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新米冒険者とベテラン剣士
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「ちょっと、もうやめなって」
「あと一回だけだ。これでハズレたらやめるから」
冒険者の若い男女が店を訪れている。
魔物を狩って得た報酬で、新しい武器を手に入れようとしているのだ。
最新の魔道具『ガチャマシーンAZ-100』は、1回100ゴールドから回せるガチャガチャである。
大当たりにはミスリルの剣が置いてあり、他にも魔剣と称されている魔道具関係のものも当たり枠の景品になっている。
いずれも買えば1万ゴールドはするため、当然ガチャガチャで手に入れることは非常に困難だ。
「当たりのカプセルって絶対上の方だって!
そんな簡単に当たりが出たりなんてしないよ、ねぇ」
「いいだろ別に、俺の取り分で勝負してるだけなんだからほっといてくれよ」
加熱しすぎると言い争いになるのがガチャガチャなのだから、冒険者たちには最初から回数を決めて回すなりの対処をしてほしいものである。
しかし店側としては2万ゴールドの魔剣を景品に3万の売り上げと在庫の処分ができるのでメリットが大きいのだ。
ただし、どこの店も必ずまともな商売をしているとも限らない。
とある店では、大当たりに2万ゴールドの炎の魔剣が置いてあり、ハズレには10ゴールド相当の魔石が用意されていた。
ガチャの筐体に入っているカプセルは拳大くらいで、中にはまだ3割ほどのカプセルが残っており、その数はおよそ180程度と予想される。
「ほら、絶対にハズレだと思ったよ。だからやめなって言ったのに」
「くっそぉ……当たると思ったんだがなぁ」
若い男女が退店し、それを近くで見ていた剣士がカウンターにやってくる。
「とりあえず10回だ」
先ほどより50回、ハズレが続いている。
大当たりが出れば180回回しても損はしない計算なのだが、50回目くらいから店員がそわそわとしているのが伺えた。
「あ、当たりです! おめでとうございます!」
3000ゴールド相当の魔剣が差し出されるが、剣士は無言で追加の1000ゴールドをカウンターに置くのだ。
「あ、あの当たりの景品……」
「あぁ、置いといてくれ。それよりあと10回だ」
「……」
そんな様子を見ていたローマは、よくわかっていた。
この店は大当たりだけは抜いている。
残り200個以下になってからこっそりと当たりを補充するのだが、今回はそのタイミングを失ったのだ。
要するに初めの200回以内で当たりが出てしまっては店側が赤字になるからである。
利益が出るように、さらに減った残り200個というタイミングまで店は当たりを入れなかった。
(当たりの補充がされたら買い占めようと思ってたけど、剣士さんが回し始めちゃったしなぁ……)
そして当然トラブルが発生する。
「大当たりが出ていないんだが、入っていたのか?」
「あ、えっと……もう出たのかもしれませんね……」
「景品は並んでいるのにか? それはおかしいんじゃないか?」
「えっと、でも出ていないので……」
「だったら景品が並んでいるのはおかしいよな?
他の当たりはちゃんとでているのに、大当たりだけはもう出てるけど並んでますってか?」
ここからは剣士の一方的なターンである。
19200ゴールドを使い、景品として受け取ったのは191個の魔石と1本の剣。
冒険者が一週間以上かけて貯める額を使って、欲しいものは手に入らないのだ。
怒るのも当然で無理はない。
そしてこういう時に店側がとる手段は3パターンほど考えられる。
「すみません、大当たりが入ってると思われて回しておりますし、今回だけはこちらの景品も差し上げます」
パターンその2、愚策である。
この場合、大当たりは最後の最後で出たものと同義であり、途中で出た場合のことは考えられていないのだ。
「ふざけるな!」
剣士が怒るのも当然で、無駄に何回もガチャを回させられて、結局使った額は想定しうる最悪パターンになるからだ。
ちなみに、暴れた剣士が自警団に連れていかれたため、剣士にとっては金は失うし景品は手に入らないし、信用もなくなるしと、最も最悪のパターンになってしまった。
店員はホッと胸をなでおろしていたようだが、後ほどしっかりと自警団に報告しようと思う。
「正直、全額返金でも納得いかないもんなぁ。
潰れても困るけど、やっぱ不正する店はダメだな……」
「あと一回だけだ。これでハズレたらやめるから」
冒険者の若い男女が店を訪れている。
魔物を狩って得た報酬で、新しい武器を手に入れようとしているのだ。
最新の魔道具『ガチャマシーンAZ-100』は、1回100ゴールドから回せるガチャガチャである。
大当たりにはミスリルの剣が置いてあり、他にも魔剣と称されている魔道具関係のものも当たり枠の景品になっている。
いずれも買えば1万ゴールドはするため、当然ガチャガチャで手に入れることは非常に困難だ。
「当たりのカプセルって絶対上の方だって!
