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7.誕生日(2)
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晴太郎は七海の予想以上にぐったりとしていた。朝は元気だったので問題ないと思っていたが、今年最後の学校だからと無理をしていたようだ。
車の後部座席に寝かせた晴太郎をなんとか車から下ろし、背中におぶって家まで運ぶ。晴太郎の部屋まで運び制服から部屋着に着替えさせてベッドに寝かせる。部屋を暖房でガンガンに温め、加湿器をセットする。
「ごめん、七海……仕事……」
「大丈夫ですよ、今日は大掃除と納会だけでしたから」
「でも、納会……寿司とか、食えたんだろ……?」
「そんなのはいいです。気にしないでください」
辛いのに自分のことを気遣ってくれる主人に七海は心を打たれた。なんて良い子に育ってくれたんだ。
冷たい水で絞ったタオルを晴太郎の額に乗せてやると、冷たさに驚いた晴太郎がぴくりと肩を跳ねさせた。
「七海~……明日までに、治るかな……」
「わかりませんが……今日はいっぱい寝て、早く治しましょう」
「うん……」
明日は晴太郎の誕生日。あんなに楽しみにしていたのに、誕生日当日を寝て過ごすなんて可哀想だ。
早く良くなるように、たくさん水分を取らせて栄養のある物をいっぱい食べさせようと七海は意気込む。しかし、病人がそんなに食べられるわけがないので七海の努力は無駄になってしまう。
そして、次の日。
「……38度8分。出掛けるのは、無理ですね」
「うう……行きたかった……」
誕生日当日になっても晴太郎の体調は良くならず、むしろ悪化していた。
「うぐっ、ぅう……ななみ~……」
「泣かないでください。お辛いでしょうが……もうすぐ上のお姉様が来ますので、診てもらいましょう」
「ぐずっ……うん」
身体が辛いせいか、晴太郎は心まで弱ってしまっている。ポロポロと涙を流し始めてしまったので、そっと拭ってやる。
上の姉の紗香は医者である。連絡したらすぐにいくと言ってくれた。仲の良い姉が来てくれれば、晴太郎も少し落ち着くかもしれない。
「それまで、何か食べられますか?」
「……腹減ってない」
「食べないと治りませんよ」
「………りんご、擦ったやつ」
「かしこまりました。用意してきますね」
高熱の時の何も食べたくない気持ちは分かるが、何か食べないと治るものも治らないし、薬を飲むことも出来ない。本当は言うことを聞いてあげたいが、ここは心を鬼にして何としてでも食べてもらう。
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