私がモンスター発生源?! 〜異世界で考えたさいきょうの魔物育成計画〜

紅柄ねこ(Bengara Neko)

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1章 ダンジョンと少女

ドライフルーツと干し肉

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 仮称パパイン。
 見た目はパパイヤだが、中に硬い芯があり酸味は強い。そんなフルーツが森の中で沢山とれた。
 パパイヤとパインを合体してパパインである。

 しかし、そんな安直な名付けはともかく、痛みやすくて保存は難しかった。
 調子に乗って20個も採った翌朝には、変色して苦味が増していたのだ。

「ジェラートスライムの中なら冷たいよ」
 どこか涼しい場所に置いておかなくてはと思案していると、ラビがスライムに手を突っ込みながら教えてくれた。
 スライムベットを繰り返している内に思いついたのだという。

「スライム冷蔵庫とか、聞いたことないよ。
 それ……すっごい良さそう。まだ寒い季節になるのは少し先みたいだし、しばらくは役に立ちそうじゃん」
 凍花もスライムに手を入れてパパインを置いてみたのだが、思いのほか使い勝手はよさそうである。
 役に立てたと嬉しそうなラビが、手持ちの食料を抱えて凍花を見る。

「干し肉はー……別に冷蔵保存しなくても大丈夫なんじゃない?」
 そもそも水分が少なくて傷みにくい食料なので、凍花は首を横に振る。
 生肉であれば保存の必要はありそうだが、今のところ全てを天日干しにして保管しているのだ。
 残念そうに耳を垂れるラビだが、ジェラートスライムばかり何匹も連れて旅をする気分ではないので仕方ない。

 その日、新たに湧いていた妖精狩りをしていると、森の中の隆起した丘の近くに洞窟を発見する。
 ようやくお目当てのものが見つかったと、表情がにやけてしまう凍花。
「あると思ったのよ。新しいダンジョン」
「これ……ダンジョンなんですか?」

 洞窟といっても、這いつくばって入れる大きさの穴が見えるだけである。
 最初のうちは人が普通には入れる大きさだと思っていた。
 しかし、それではオークより大きな魔物はどうなるのか?
 ダンジョンの大きさなど、勝手な思い込みでしかないのだろうと考えるに至ったのだ。
「間違いないよ。さっき、ここから妖精魔物が何匹か飛び出したのを見てたからね」
「でも……この大きさじゃ私でも入れそうにないです」

 別に自ら中に入る必要など無いのだ。
 入れないのなら、入れる者に頼めばいい。
「というわけで、久しぶりのスライム軍団の活躍の場よ!」
 様子見で、枕代わりにしていたスライムをダンジョンに投入。
 しかし、そんなに簡単にいくわけもなく、少しずつ数が減っていくのを感じていた。

 妖精が強いのか、それ以上に強い存在が洞窟内にいるのか。
 凍花が次に考えたのはより強い魔物の召喚。
 しかし、レプロやパンテラの投入は全く考えてはいない。
 モフモフ虐待は罪である。それが凍花の常識である。

「じゃあ最終手段といきますか」
「えっと、私は……」
 ラビも戦いとなれば、本来はそれなりに強い。
 獣人としての力があり、そこにリンクスキルで火力が上乗せされている。
 それでも必要のない戦いならば、そこにラビの出番は全くない。

「大丈夫よラビ。こんなの、出入り口を塞いじゃえばいいだけなんだから」
 クールタイム40秒は伊達ではない。
 残っていたスライムで狭い出入り口を塞ぎ、内部に進む者には他の出入り口が無いかを探しそこも塞いでしまう。

「暴食発動! 内部の空気を吸い込んじゃって!」
 これで、うまくいけば洞窟内の酸素は無くなるだろう。
 とは言っても、これはあくまでも地球基準での考え方。
 もしかしたら酸素など必要ない生物かもしれないし、地球にだって真空でも生きる生物はいる。
 30分経っても吸いきれない可能性もある。

 「というわけで、小屋に戻ってスライムの召喚を続けましょ。
 こんなところで待機する必要もないし」
 何を言いたいのかがラビにはわからないのだが、お構いなしに凍花はスライムを召喚しながら小屋へと戻る。

 それからおよそ30分が経った頃。
「ラビ、見て!
 モフ君が弓を持てるようになったんだよ!」
 ダンジョンコアがどんな魔物を生み出したのかは凍花は知らない。
 きっとエルフも同じダンジョンが生み出した魔物だろうし、妖精も躊躇なく攻撃を仕掛けてきた。
 そんな相手に情けをかけるつもりなど、凍花には微塵も無かったのである。

 そして新しく妖精の召喚と、新しいスキル付与を得た凍花であった。
【NEWスキル:弓術】
【NEWスキル:魔法耐性(中)】

 またその夜、ジェラートスライムに保管していたパパインを普通のスライムに移して水分を吸い取るように命じてみる凍花。
 カラッカラに乾いたパパインは、口に含んでいるうちに甘みを感じて柔らかくなるお菓子に変化した。

「もっと日持ちするように干し肉も全部スライムに……」
 そうしてラビが寝静まった頃、一人静かに実験を繰り返して後悔をすることになった凍花であった……
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