うことなく聞き入れている。
そうなると、単純にレシピに沿った魔道具作りではない、さまざまなことを教えてやりたいと思うようになった。
そして数日して、シンには『明日は休みだから好きにすればいい』とだけ。
どうせ魔道具を作るには色々と準備が必要になる。
きっとスライムを倒し、薬草を採取するしかできることはないはずだと。そう考えつつも、一体何をするのだろうかと気になってしまうパティ。
食事中もいつもなら、早く部屋に戻ってマナに触れていたいと思うのだが、この時ばかりはシンが何をするのか気になって仕方ない。
「フェルト、アンタも少し気分転換しな。
ベルクラウスには私からも言っておいてやるよ」
「すみません……僕もまだまだですね」
「あははっ。そう簡単に私の域に達してなるもんかい。
何事も勉強さね。考えることが己を作る土台になっていくんだよ」
そんな休み前の晩の食事時、アビルマはフェルトの悩みを聞いていた。
ギルドに入って数年、まだまだ学ぶことが多いフェルトだが、アビルマ自身が手一杯ということと、商才がありそうだというアビルマの感だけで受付に立つことになっている。
そんな話は正直パティには関係ない。
我関せずと聞き耳を立てることもなく、いつもなら無言でさっさと食事を終えてしまうのだ。
だが、いつもと違うパティにアビルマが声をかけてくる。
「どうしたんだいパティ?
箸が止まるなんて珍しいじゃないかい」
「え? あ……いや、なんでもないよ。
ごちそうさまっ!」
パシッとテーブルに箸を置き、立ち上がるパティ。
「そういや今回は上手くやってるみたいじゃないかい。
アンタが本気を出してくれたらギルドにとっても大きな利益だよ。
どうだい? 明日あたり、フェルトを連れて気分転換に外へと出かけようとは思わないかい?」
立ち去ろうとするパティに声をかけるアビルマは、自らの財布に手を伸ばし、一枚の銀貨を取り出した。
正直言って驚いた、というのがフェルトの気持ち。
そんなちょっとばかし冒険者を見てやった程度で銀貨が貰えるはずがない。
しかし、現にアビルマの手にあった銀貨はパティの手渡されてしまう。
自身の給金に関しては、日当で考えれば銅貨8枚程度。
銅貨30枚で銀貨1枚になるのだが、一般には銅貨を使った取引が普通である。
つまり、フェルトにとって数日分の給金がほとんど働いていないパティに『お小遣い』として渡されるのを見てしまったわけだ。
ただ実際にパティがもらっているお金は、全部がこのお小遣いであり、フェルトが想像する何分の1という少額なのは知る由もない。
アビルマもまた、当たり前に手渡してしまったわけだが、いつもであればパティとヴァルはまた別の時に渡すのが普通だったのだ。
ともあれ、シルバーちゃんこと銀貨を受け取ったパティが思うことは、気になっていた品を買うと言うことである。
ついでに珍しい品をシンに見せることができると、ハッと思いついてしまうから困ったものだった。
「ち……ちょっとだけ出てくる!
すぐに戻ってくるから心配しなくていいよ」
「どうしたんだいパティ?
こんな時間に出かけるなんて珍しい」
好きにしろとは言った。だが、今は事情が変わったのだ。
パティはシンに明日の予定を伝えに、宿泊しているというボロ宿へと出向いていた。
素泊まりで銅貨1枚という新米冒険者御用達の激安宿で、これが意外にも町の外から来る者にはウケがいい。
そんな寝るためだけの宿にパティが来ることなど、そこにいる誰しもが想像していなかった。
受付に立つパティの姿を見て、血の気の引いた冒険者もまた、結構な数だったそうな……
素直に教えを乞い、思わぬ反応を見せる男シン。
パティから見れば、ほんの赤ん坊にも感じる歳の者ではあるが、そんな男の言葉が、仕草が非常に嬉しく感じていたのだ。
まだまだマナの本質を掴むのは先になるのだろうが、出会ったばかりの者の言う話を疑うことなく聞き入れている。
そうなると、単純にレシピに沿った魔道具作りではない、さまざまなことを教えてやりたいと思うようになった。
そして数日して、シンには『明日は休みだから好きにすればいい』とだけ。
どうせ魔道具を作るには色々と準備が必要になる。
きっとスライムを倒し、薬草を採取するしかできることはないはずだと。そう考えつつも、一体何をするのだろうかと気になってしまうパティ。
食事中もいつもなら、早く部屋に戻ってマナに触れていたいと思うのだが、この時ばかりはシンが何をするのか気になって仕方ない。
「フェルト、アンタも少し気分転換しな。
ベルクラウスには私からも言っておいてやるよ」
「すみません……僕もまだまだですね」
「あははっ。そう簡単に私の域に達してなるもんかい。
何事も勉強さね。考えることが己を作る土台になっていくんだよ」
そんな休み前の晩の食事時、アビルマはフェルトの悩みを聞いていた。
ギルドに入って数年、まだまだ学ぶことが多いフェルトだが、アビルマ自身が手一杯ということと、商才がありそうだというアビルマの感だけで受付に立つことになっている。
そんな話は正直パティには関係ない。
我関せずと聞き耳を立てることもなく、いつもなら無言でさっさと食事を終えてしまうのだ。
だが、いつもと違うパティにアビルマが声をかけてくる。
「どうしたんだいパティ?
箸が止まるなんて珍しいじゃないかい」
「え? あ……いや、なんでもないよ。
ごちそうさまっ!」
パシッとテーブルに箸を置き、立ち上がるパティ。
「そういや今回は上手くやってるみたいじゃないかい。
アンタが本気を出してくれたらギルドにとっても大きな利益だよ。
どうだい? 明日あたり、フェルトを連れて気分転換に外へと出かけようとは思わないかい?」
立ち去ろうとするパティに声をかけるアビルマは、自らの財布に手を伸ばし、一枚の銀貨を取り出した。
正直言って驚いた、というのがフェルトの気持ち。
そんなちょっとばかし冒険者を見てやった程度で銀貨が貰えるはずがない。
しかし、現にアビルマの手にあった銀貨はパティの手渡されてしまう。
自身の給金に関しては、日当で考えれば銅貨8枚程度。
銅貨30枚で銀貨1枚になるのだが、一般には銅貨を使った取引が普通である。
つまり、フェルトにとって数日分の給金がほとんど働いていないパティに『お小遣い』として渡されるのを見てしまったわけだ。
ただ実際にパティがもらっているお金は、全部がこのお小遣いであり、フェルトが想像する何分の1という少額なのは知る由もない。
アビルマもまた、当たり前に手渡してしまったわけだが、いつもであればパティとヴァルはまた別の時に渡すのが普通だったのだ。
ともあれ、シルバーちゃんこと銀貨を受け取ったパティが思うことは、気になっていた品を買うと言うことである。
ついでに珍しい品をシンに見せることができると、ハッと思いついてしまうから困ったものだった。
「ち……ちょっとだけ出てくる!
すぐに戻ってくるから心配しなくていいよ」
「どうしたんだいパティ?
こんな時間に出かけるなんて珍しい」
好きにしろとは言った。だが、今は事情が変わったのだ。
パティはシンに明日の予定を伝えに、宿泊しているというボロ宿へと出向いていた。
素泊まりで銅貨1枚という新米冒険者御用達の激安宿で、これが意外にも町の外から来る者にはウケがいい。
そんな寝るためだけの宿にパティが来ることなど、そこにいる誰しもが想像していなかった。
受付に立つパティの姿を見て、血の気の引いた冒険者もまた、結構な数だったそうな……
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