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発生とお宝
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暗いが周囲が見えないこともない。
岩で覆われ、時折アイテムも発生している。
ただ、冒険者が全くいないとは思わなかった。
稼ぐにはダンジョンが良いと聞いていたのだが、どういうことなのかと疑問に思う。
シンは、そんなダンジョン内でとても小さな魔物を倒しつつパティに聞いてみる。
「魔物も小さいですし、これだけ小さな魔物だと、核を狙わなくても倒せるんですね。
でも、なんで冒険者が全然いないんだろう?」
パティは疑問に対して質問で答える。
最初から知っていたかのように、武器は持たず両の手は服についていた小さなポケットの中である。
「そういえば、ダンジョンができる理由は聞いたことあるのか?」
「いえ……ダンジョンは魔物の巣だと教えてもらいました」
「そうか。じゃあ講義してしんぜよう」
外とはうって変わって肌寒いダンジョン内。
日光が当たらないこともそうだが、それだけが理由ではない。
まずはダンジョンに入る際の心得として、寒さ対策が必要だと言い出すパティ。
「なので私はこうやって暖をとっているのだよ」
そう言いながらポケットの中から取り出した小さな魔道具はほんのりと暖かく、身につけている者の体温を調整してくれるものだと言う。
灯りがあればなお良く、足場も悪いため靴は履きなれたものが良い。
「などという基本的なことはともかく、まずダンジョンの奥には何があると思う?」
「奥……ですか?
行き止まりになっていて、魔物とアイテムが手に入るだけだと思っていましたけど……」
「残念だが、何も無いところにダンジョンは生まれない。
どうして急にこのような空間が生まれるのか、しかも相当な大きさだから人為的に作られたものではありえない。
しかも、これが消滅しては新たに発生することを繰り返す」
「そうなんですか?
でも……そっか、そういえば新しくできたダンジョンの話以外には聞かないや」
町で聞いたのは、近くにできた新しいダンジョンのことだけである。
どの冒険者も『今回も稼がせてもらうか』などと言うばかり。
そんな人たちと共に行動させてもらい、自分の出来ることをしようと思っていた。
今思えば予備知識も全く無く、なんて浅はかなんだろうとは思うものの、やはりガッツリと稼ぎたい気持ちもあるのが本音だった。
「一番奥に行くと、大きなマナの核が存在する。
一般的にはダンジョンコアと呼ばれるもので、魔物の持つ核とほとんど同じようなものだ」
その核を破壊することでダンジョンは形を保てなくなり、数日内に自然と消滅するのだとパティは言う。
「魔物がたくさん出てきちゃうんだし、早く壊さなきゃいけないんじゃないの?」
「それもそうだが、冒険者の目的は基本的には金になるものだ。
放っておくとダンジョンは、周囲のマナを集めだし少しずつ濃度を高めていく。
それに応じてダンジョン内も変化していくことは周知の事実だ。
シンは冒険者なわけだが……さてどうなるのが理想だ?」
「僕なら……」
今、現にできたばかりのダンジョンに潜っているわけだが、そこには素材になりそうもない魔物と、時折薬草が生えている程度。
「私が心配だと言ったのは、何も知らないシンが最奥でダンジョンコアを破壊したとしよう。
これがダンジョンの素なのだ、と思えば壊す可能性は十二分にあり得る」
するとどうなるか。
ダンジョン内では魔物もアイテムも出なくなり町に帰るだけである。
後日期待を胸にダンジョンへと向かう冒険者が目にするのは、すでに崩壊してしまった残骸だけとなるわけだ。
犯人探しをするだろうか?
