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「乗り心地が悪い……ねぇ。
馬車なんてみんなこんなもんだろうが。
アイツみたいなこと言いやがって…」
一人、車両デッキにて整備を行なっているフロックスの姿があった。
馬車を船に乗せるなんてどこの貴族様だ、目立って仕方ない。
しかしまぁ珍しい素材も多いし、多少は出費がかさんでも仕方あるまいか……
「ちっ……久しぶりに嫌なことを思い出しちまった……
全部クロウのせいだ、後で美味い料理でもご馳走してもらわなきゃ割に合わねぇな」
幼い頃に遊んだ記憶。
同じワーウルフの少女と共に、近くの森で木の実を拾っていた。
仲も良かったので、いつもお互いの家に行っては遊んで食事までご馳走になったりと。
料理が口に合わない……馬車は乗り心地が悪いから嫌いだ。
どうしてフロックスは風呂に入らないんだと……
俺の知らない遊びもいくつも教えてくれて、不思議な少女だった。
「あっ、いたいた!」
サクアが他の馬車から顔をのぞかせて声をかけてくる。
一際小さなエゾリスのヤエも、その後ろから俺を見て笑みを浮かべている。
「フロックスさん……あの、なにか遊べるものとか持っていませんか?」
「そうなのよ、暇、ひーまー。
まだ半日以上船にいるわけでしょ?
この際本でもなんでもいいのよ。暇つぶしを頂戴」
俺は暇ではないのだがなぁ……
「クロウのところに行ったらいいじゃないか」
「あの、その……熟睡しちゃってて起こしたら悪いかなって」
「寝顔だけで30分は暇つぶしになったけどねっ」
「う、うん……」
クロウのやつもまた、えらいのに好かれたもんだな。
「まぁいい、お前らあやとりって知ってるか?」
「知らなーい、なにそれ?」
俺は道具箱から手頃な太さの紐を取り出して、二人に渡してやった。
まぁ俺の指では、アイツほどうまくはできないし、簡単にやり方を教えてやっただけだ。
こんなもので時間潰しになるなら、こっちも楽でいい。
なんなら道具を使わない他の遊びも教えておけば、馬車の中でも大人しくしているだろうか。
二人が船室に向かったのを見送って、俺は一人船内の酒場へと向かったのだった……
馬車なんてみんなこんなもんだろうが。
アイツみたいなこと言いやがって…」
一人、車両デッキにて整備を行なっているフロックスの姿があった。
馬車を船に乗せるなんてどこの貴族様だ、目立って仕方ない。
しかしまぁ珍しい素材も多いし、多少は出費がかさんでも仕方あるまいか……
「ちっ……久しぶりに嫌なことを思い出しちまった……
全部クロウのせいだ、後で美味い料理でもご馳走してもらわなきゃ割に合わねぇな」
幼い頃に遊んだ記憶。
同じワーウルフの少女と共に、近くの森で木の実を拾っていた。
仲も良かったので、いつもお互いの家に行っては遊んで食事までご馳走になったりと。
料理が口に合わない……馬車は乗り心地が悪いから嫌いだ。
どうしてフロックスは風呂に入らないんだと……
俺の知らない遊びもいくつも教えてくれて、不思議な少女だった。
「あっ、いたいた!」
サクアが他の馬車から顔をのぞかせて声をかけてくる。
一際小さなエゾリスのヤエも、その後ろから俺を見て笑みを浮かべている。
「フロックスさん……あの、なにか遊べるものとか持っていませんか?」
「そうなのよ、暇、ひーまー。
まだ半日以上船にいるわけでしょ?
この際本でもなんでもいいのよ。暇つぶしを頂戴」
俺は暇ではないのだがなぁ……
「クロウのところに行ったらいいじゃないか」
「あの、その……熟睡しちゃってて起こしたら悪いかなって」
「寝顔だけで30分は暇つぶしになったけどねっ」
「う、うん……」
クロウのやつもまた、えらいのに好かれたもんだな。
「まぁいい、お前らあやとりって知ってるか?」
「知らなーい、なにそれ?」
俺は道具箱から手頃な太さの紐を取り出して、二人に渡してやった。
まぁ俺の指では、アイツほどうまくはできないし、簡単にやり方を教えてやっただけだ。
こんなもので時間潰しになるなら、こっちも楽でいい。
なんなら道具を使わない他の遊びも教えておけば、馬車の中でも大人しくしているだろうか。
二人が船室に向かったのを見送って、俺は一人船内の酒場へと向かったのだった……
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