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自販機ガチャ
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「おばちゃん、両替お願い」
ローマは大銀貨をカウンターに置き、10枚になった小銀貨を受け取る。
「おねえさんって言ってくれると嬉しいんだけどなぁ、ローマ君」
「いやぁ、だって230歳でしょ? さすがに無理が……」
「ちょっと後で話し合おうか、ローマくん」
エルフの女性はアリアといい、見た目こそ20代だが、歳はその10倍以上。
長く生きているだけあって、この世界でガチャをいち早く取り入れて稼ぎまくったやり手の店主だ。
「しっかし、本当に好きね。
今日はどのガチャをやっていくの?」
ローマは少し考える。
アリアの背後に置いてある引き換え券を見て、回復の宝珠の動きが良いことを確認していたのだ。
「うーん……もう5日は経ってるし、そろそろ回復の宝珠が出る気がするんだけどね。
他にオススメあるなら考えたいけど」
「じゃあ疾風の靴なんてどう?
最近じゃ街ではオシャレな靴が流行ってるんでしょ?
最新モデルだからモテモテになれるわよぉ~」
「いや、入れたばっかりじゃ当たりなんて出ないでしょ?
そっちはまた今度にするよ」
『チッ』と舌打ちが聞こえた気もするが、ローマは構わず回復の宝珠を狙う。
自販機タイプの筐体は、最大で182枚の引換券が入っており、いつも1週間程度で売り切れになる。
そして例外を除き、大当たりは最後の一枚であることが特徴。
(ざっと見て150以上は引き換えられてるから、残り20から30口ってとこか……)
回復の宝珠は店売り8000ゴールド、買い取り価格6000ゴールドなので30回以内なら大儲けともいえる。
なんせ、冒険者が危険を冒して一日に稼げる額が大体3000ゴールド程度なのだから。
10回のガチャを終えて、今のところはすべてハズレの引換券。
プレイ中の札をかけて、もう1000ゴールドを両替してもらう。
「当たるまでやりますよって感じね、ローマ君」
「いやぁ、回復の宝珠が欲しいなーって思ってたんですよ」
「いや、めっちゃ白々しいわー。別にこっちは損しないからいいんだけどさ」
毎度毎度狙うわけではない。
時々お小遣い稼ぎに景品を獲って、雑貨屋に売りに行くだけである。
当然失敗することもあるし、景品が思っていた金額よりも安い場合もある。
この時は24回目で大当たりが出たので、実質3600ゴールドの勝ち+ハズレの引き換えが300ゴールド相当のポーションだった。
ポーションは日持ちもするし、いざという時には怪我の治療に使える。
ローマの部屋には、そうして集まったポーションがすでに何本も置いてあったのである。
そして5日後……
「今日こそ疾風の靴かな?」
「あら、そろそろ出そうって表情してるわね。まぁ頑張んなさい」
10回……20回……30回。
引換券の数や期間を考えると、そろそろ出ても良い頃である。
しかし、4000ゴールド目の両替に行ったとき、アリアはとんでもないことを口にする。
「それにしても疾風の靴って本当に人気なのね。
またすぐに補充しなきゃいけなさそうだわ」
すでに180以上の引換券が積まれていて、それが1ロット分ではないと察するローマ。
しかし、ここまで来た以上はやめるにやめられない。
60……70……80……90回。
「あらおめでとう。今日は調子悪かったみたいね、ふふ……」
定価4000ゴールド、プレ値6000ゴールド。
それも2,3日前から価格は下落傾向。
こうして前回の勝ちをすべて失うこととなったローマであった。
ローマは大銀貨をカウンターに置き、10枚になった小銀貨を受け取る。
「おねえさんって言ってくれると嬉しいんだけどなぁ、ローマ君」
「いやぁ、だって230歳でしょ? さすがに無理が……」
「ちょっと後で話し合おうか、ローマくん」
エルフの女性はアリアといい、見た目こそ20代だが、歳はその10倍以上。
長く生きているだけあって、この世界でガチャをいち早く取り入れて稼ぎまくったやり手の店主だ。
「しっかし、本当に好きね。
今日はどのガチャをやっていくの?」
ローマは少し考える。
アリアの背後に置いてある引き換え券を見て、回復の宝珠の動きが良いことを確認していたのだ。
「うーん……もう5日は経ってるし、そろそろ回復の宝珠が出る気がするんだけどね。
他にオススメあるなら考えたいけど」
「じゃあ疾風の靴なんてどう?
最近じゃ街ではオシャレな靴が流行ってるんでしょ?
最新モデルだからモテモテになれるわよぉ~」
「いや、入れたばっかりじゃ当たりなんて出ないでしょ?
そっちはまた今度にするよ」
『チッ』と舌打ちが聞こえた気もするが、ローマは構わず回復の宝珠を狙う。
自販機タイプの筐体は、最大で182枚の引換券が入っており、いつも1週間程度で売り切れになる。
そして例外を除き、大当たりは最後の一枚であることが特徴。
(ざっと見て150以上は引き換えられてるから、残り20から30口ってとこか……)
回復の宝珠は店売り8000ゴールド、買い取り価格6000ゴールドなので30回以内なら大儲けともいえる。
なんせ、冒険者が危険を冒して一日に稼げる額が大体3000ゴールド程度なのだから。
10回のガチャを終えて、今のところはすべてハズレの引換券。
プレイ中の札をかけて、もう1000ゴールドを両替してもらう。
「当たるまでやりますよって感じね、ローマ君」
「いやぁ、回復の宝珠が欲しいなーって思ってたんですよ」
「いや、めっちゃ白々しいわー。別にこっちは損しないからいいんだけどさ」
毎度毎度狙うわけではない。
時々お小遣い稼ぎに景品を獲って、雑貨屋に売りに行くだけである。
当然失敗することもあるし、景品が思っていた金額よりも安い場合もある。
この時は24回目で大当たりが出たので、実質3600ゴールドの勝ち+ハズレの引き換えが300ゴールド相当のポーションだった。
ポーションは日持ちもするし、いざという時には怪我の治療に使える。
ローマの部屋には、そうして集まったポーションがすでに何本も置いてあったのである。
そして5日後……
「今日こそ疾風の靴かな?」
「あら、そろそろ出そうって表情してるわね。まぁ頑張んなさい」
10回……20回……30回。
引換券の数や期間を考えると、そろそろ出ても良い頃である。
しかし、4000ゴールド目の両替に行ったとき、アリアはとんでもないことを口にする。
「それにしても疾風の靴って本当に人気なのね。
またすぐに補充しなきゃいけなさそうだわ」
すでに180以上の引換券が積まれていて、それが1ロット分ではないと察するローマ。
しかし、ここまで来た以上はやめるにやめられない。
60……70……80……90回。
「あらおめでとう。今日は調子悪かったみたいね、ふふ……」
定価4000ゴールド、プレ値6000ゴールド。
それも2,3日前から価格は下落傾向。
こうして前回の勝ちをすべて失うこととなったローマであった。
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