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1章 ダンジョンと少女
プロローグ
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歓楽街シノクラ。
そこは湖に面した大きな街で、娯楽や酒に溺れる冒険者の多い街としても有名である。
ダンジョンをいくつも管理しているが、その内の一つに、かの有名な『無上クエ』が名を連ねている。
大空を優雅に舞う天空龍。
その存在を倒せる者など無く、時折供物を捧げることで街は龍の怒りを抑えていた。
「すっごいねー。おっきい街、何があるのかなぁ」
「お、お姉ちゃん、もっとゆっくり歩いてよ」
人混みに押されてうまく進めないラビが、必死に凍花の後をついていく。
外套のおかげで住民から見られることもなく、今の所はいたって平和そのものである。
しかも街の周辺にはいくつものダンジョンが存在しているから、冒険者にとっては稼ぐ絶好のシチュエーションなのだとか。
多少のスタンピード程度であれば、この街にいる冒険者の障害になどならない。
だから自信のある冒険者たちがこぞってこの街にやってくるのだとされている。
逆に言えば、この街に来れない冒険者は実力不足。
あるいは村を出られない理由を持つものか臆病者。
そう捉えられてしまうのが、この世界の常識でもあった。
「やぁやぁ、美味しいクラーケン焼きはいかがかな?」
「お、可愛いお嬢さんだね。
くじ引きやってるよ。すごく良いキューブが手に入るかもしれないくじ引き、やっていかないかい?」
そんな客引きも賑わいの一つで、雰囲気がもう今までの村とは全く異なったものであった。
とはいえ長旅で疲れた身体は一刻も早く癒したい。
「テイマーの人急募!
参加者が足りてないんだ、誰か自信のある者がいたらギルドで受付中だぁ!」
その道中、親善試合の話が聞こえてくる。
剣士や魔法使いの数は多いが、テイマーに関してはスキルが無くては参加も難しい。
参加締め切りが近いということで、若い冒険者が躍起になって呼びかけている状況だという。
前の村の木工職人マリアさんの話では勝てば大層な商品を貰えるとのことで、お金のない凍花は嫌でも熱が入ってしまう。
しかし、まずは今日の宿と食事の確保が先決である。
「えぇっ? ……じゃあ30ラメで大丈夫ですのでお願いします。
でも30かぁ……どこか泊まれるところあるかなぁ」
干し肉を買い取ってもらったものの、その品質が乾燥しすぎであるとして、宿代も怪しい額しか手に入らない。
「ったくしょうがないお嬢ちゃんだねぇ。
……ほら、綺麗な顔が傷だらけじゃないか」
見かねたオババ店主は軟膏を取り出して凍花の顔にそれを塗る。
「街外れにロッカ亭って私の従姉妹がやっている宿があるから、そこに行ってみな。
『薬ババア』に教えてもらったと言えば話を聞いてくれるよ」
捨てる神いれば拾う神あり。
マリアといいババアといい、これまでに受けたことのない優しさを感じるのは周囲の視線が辛かったせいもあるのだろう。
「うぅ……ごうつくババアとか思ってごめんなさい」
店を出た凍花は、扉の前で胸に手を当てて一人謝罪する。
『聞こえとるよ。あたしゃこの歳でも耳は良いんでねぇ』
「あわわわ?! す、すみません!」
『構わないよ本当のことさね、また遊びに来んさい』
扉の向こうから聞こえる言葉に再び癒される凍花。
いつもより一段と軽い足取りで宿へと向かうのであった。
そこは湖に面した大きな街で、娯楽や酒に溺れる冒険者の多い街としても有名である。
ダンジョンをいくつも管理しているが、その内の一つに、かの有名な『無上クエ』が名を連ねている。
大空を優雅に舞う天空龍。
その存在を倒せる者など無く、時折供物を捧げることで街は龍の怒りを抑えていた。
「すっごいねー。おっきい街、何があるのかなぁ」
「お、お姉ちゃん、もっとゆっくり歩いてよ」
人混みに押されてうまく進めないラビが、必死に凍花の後をついていく。
外套のおかげで住民から見られることもなく、今の所はいたって平和そのものである。
しかも街の周辺にはいくつものダンジョンが存在しているから、冒険者にとっては稼ぐ絶好のシチュエーションなのだとか。
多少のスタンピード程度であれば、この街にいる冒険者の障害になどならない。
だから自信のある冒険者たちがこぞってこの街にやってくるのだとされている。
逆に言えば、この街に来れない冒険者は実力不足。
あるいは村を出られない理由を持つものか臆病者。
そう捉えられてしまうのが、この世界の常識でもあった。
「やぁやぁ、美味しいクラーケン焼きはいかがかな?」
「お、可愛いお嬢さんだね。
くじ引きやってるよ。すごく良いキューブが手に入るかもしれないくじ引き、やっていかないかい?」
そんな客引きも賑わいの一つで、雰囲気がもう今までの村とは全く異なったものであった。
とはいえ長旅で疲れた身体は一刻も早く癒したい。
「テイマーの人急募!
参加者が足りてないんだ、誰か自信のある者がいたらギルドで受付中だぁ!」
その道中、親善試合の話が聞こえてくる。
剣士や魔法使いの数は多いが、テイマーに関してはスキルが無くては参加も難しい。
参加締め切りが近いということで、若い冒険者が躍起になって呼びかけている状況だという。
前の村の木工職人マリアさんの話では勝てば大層な商品を貰えるとのことで、お金のない凍花は嫌でも熱が入ってしまう。
しかし、まずは今日の宿と食事の確保が先決である。
「えぇっ? ……じゃあ30ラメで大丈夫ですのでお願いします。
でも30かぁ……どこか泊まれるところあるかなぁ」
干し肉を買い取ってもらったものの、その品質が乾燥しすぎであるとして、宿代も怪しい額しか手に入らない。
「ったくしょうがないお嬢ちゃんだねぇ。
……ほら、綺麗な顔が傷だらけじゃないか」
見かねたオババ店主は軟膏を取り出して凍花の顔にそれを塗る。
「街外れにロッカ亭って私の従姉妹がやっている宿があるから、そこに行ってみな。
『薬ババア』に教えてもらったと言えば話を聞いてくれるよ」
捨てる神いれば拾う神あり。
マリアといいババアといい、これまでに受けたことのない優しさを感じるのは周囲の視線が辛かったせいもあるのだろう。
「うぅ……ごうつくババアとか思ってごめんなさい」
店を出た凍花は、扉の前で胸に手を当てて一人謝罪する。
『聞こえとるよ。あたしゃこの歳でも耳は良いんでねぇ』
「あわわわ?! す、すみません!」
『構わないよ本当のことさね、また遊びに来んさい』
扉の向こうから聞こえる言葉に再び癒される凍花。
いつもより一段と軽い足取りで宿へと向かうのであった。
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