私の主人はワガママな神様

どろろ

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7.誕生日(1)

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「……げほっ、んー……じゃ、行ってきます」
「坊ちゃん、大丈夫ですか?」
「大丈夫、大丈夫。今日早めに終わるし」
「そうですか……行ってらっしゃいませ」

 いつもの様に最寄りの駅まで晴太郎を車で送る。昨日から少し咳をしていて喉が辛そうなので心配だ。
 今日は今年最後の学校の日で終業式があるので早く終わる。半日頑張れば良いだけだから、と言って晴太郎は休むことを拒んでいた。

 七海は家に戻らず、そのまま会社へ向かう。
 彼の仕事は世話係と教育係だけだと思われがちだが、それは違う。晴太郎が学校へ行っている間などは中条ホールディングスの総務部でしっかり働いているのだ。

「おはようございます」
「七海さん、おはようございます。ちょうど良かった。会議室の電球が切れてしまって……」
「わかりました。すぐ変えに行きます」

 女性が多い総務部で、男性で長身の七海は重宝されている。電球を変えたり、物を運んだりする仕事は大体すべてまわってくる。それだけでなく、事務的な仕事もしっかり熟すので、会社員としても有能だと周りの評価も高い。
 今日は仕事納めなので、昼頃まで仕事をしてあとは大掃除と納会。仕事も昨日のうちにほとんど片付けているため、今日はそれほどバタついていない。
 特に何も起こらなければいい、と考えながら仕事を片付け、大掃除の準備に取り掛かる。

 そしてもうすぐ昼休みに突入するという時、1本の電話が入った。

「七海さん、外線1番です」
「私にですか?」
「はい、晴太郎様の学校からです」

 悪い予感がした。晴太郎は優等生なので、絶対に不祥事なんて起こさない。そのため、学校から連絡が来る時の理由はひとつ。体調不良だ。

「はい、中条晴太郎の保護者です………はい、わかりました。すぐに迎えに行きます」

 七海の予想は当たった。38度の熱があり、インフルエンザの疑いがあるようだ。やはり朝に意地でも引き止めておけば良かった。

「すみませんが……私は坊ちゃんを迎えに行きますので、後はよろしくお願いします」
「お気になさらず。晴太郎坊ちゃん、大丈夫ですかね?」
「この季節ですし、インフルエンザかもしれないですね」
「それは大変! お大事になさってください。七海さんも気を付けて」
「ありがとうございます、失礼します」

 他の総務部の社員たちに頭を下げ、七海は急いで会社を出た。

 主に会社内の仕事を行う総務部は、誰かが抜けても他の人でカバー出来るので、他の部署に比べて融通が効く。晴太郎のことを第一に行動しなくてはならないため、七海は一番融通の効く総務部に所属しているのだ。
 会社の地下駐車から車を出し、急いで晴太郎の高校へ車を走らせた。
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