冒険者たちだって生活がある。もしかしたら飢えて困窮する者だって出るかもしれない。
「そんな光景を見たシンは、きっとその罪悪感で本当のことを喋るかもしれない」
「いや……怖くて言い出せませんよ……」
「まぁ、どちらにせよ面白くない結果になるのは目に見えている。
だから最奥まで行ったら今日は引き返すんだね。
そんなに稼げやしないけど、また数日経ってから来ればいい」
パティはスラスラと説明するのだが、これはあくまでも冒険者相手のものであり、相手がシンとはいえ喋れないこともあった。
「魔界と繋がってるなんて……
言っても信じないんだろうなぁ……」
小さくそう呟いたパティの表情は、ひどく暗いものであった。
岩で覆われ、時折アイテムも発生している。
ただ、冒険者が全くいないとは思わなかった。
稼ぐにはダンジョンが良いと聞いていたのだが、どういうことなのかと疑問に思う。
シンは、そんなダンジョン内でとても小さな魔物を倒しつつパティに聞いてみる。
「魔物も小さいですし、これだけ小さな魔物だと、核を狙わなくても倒せるんですね。
でも、なんで冒険者が全然いないんだろう?」
パティは疑問に対して質問で答える。
最初から知っていたかのように、武器は持たず両の手は服についていた小さなポケットの中である。
「そういえば、ダンジョンができる理由は聞いたことあるのか?」
「いえ……ダンジョンは魔物の巣だと教えてもらいました」
「そうか。じゃあ講義してしんぜよう」
外とはうって変わって肌寒いダンジョン内。
日光が当たらないこともそうだが、それだけが理由ではない。
まずはダンジョンに入る際の心得として、寒さ対策が必要だと言い出すパティ。
「なので私はこうやって暖をとっているのだよ」
そう言いながらポケットの中から取り出した小さな魔道具はほんのりと暖かく、身につけている者の体温を調整してくれるものだと言う。
灯りがあればなお良く、足場も悪いため靴は履きなれたものが良い。
「などという基本的なことはともかく、まずダンジョンの奥には何があると思う?」
「奥……ですか?
行き止まりになっていて、魔物とアイテムが手に入るだけだと思っていましたけど……」
「残念だが、何も無いところにダンジョンは生まれない。
どうして急にこのような空間が生まれるのか、しかも相当な大きさだから人為的に作られたものではありえない。
しかも、これが消滅しては新たに発生することを繰り返す」
「そうなんですか?
でも……そっか、そういえば新しくできたダンジョンの話以外には聞かないや」
町で聞いたのは、近くにできた新しいダンジョンのことだけである。
どの冒険者も『今回も稼がせてもらうか』などと言うばかり。
そんな人たちと共に行動させてもらい、自分の出来ることをしようと思っていた。
今思えば予備知識も全く無く、なんて浅はかなんだろうとは思うものの、やはりガッツリと稼ぎたい気持ちもあるのが本音だった。
「一番奥に行くと、大きなマナの核が存在する。
一般的にはダンジョンコアと呼ばれるもので、魔物の持つ核とほとんど同じようなものだ」
その核を破壊することでダンジョンは形を保てなくなり、数日内に自然と消滅するのだとパティは言う。
「魔物がたくさん出てきちゃうんだし、早く壊さなきゃいけないんじゃないの?」
「それもそうだが、冒険者の目的は基本的には金になるものだ。
放っておくとダンジョンは、周囲のマナを集めだし少しずつ濃度を高めていく。
それに応じてダンジョン内も変化していくことは周知の事実だ。
シンは冒険者なわけだが……さてどうなるのが理想だ?」
「僕なら……」
今、現にできたばかりのダンジョンに潜っているわけだが、そこには素材になりそうもない魔物と、時折薬草が生えている程度。
「私が心配だと言ったのは、何も知らないシンが最奥でダンジョンコアを破壊したとしよう。
これがダンジョンの素なのだ、と思えば壊す可能性は十二分にあり得る」
するとどうなるか。
ダンジョン内では魔物もアイテムも出なくなり町に帰るだけである。
後日期待を胸にダンジョンへと向かう冒険者が目にするのは、すでに崩壊してしまった残骸だけとなるわけだ。
犯人探しをするだろうか?
冒険者たちだって生活がある。もしかしたら飢えて困窮する者だって出るかもしれない。
「そんな光景を見たシンは、きっとその罪悪感で本当のことを喋るかもしれない」
「いや……怖くて言い出せませんよ……」
「まぁ、どちらにせよ面白くない結果になるのは目に見えている。
だから最奥まで行ったら今日は引き返すんだね。
そんなに稼げやしないけど、また数日経ってから来ればいい」
パティはスラスラと説明するのだが、これはあくまでも冒険者相手のものであり、相手がシンとはいえ喋れないこともあった。
「魔界と繋がってるなんて……
言っても信じないんだろうなぁ……」
小さくそう呟いたパティの表情は、ひどく暗いものであった。
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