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6.香水(5)
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「香菜子様と仲直りはできましたか?」
「うん、俺は大人だからな。ちゃんと姉さんのこと許したぞ!」
パーティーが終わった帰りの車の中。
一時はどうなることかと思ったが、晴太郎の機嫌はすっかりもとに戻っていた。香菜子ともいつの間にか仲直りしていたようで安心した。今度お詫びに買い物に連れて行くと約束したらしい。
他の兄弟は明日の仕事を休みにして、紗香のようにホテルに泊まって行くと言っていたが、晴太郎は明日も学校があるのでそういうわけにいかない。自分だけ違うことに晴太郎は少し寂しそうにしていて、少し心が痛む。
「そういえば、幸太郎様と風太郎様には会えましたか?」
「うーん……幸兄さんは忙しそうで声掛けられなかったし、風兄さんはそもそも姿を見掛けなかったなあ」
幸太郎は1番上の兄で副社長でもあるので声をかける隙がなかった様だ。風太郎は3番目の兄で、少し引っ込み思案なところがある。華やかな場所は得意でないので、挨拶もそこそこにすぐ部屋にこもってしまったのかもしれない。
「あ、そうだ。さや姉さんからいい物を貰ったんだ!」
「よかったですね。何を貰ったんですか?」
晴太郎は上着のポケットをゴソゴソと漁る。
「これ! 夢の国のチケット!」
わかりやすいようなこちらに向けてくれるが、残念ながら運転中なのでしっかり見る事は出来ない。ちらり、と横目で見ると紙の小さなチケットは2枚あった。
「日付指定券で、しかも28日なんだ!」
「坊ちゃんの誕生日ですね」
「そうなんだ! 誕生日ネズミーってやつだ!」
12月28日は、晴太郎の17歳の誕生日だ。ちょうど冬休みが始まる日なので、出掛けることに何一つ問題はない。
嬉しそうな主人に、思わず笑みが溢れる。実は晴太郎は、大金持ちの御曹司なのに夢の国には行ったことが無いのだ。学校で夢の国へ行った友人の話を聞いて、以前から行きたいと言っていたのだが、なかなか機会がなくて連れて行ってやることが出来なかった。
「ってことで、行くぞ七海!」
「……え、私ですか?」
七海は驚いた。友達や兄弟と行くものだとばかり思っていたので、まさか自分が指名されるとは。
「俺は七海と行きたいんだ。いいだろ?」
「もちろんです。私で良ければ、ご一緒します」
主人直々の指名だなんて、身に余る光栄だ。
実は七海も行ったことがなく全く知らないので、なんとか当日までに勉強しなければ。
「楽しみだなあー…………は、っくしゅん!」
夢の国に思いを馳せ、わくわくした様子の晴太郎が、不意に小さなくしゃみをした。
「寒いですか? 暖房を上げますね」
「うーん、やっぱり夜は寒いな」
「後部座席にブランケットがありますが」
「いや、もう着くし大丈夫だ」
車内は晴太郎が寒くない様にと、温かすぎるくらいの温度にしていたが足りなかったようだ。
主人が風邪をひいてはいけない、と七海は車内の暖房をさらに上げた。
「香菜子様と仲直りはできましたか?」
「うん、俺は大人だからな。ちゃんと姉さんのこと許したぞ!」
パーティーが終わった帰りの車の中。
一時はどうなることかと思ったが、晴太郎の機嫌はすっかりもとに戻っていた。香菜子ともいつの間にか仲直りしていたようで安心した。今度お詫びに買い物に連れて行くと約束したらしい。
他の兄弟は明日の仕事を休みにして、紗香のようにホテルに泊まって行くと言っていたが、晴太郎は明日も学校があるのでそういうわけにいかない。自分だけ違うことに晴太郎は少し寂しそうにしていて、少し心が痛む。
「そういえば、幸太郎様と風太郎様には会えましたか?」
「うーん……幸兄さんは忙しそうで声掛けられなかったし、風兄さんはそもそも姿を見掛けなかったなあ」
幸太郎は1番上の兄で副社長でもあるので声をかける隙がなかった様だ。風太郎は3番目の兄で、少し引っ込み思案なところがある。華やかな場所は得意でないので、挨拶もそこそこにすぐ部屋にこもってしまったのかもしれない。
「あ、そうだ。さや姉さんからいい物を貰ったんだ!」
「よかったですね。何を貰ったんですか?」
晴太郎は上着のポケットをゴソゴソと漁る。
「これ! 夢の国のチケット!」
わかりやすいようなこちらに向けてくれるが、残念ながら運転中なのでしっかり見る事は出来ない。ちらり、と横目で見ると紙の小さなチケットは2枚あった。
「日付指定券で、しかも28日なんだ!」
「坊ちゃんの誕生日ですね」
「そうなんだ! 誕生日ネズミーってやつだ!」
12月28日は、晴太郎の17歳の誕生日だ。ちょうど冬休みが始まる日なので、出掛けることに何一つ問題はない。
嬉しそうな主人に、思わず笑みが溢れる。実は晴太郎は、大金持ちの御曹司なのに夢の国には行ったことが無いのだ。学校で夢の国へ行った友人の話を聞いて、以前から行きたいと言っていたのだが、なかなか機会がなくて連れて行ってやることが出来なかった。
「ってことで、行くぞ七海!」
「……え、私ですか?」
七海は驚いた。友達や兄弟と行くものだとばかり思っていたので、まさか自分が指名されるとは。
「俺は七海と行きたいんだ。いいだろ?」
「もちろんです。私で良ければ、ご一緒します」
主人直々の指名だなんて、身に余る光栄だ。
実は七海も行ったことがなく全く知らないので、なんとか当日までに勉強しなければ。
「楽しみだなあー…………は、っくしゅん!」
夢の国に思いを馳せ、わくわくした様子の晴太郎が、不意に小さなくしゃみをした。
「寒いですか? 暖房を上げますね」
「うーん、やっぱり夜は寒いな」
「後部座席にブランケットがありますが」
「いや、もう着くし大丈夫だ」
車内は晴太郎が寒くない様にと、温かすぎるくらいの温度にしていたが足りなかったようだ。
主人が風邪をひいてはいけない、と七海は車内の暖房をさらに上げた。
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