私がモンスター発生源?! 〜異世界で考えたさいきょうの魔物育成計画〜

紅柄ねこ(Bengara Neko)

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1章 ダンジョンと少女

新スキル取得

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 スキルが成長する条件は様々なようである。
 最初はレベルアップによって新しい魔物を召喚できるようになった。
 またレベルが上がるにつれ、割り振れるステータスが上がるため、スライムですらそれなりに強くなることができた。

「レプロって可愛いよね。ラビみたいで大好き」
「魔物みたいって、私はなんだか複雑……ですけど」

 次にラビを見つけた時にリンクスキルと共にレプロの召喚が可能になった。
 いや、その前にオークの事件があっただろうか?

 その2件に関しては、ダンジョン同士の影響なのかと考えている。
 オークの召喚に咆哮スキルの付与。
 進化形態のジェラートスライムに、レプロに至っては元々はラビのいたダンジョンから出る魔物なのだろう。

 そして……
【NEWスキル:魔法耐性(微)】

 また付与できるスキルが増えたわけだが、これに関してはエルフが原因であるとしか考えられないだろう。

 エルフの女、ルアノはエーテルとマテリアのカケラを残して消滅してしまう。
 そして、そのカケラをカードに吸い込ませた時からスキルが増えたのだと推察された。

「トラも戻ってきたし、もうこれって天国なんじゃない?」
 元々動物の動画を見るのが好きな凍花は、召喚したばかりのレプロに顔を埋めて興奮が隠せない。
「すみません……よくわかんないです」
 そんな凍花の姿を見たラビは、少々困惑気味である。

 それはさておいて、レプロを召喚する際にエルフのスキルを選択しておいた凍花。
 その分割り振れるステータスは少々低いようではあったが、別段問題になるようなこともない。
 そもそも戦闘要員としては考えてはいなかったのだから。

 今、凍花が思うことは単純である。
 モフモフに囲まれて好き勝手生きたいという想いだけであった。

 とにかく先を目指す必要はあるのだが、数日は小屋で様子を見ることを提案した凍花。
「ほら、一応近くに果物はあるわけだし。
 あと肉が取れたら加工しておこうかと思ってさ」
「そういえばあの女の人、村に戻っちゃったんですかね?」

 エルフが収穫してきた果物は、少なくともこの周辺で採れたもので間違いないだろう。
 エルフに仲間がいるなら再び襲われる可能性はあるが、食糧の確保や屋根のある建物というのは、非常に魅力的。
 そして、そのようなことはラビには一切説明はしていない凍花であった。

 明け方、外に出てみると意外にも多くの魔物が徘徊していることを知る。
 昨晩までエルフと共に歩いていた時には全く見かけなかったというのに、だ。

 それとも、エルフが消えたため新しく魔物を生み出しているのだろうか?
 半透明な水色のが、透明なはねをパタつかせ飛び回っている。

 水色の本体は一際大きな目を持っており、形は3頭身の人間といった感じである。
 もし、この世界に来て最初の場所がここであり、最初に出会ったものがであったら……

『ピッ?!』
 それが高い声で鳴いたと思うと、急に振り返って細い何かが凍花目掛けて飛んでくる。

 木の陰から顔を覗かせていたのがバレたようである。
 間一髪で攻撃を避けることはできたが、それは対象を魔物だと捉えていたからできたこと。
 『妖精だ……』なんて見惚れていたら、そういうわけにはいかなかったであろう。

 しかし、タネが割れてしまえばどうということは無かった。
 こちらも魔物で応酬すれば良いだけで、ジェラートスライムが放つアイスニードルが妖精たちを牽制。
 小屋に残されていたレイスたちを連れてきて、大勢で取り囲んだところあっさりと倒してしまう。

 しかし、次から次へとやってくる妖精は二人の事情などお構いなしに攻撃を仕掛けてくる。
 そのうちの一撃が運悪く凍花足に当たった時には、それはもう声にならないほどの痛みであった。

「さすがにもういないかなぁ?
 レイスの数も減ってきたし、そろそろお目当ての果物が見つかるといいんだけど」
「お姉ちゃん……怖くないの?
 さっき、すごく痛そうだったけど……」

 後ろを歩くラビが、凍花の服のすそを掴んで呟く。
 そりゃあ痛くないわけがない。
 しかし、それも回復魔法を使えばかなり和らぐのである。
「タンスの角に小指をぶつけた時の方が痛いわよ。
 それよりほらっ、あそこの木に実ってるやつがそうじゃない?」

 頭や心臓を守れば大丈夫であろう。
 もしかしたら人間ではないのだから、がダメージを受けても意外と平気なのかもしれない。
 気付けば【リンク】スキルも1から2に上がり、新しい力も得ている。
 どんどん人からかけ離れた存在になりつつあるなと感じる凍花。

 今はそんなことはともかく、パパイヤに似たような酸味のある果物を収穫して、小屋に戻る二人であった。





 
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