私がモンスター発生源?! 〜異世界で考えたさいきょうの魔物育成計画〜

紅柄ねこ(Bengara Neko)

文字の大きさ
44 / 55
1章 ダンジョンと少女

プロローグ

しおりを挟む
 歓楽街シノクラ。
 そこは湖に面した大きな街で、娯楽や酒に溺れる冒険者の多い街としても有名である。

 ダンジョンをいくつも管理しているが、その内の一つに、かの有名な『無上クエ』が名を連ねている。
 大空を優雅に舞う天空龍。
 その存在を倒せる者など無く、時折供物を捧げることで街は龍の怒りを抑えていた。

「すっごいねー。おっきい街、何があるのかなぁ」
「お、お姉ちゃん、もっとゆっくり歩いてよ」
 人混みに押されてうまく進めないラビが、必死に凍花の後をついていく。

 外套のおかげで住民から見られることもなく、今の所はいたって平和そのものである。
 しかも街の周辺にはいくつものダンジョンが存在しているから、冒険者にとっては稼ぐ絶好のシチュエーションなのだとか。

 多少のスタンピード程度であれば、この街にいる冒険者の障害になどならない。
 だから自信のある冒険者たちがこぞってこの街にやってくるのだとされている。

 逆に言えば、この街に来れない冒険者は実力不足。
 あるいは村を出られない理由を持つものか臆病者。
 そう捉えられてしまうのが、この世界の常識でもあった。

「やぁやぁ、美味しいクラーケン焼きはいかがかな?」
「お、可愛いお嬢さんだね。
 くじ引きやってるよ。すごく良いキューブが手に入るかもしれないくじ引き、やっていかないかい?」

 そんな客引きも賑わいの一つで、雰囲気がもう今までの村とは全く異なったものであった。

 とはいえ長旅で疲れた身体は一刻も早く癒したい。
「テイマーの人急募!
 参加者が足りてないんだ、誰か自信のある者がいたらギルドで受付中だぁ!」
 その道中、親善試合の話が聞こえてくる。
 剣士や魔法使いの数は多いが、テイマーに関してはスキルが無くては参加も難しい。
 参加締め切りが近いということで、若い冒険者が躍起になって呼びかけている状況だという。

 前の村の木工職人マリアさんの話では勝てば大層な商品を貰えるとのことで、お金のない凍花は嫌でも熱が入ってしまう。
 しかし、まずは今日の宿と食事の確保が先決である。

「えぇっ? ……じゃあ30ラメで大丈夫ですのでお願いします。
 でも30かぁ……どこか泊まれるところあるかなぁ」

 干し肉を買い取ってもらったものの、その品質が乾燥しすぎであるとして、宿代も怪しい額しか手に入らない。
「ったくしょうがないお嬢ちゃんだねぇ。
 ……ほら、綺麗な顔が傷だらけじゃないか」
 見かねたオババ店主は軟膏を取り出して凍花の顔にそれを塗る。
「街外れにロッカ亭って私の従姉妹がやっている宿があるから、そこに行ってみな。
 『薬ババア』に教えてもらったと言えば話を聞いてくれるよ」

 捨てる神いれば拾う神あり。
 マリアといいババアといい、これまでに受けたことのない優しさを感じるのは周囲の視線が辛かったせいもあるのだろう。

「うぅ……ババアとか思ってごめんなさい」
 店を出た凍花は、扉の前で胸に手を当てて一人謝罪する。
『聞こえとるよ。あたしゃこの歳でも耳は良いんでねぇ』
「あわわわ?! す、すみません!」
『構わないよ本当のことさね、また遊びにんさい』

 扉の向こうから聞こえる言葉に再び癒される凍花。
 いつもより一段と軽い足取りで宿へと向かうのであった。
しおりを挟む
感想 4

あなたにおすすめの小説

外れスキルは、レベル1!~異世界転生したのに、外れスキルでした!

武蔵野純平
ファンタジー
異世界転生したユウトは、十三歳になり成人の儀式を受け神様からスキルを授かった。 しかし、授かったスキルは『レベル1』という聞いたこともないスキルだった。 『ハズレスキルだ!』 同世代の仲間からバカにされるが、ユウトが冒険者として活動を始めると『レベル1』はとんでもないチートスキルだった。ユウトは仲間と一緒にダンジョンを探索し成り上がっていく。 そんなユウトたちに一人の少女た頼み事をする。『お父さんを助けて!』

セーブポイント転生 ~寿命が無い石なので千年修行したらレベル上限突破してしまった~

空色蜻蛉
ファンタジー
枢は目覚めるとクリスタルの中で魂だけの状態になっていた。どうやらダンジョンのセーブポイントに転生してしまったらしい。身動きできない状態に悲嘆に暮れた枢だが、やがて開き直ってレベルアップ作業に明け暮れることにした。百年経ち、二百年経ち……やがて国の礎である「聖なるクリスタル」として崇められるまでになる。 もう元の世界に戻れないと腹をくくって自分の国を見守る枢だが、千年経った時、衝撃のどんでん返しが待ち受けていて……。 【お知らせ】6/22 完結しました!