そんな簡単に当たりが出たりなんてしないよ、ねぇ」
「いいだろ別に、俺の取り分で勝負してるだけなんだからほっといてくれよ」
加熱しすぎると言い争いになるのがガチャガチャなのだから、冒険者たちには最初から回数を決めて回すなりの対処をしてほしいものである。
しかし店側としては2万ゴールドの魔剣を景品に3万の売り上げと在庫の処分ができるのでメリットが大きいのだ。
ただし、どこの店も必ずまともな商売をしているとも限らない。
とある店では、大当たりに2万ゴールドの炎の魔剣が置いてあり、ハズレには10ゴールド相当の魔石が用意されていた。
ガチャの筐体に入っているカプセルは拳大くらいで、中にはまだ3割ほどのカプセルが残っており、その数はおよそ180程度と予想される。
「ほら、絶対にハズレだと思ったよ。だからやめなって言ったのに」
「くっそぉ……当たると思ったんだがなぁ」
若い男女が退店し、それを近くで見ていた剣士がカウンターにやってくる。
「とりあえず10回だ」
先ほどより50回、ハズレが続いている。
大当たりが出れば180回回しても損はしない計算なのだが、50回目くらいから店員がそわそわとしているのが伺えた。
「あ、当たりです! おめでとうございます!」
3000ゴールド相当の魔剣が差し出されるが、剣士は無言で追加の1000ゴールドをカウンターに置くのだ。
「あ、あの当たりの景品……」
「あぁ、置いといてくれ。それよりあと10回だ」
「……」
そんな様子を見ていたローマは、よくわかっていた。
この店は大当たりだけは抜いている。
残り200個以下になってからこっそりと当たりを補充するのだが、今回はそのタイミングを失ったのだ。
要するに初めの200回以内で当たりが出てしまっては店側が赤字になるからである。
利益が出るように、さらに減った残り200個というタイミングまで店は当たりを入れなかった。
(当たりの補充がされたら買い占めようと思ってたけど、剣士さんが回し始めちゃったしなぁ……)
そして当然トラブルが発生する。
「大当たりが出ていないんだが、入っていたのか?」
「あ、えっと……もう出たのかもしれませんね……」
「景品は並んでいるのにか? それはおかしいんじゃないか?」
「えっと、でも出ていないので……」
「だったら景品が並んでいるのはおかしいよな?
他の当たりはちゃんとでているのに、大当たりだけはもう出てるけど並んでますってか?」
ここからは剣士の一方的なターンである。
19200ゴールドを使い、景品として受け取ったのは191個の魔石と1本の剣。
冒険者が一週間以上かけて貯める額を使って、欲しいものは手に入らないのだ。
怒るのも当然で無理はない。
そしてこういう時に店側がとる手段は3パターンほど考えられる。
「すみません、大当たりが入ってると思われて回しておりますし、今回だけはこちらの景品も差し上げます」
パターンその2、愚策である。
この場合、大当たりは最後の最後で出たものと同義であり、途中で出た場合のことは考えられていないのだ。
「ふざけるな!」
剣士が怒るのも当然で、無駄に何回もガチャを回させられて、結局使った額は想定しうる最悪パターンになるからだ。
ちなみに、暴れた剣士が自警団に連れていかれたため、剣士にとっては金は失うし景品は手に入らないし、信用もなくなるしと、最も最悪のパターンになってしまった。
店員はホッと胸をなでおろしていたようだが、後ほどしっかりと自警団に報告しようと思う。
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潰れても困るけど、やっぱ不正する店はダメだな……」
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