35歳ニートがテストプレイヤーに選ばれたのだが、応募した覚えは全く無い。

紅柄ねこ(Bengara Neko)

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チャッピー……最終話

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「ラスボスったって、大したことなかったわね。
 結局最後は自滅だったし、私たちには全然向かってこなかったじゃないの」
「そ、そんなこと言っちゃ可哀想だよぉ……」

 街の女がスノウを抱えて泣いている。
 私にはそんなことはどうでも良かったのだ。
 目的は一つ、ラスボスを倒して現実に戻ることなのだから。

 それにしても運が悪い男だったと思う。
 うっすらと見てはいたが、スノウはこの女に恋をしてしまったのだろう。
 そんなだからクリア直前に死んでしまうことになったのだ……

「ね、ねぇ……どこか別のところに行こうよ……」
 茜はこの雰囲気に耐え切れない様子だった。
 そりゃあ周囲は血の海、四肢は散らばり泣き続ける女もいる。

「そうねっ、もうこんな街には用は無いわ。
 早く現実に戻らなきゃね」
 ラスボスは消滅したが、まだ私たちの姿が消える様子はない。
 まだ何かしなくてはいけないのだろう。

「茜っ、この後はどうすれば良いの?」
「えっとぉ……確か天より舞い降りし識者は、始まりの地にて再び天へと舞い戻る。
 ……だったはず」
 やっぱり茜は私と違って頭もいいし記憶力もある。
 興味の無いことになんていちいち頭を使いたくはないし、茜がいてくれて助かった。

「じゃあ、私たちが来たところに戻ればいいのね!」
 遂に現実に帰る事ができる。
 そう思うと目の前の女性のことなど、視界の端にも入らない。
 モンスターも消え人々が集まる中、私たちは笑みを浮かべてその人の波をかき分ける。

 なんだあの少女たちは……
 きっとそんなことを言っていたと思う。
 早く現実に帰りたい私たちには、そんなことはどうでもいいのだ。

 それにしてもスノウがリスポーンする気配は無い。
 やはり死んでしまったらそこまでという話は本当だったようだ。
 馬鹿な男だ、死ななければ現実に戻れたのだ。
 どのみちこの世界のことなど、無かったことになってしまうのだから……

 街を出て、私と茜は平野を目指した。
 茜は最後まで街の様子を心配していたが、私には何を言われてもゲームとしか思えない。

 愛する人が死んだ?
 それは私たちに何を思って欲しいのだ?
 現実ではもっともっと理不尽で、個々の想いだけでは何をしようと不利益を被る世の中だ。
 現実は面白くはない。
 だけれど、それでゲーム世界に閉じ込められるのはもっと面白くない。

 平野には既に帰還用の魔法陣が出現していた。
 ここに入れば、もうこのゲーム世界とはおさらばだ。

 茜が先に入り、私はしばらく様子を見る。
 こんな時でも疑心感が拭えないのだ。

「大丈夫……みたいね」
 魔法陣が消えることはなく、特に変化もない。
 ボスがいて、茜が死んだら戻ってくるのでは……
 少なくともそんな懸念は薄れたものだから、私は意を決して魔法陣へと足を踏み入れたのだった……
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