異世界転生したらたくさんスキルもらったけど今まで選ばれなかったものだった~魔王討伐は無理な気がする~

宝者来価
ファンタジー
俺は異世界転生者カドマツ。 転生理由は幼い少女を交通事故からかばったこと。 良いとこなしの日々を送っていたが女神様から異世界に転生すると説明された時にはアニメやゲームのような展開を期待したりもした。 例えばモンスターを倒して国を救いヒロインと結ばれるなど。 けれど与えられた【今まで選ばれなかったスキルが使える】 戦闘はおろか日常の役にも立つ気がしない余りものばかり。 同じ転生者でイケメン王子のレイニーに出迎えられ歓迎される。 彼は【スキル:水】を使う最強で理想的な異世界転生者に思えたのだが―――!? ※小説家になろう様にも掲載しています。

異世界転移からふざけた事情により転生へ。日本の常識は意外と非常識。

久遠 れんり
ファンタジー
普段の、何気ない日常。 事故は、予想外に起こる。 そして、異世界転移? 転生も。 気がつけば、見たことのない森。 「おーい」 と呼べば、「グギャ」とゴブリンが答える。 その時どう行動するのか。 また、その先は……。 初期は、サバイバル。 その後人里発見と、自身の立ち位置。生活基盤を確保。 有名になって、王都へ。 日本人の常識で突き進む。 そんな感じで、進みます。 ただ主人公は、ちょっと凝り性で、行きすぎる感じの日本人。そんな傾向が少しある。 異世界側では、少し非常識かもしれない。 面白がってつけた能力、超振動が意外と無敵だったりする。

異世界召喚に条件を付けたのに、女神様に呼ばれた

りゅう
ファンタジー
 異世界召喚。サラリーマンだって、そんな空想をする。  いや、さすがに大人なので空想する内容も大人だ。少年の心が残っていても、現実社会でもまれた人間はまた別の空想をするのだ。  その日の神岡龍二も、日々の生活から離れ異世界を想像して遊んでいるだけのハズだった。そこには何の問題もないハズだった。だが、そんなお気楽な日々は、この日が最後となってしまった。

異世界転生~チート魔法でスローライフ

玲央
ファンタジー
【あらすじ⠀】都会で産まれ育ち、学生時代を過ごし 社会人になって早20年。 43歳になった主人公。趣味はアニメや漫画、スポーツ等 多岐に渡る。 その中でも最近嵌ってるのは「ソロキャンプ」 大型連休を利用して、 穴場スポットへやってきた! テントを建て、BBQコンロに テーブル等用意して……。 近くの川まで散歩しに来たら、 何やら動物か?の気配が…… 木の影からこっそり覗くとそこには…… キラキラと光注ぐように発光した 「え!オオカミ!」 3メートルはありそうな巨大なオオカミが!! 急いでテントまで戻ってくると 「え!ここどこだ??」 都会の生活に疲れた主人公が、 異世界へ転生して 冒険者になって 魔物を倒したり、現代知識で商売したり…… 。 恋愛は多分ありません。 基本スローライフを目指してます(笑) ※挿絵有りますが、自作です。 無断転載はしてません。 イラストは、あくまで私のイメージです ※当初恋愛無しで進めようと書いていましたが 少し趣向を変えて、 若干ですが恋愛有りになります。 ※カクヨム、なろうでも公開しています

スーパーの店長・結城偉介 〜異世界でスーパーの売れ残りを在庫処分〜

かの
ファンタジー
 世界一周旅行を夢見てコツコツ貯金してきたスーパーの店長、結城偉介32歳。  スーパーのバックヤードで、うたた寝をしていた偉介は、何故か異世界に転移してしまう。  偉介が転移したのは、スーパーでバイトするハル君こと、青柳ハル26歳が書いたファンタジー小説の世界の中。  スーパーの過剰商品(売れ残り)を捌きながら、微妙にズレた世界線で、偉介の異世界一周旅行が始まる!  冒険者じゃない! 勇者じゃない! 俺は商人だーーー! だからハル君、お願い! 俺を戦わせないでください!

第5皇子に転生した俺は前世の医学と知識や魔法を使い世界を変える。

黒ハット
ファンタジー
 前世は予防医学の専門の医者が飛行機事故で結婚したばかりの妻と亡くなり異世界の帝国の皇帝の5番目の子供に転生する。子供の生存率50%という文明の遅れた世界に転生した主人公が前世の知識と魔法を使い乱世の世界を戦いながら前世の奥さんと巡り合い世界を変えて行く。  

処理中です...