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1章 ダンジョンと少女
大会前日
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ドラーニアの行動は早く、街に戻った凍花は一つの空き店舗に招かれることになった。
「今日からここをトウカ達の家と思ってくれ。
なぁに、お金のことなら心配しなくていいぞ」
長いこと使われていない店内はホコリっぽく、蜘蛛の巣が張っている。
ドラーニアが言うには、昔から気に入った者に店舗を貸し出しては料理を作らせているそうだ。
「でも本当に私、パン屋で接客をしてた程度でお店の経験なんて無いですよ?
それに、明後日の大会に出場する予定だからすぐには……」
異世界料理で一儲けなんてことを考えたことが無いわけではない。
マヨネーズだとか唐揚げなんてものが、こちらの世界にあるわけもなく、ロゼッタさんのパン屋で販売できないかと考えたくらいだ。
ドラーニアには店の開店を待ってもらうべく、簡単に説明を続ける。
最初は訝しげに聞いていたドラーニアだが、大会の内容を話すと次第に表情が変わっていった。
「あぁ。大会というのは、龍殺しのアレか。
そういえばそこそこの強者が集まっておるとは思ったが、全く懲りておらんようじゃのぉ」
うすら笑いとでもいうのだろうか?
ドラーニアの笑みに不気味な印象を持った凍花である。
「龍殺しの……なんです?」
聞き覚えのない名前に凍花は聞き返す。
「いやなに、山の上にいる龍を誰が倒しに行くのかという度胸試しよ」
「優勝したら山に登るんですか?」
「登るには登るが、実際には供物を供えにくる役割さ。
道中で魔物にやられでもしたら大変だとでも思っておるんじゃろ?」
大昔から開かれていたお供え係を決める大会。
今でも供物は置かれるが、それはギルドからの依頼で行われるもので、以前とは異なり雑なものなのだとか。
「たまに喰ってやろうと思うたりもするが、そこは我慢じゃな」
「喰って……?」
聞き捨てならないセリフが聞こえるが、ドラーニアは淡々と話をし続ける。
「それはそうと、大会じゃったな。
そっちの長耳娘が出場するのか?
人間どもと比べたら、あまりに可哀想じゃろ」
「えっと……ラビのことですよね?
もしかして気付いてて言ってるんですか?」
外套もフードも一度も外してはいない。
それなのに耳が長いことをどこで知ったのか?
それもそうだが、先程から話がどうも怪しい感じがしてしまう。
「お姉ちゃん……この人、多分私たちと一緒……」
後ろからラビが小声で話しかける。
「あ、やっぱり?
なんか言ってることが歳の割に昔の話みたいだったし」
「なんじゃ二人でこそこそと。
いやぁ、アタシも出場してみるかな?
でも、そうするとアタシがアタシのために供物を運ぶことになるのか」
「あのドラーニアさん……?
もしかしなくても、その……天空龍とか呼ばれてたりします?」
もはや『それとなく』など聞けはしない。
当人も隠している様子はないので、潔く聞いてみる凍花。
「なんじゃ言わんかったか?
この街に棲んでおる龍など、アタシら以外に他にはおらんではないか」
火を吹き風を巻き起こし、爪はあらゆるものを切り裂いて天高く舞う。
「あぁ、この姿で街にいる理由か?
暴れても餌が逃げていくだけだしな。
それに人間の作るメシに興味があるんじゃよ」
この世界で最も強いとされる天空龍は、人間に化けることもでき、人々を飼い殺しているようだ。
「大体、アタシの縄張りでダンジョン同士潰しあって何を企んでいるのかと思っておったが……
納得したさ。うまいメシのためならば仕方無いわな」
うんうん頷いて、一人語りは止まらない。
ではサンドイッチを持っていなければ、どうなっていたのだろうか?
ジッと見据えるドラーニアの瞳と目が合い、生きた心地のしない凍花であった。
「今日からここをトウカ達の家と思ってくれ。
なぁに、お金のことなら心配しなくていいぞ」
長いこと使われていない店内はホコリっぽく、蜘蛛の巣が張っている。
ドラーニアが言うには、昔から気に入った者に店舗を貸し出しては料理を作らせているそうだ。
「でも本当に私、パン屋で接客をしてた程度でお店の経験なんて無いですよ?
それに、明後日の大会に出場する予定だからすぐには……」
異世界料理で一儲けなんてことを考えたことが無いわけではない。
マヨネーズだとか唐揚げなんてものが、こちらの世界にあるわけもなく、ロゼッタさんのパン屋で販売できないかと考えたくらいだ。
ドラーニアには店の開店を待ってもらうべく、簡単に説明を続ける。
最初は訝しげに聞いていたドラーニアだが、大会の内容を話すと次第に表情が変わっていった。
「あぁ。大会というのは、龍殺しのアレか。
そういえばそこそこの強者が集まっておるとは思ったが、全く懲りておらんようじゃのぉ」
うすら笑いとでもいうのだろうか?
ドラーニアの笑みに不気味な印象を持った凍花である。
「龍殺しの……なんです?」
聞き覚えのない名前に凍花は聞き返す。
「いやなに、山の上にいる龍を誰が倒しに行くのかという度胸試しよ」
「優勝したら山に登るんですか?」
「登るには登るが、実際には供物を供えにくる役割さ。
道中で魔物にやられでもしたら大変だとでも思っておるんじゃろ?」
大昔から開かれていたお供え係を決める大会。
今でも供物は置かれるが、それはギルドからの依頼で行われるもので、以前とは異なり雑なものなのだとか。
「たまに喰ってやろうと思うたりもするが、そこは我慢じゃな」
「喰って……?」
聞き捨てならないセリフが聞こえるが、ドラーニアは淡々と話をし続ける。
「それはそうと、大会じゃったな。
そっちの長耳娘が出場するのか?
人間どもと比べたら、あまりに可哀想じゃろ」
「えっと……ラビのことですよね?
もしかして気付いてて言ってるんですか?」
外套もフードも一度も外してはいない。
それなのに耳が長いことをどこで知ったのか?
それもそうだが、先程から話がどうも怪しい感じがしてしまう。
「お姉ちゃん……この人、多分私たちと一緒……」
後ろからラビが小声で話しかける。
「あ、やっぱり?
なんか言ってることが歳の割に昔の話みたいだったし」
「なんじゃ二人でこそこそと。
いやぁ、アタシも出場してみるかな?
でも、そうするとアタシがアタシのために供物を運ぶことになるのか」
「あのドラーニアさん……?
もしかしなくても、その……天空龍とか呼ばれてたりします?」
もはや『それとなく』など聞けはしない。
当人も隠している様子はないので、潔く聞いてみる凍花。
「なんじゃ言わんかったか?
この街に棲んでおる龍など、アタシら以外に他にはおらんではないか」
火を吹き風を巻き起こし、爪はあらゆるものを切り裂いて天高く舞う。
「あぁ、この姿で街にいる理由か?
暴れても餌が逃げていくだけだしな。
それに人間の作るメシに興味があるんじゃよ」
この世界で最も強いとされる天空龍は、人間に化けることもでき、人々を飼い殺しているようだ。
「大体、アタシの縄張りでダンジョン同士潰しあって何を企んでいるのかと思っておったが……
納得したさ。うまいメシのためならば仕方無いわな」
うんうん頷いて、一人語りは止まらない。
ではサンドイッチを持っていなければ、どうなっていたのだろうか?
ジッと見据えるドラーニアの瞳と目が合い、生きた心地のしない凍花であった。
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