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8.夜食(3)
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「これをどうぞ」
「えー、何だ…………っ、これ……!!」
中身を見た晴太郎の顔が、キラキラと輝いた。
封筒には、晴太郎が姉から貰ったものと同じ場所のチケット。
「お誕生日おめでとうございます。私からのプレゼントです」
以前から晴太郎が夢の国に行きたがっていたのを知っていた七海は、誕生日プレゼントにチケットを用意していたのだが、姉の紗香に先を越されてしまい渡せずにいた。
しかも紗香は、日付け指定の券を渡して誕生日当日に遊びに行けるように手配までしていた。チケットを渡すことしか考えていない七海は完敗だ。
同じ物を渡すのも気が引けたのでずっと放置していたのだが、幸か不幸か、誕生日当日に行けなくなってしまったので渡すなら今がチャンスと思い、持って来たのだ。
「七海、ありがとう! すごく嬉しい!」
よほど嬉しかったのか、晴太郎は隣に座る七海に抱きついた。
これほど喜んでくれるとは思っていなかったので驚いたが、七海は主人の喜ぶ顔が見れて嬉しい。捻りのないプレゼントだと思ったが、これを選んで良かったと思う。
「しかも4枚もある! これで一緒に2回行けるな!」
「わ、私とで良いのですか? ご友人とか……」
「俺は七海と行きたいって言っただろ!」
友人たちと行けるようにと思って4枚用意したのだが、晴太郎は七海と2回行くつもりらしい。想定と違ったが、主人がそうしたいのなら七海は喜んで付いて行く。
「楽しみだなあ。いつ行こうか?」
「落ち着いてください。体調がちゃんと治るまで駄目ですよ」
「えー……早く行きたい!」
夢の国へ思いを馳せて、キラキラした笑顔で楽しみだ、早く行きたいと言う姿は、まるで遠足前の子供のようだ。
晴太郎のキラキラした笑顔を見ると、七海はじんわりと心が温まるのを感じる。彼の笑顔はどうしてこうも七海を幸せにするのか、不思議で堪らない。
「だったら早く治しましょう。これ以上の夜更かしは身体によく無いので、薬を飲んでもう寝ますよ」
「うっ、アレは……もう嫌だからな?!」
「アレ……? ああ、座薬ですか。熱がないので大丈夫ですよ」
「そうか、よかった……」
薬と聞いて警戒したが、晴太郎は嫌いなアレではないと分かると安心した様に息をつく。
七海としても、泣いて嫌がる晴太郎に挿れるなんて事はもうしたくない。ものすごく心が痛む。次から座薬を処方された時は突っ返そう、と心に誓った。
楽しみにしていた誕生日が、晴太郎にとっては辛くて苦しくて散々な日になってしまった。誕生日を祝えなかった分、二人で過ごす年末年始くらいは思い切り甘やかしても良いのでないかと七海は思う。
明日は彼の好きな物をたくさん作って、誕生日ケーキも焼いて、晴太郎が喜ぶと事をたくさんしよう。彼が笑顔でいてくれる事が、七海とってこの上ない幸せだ。
「えー、何だ…………っ、これ……!!」
中身を見た晴太郎の顔が、キラキラと輝いた。
封筒には、晴太郎が姉から貰ったものと同じ場所のチケット。
「お誕生日おめでとうございます。私からのプレゼントです」
以前から晴太郎が夢の国に行きたがっていたのを知っていた七海は、誕生日プレゼントにチケットを用意していたのだが、姉の紗香に先を越されてしまい渡せずにいた。
しかも紗香は、日付け指定の券を渡して誕生日当日に遊びに行けるように手配までしていた。チケットを渡すことしか考えていない七海は完敗だ。
同じ物を渡すのも気が引けたのでずっと放置していたのだが、幸か不幸か、誕生日当日に行けなくなってしまったので渡すなら今がチャンスと思い、持って来たのだ。
「七海、ありがとう! すごく嬉しい!」
よほど嬉しかったのか、晴太郎は隣に座る七海に抱きついた。
これほど喜んでくれるとは思っていなかったので驚いたが、七海は主人の喜ぶ顔が見れて嬉しい。捻りのないプレゼントだと思ったが、これを選んで良かったと思う。
「しかも4枚もある! これで一緒に2回行けるな!」
「わ、私とで良いのですか? ご友人とか……」
「俺は七海と行きたいって言っただろ!」
友人たちと行けるようにと思って4枚用意したのだが、晴太郎は七海と2回行くつもりらしい。想定と違ったが、主人がそうしたいのなら七海は喜んで付いて行く。
「楽しみだなあ。いつ行こうか?」
「落ち着いてください。体調がちゃんと治るまで駄目ですよ」
「えー……早く行きたい!」
夢の国へ思いを馳せて、キラキラした笑顔で楽しみだ、早く行きたいと言う姿は、まるで遠足前の子供のようだ。
晴太郎のキラキラした笑顔を見ると、七海はじんわりと心が温まるのを感じる。彼の笑顔はどうしてこうも七海を幸せにするのか、不思議で堪らない。
「だったら早く治しましょう。これ以上の夜更かしは身体によく無いので、薬を飲んでもう寝ますよ」
「うっ、アレは……もう嫌だからな?!」
「アレ……? ああ、座薬ですか。熱がないので大丈夫ですよ」
「そうか、よかった……」
薬と聞いて警戒したが、晴太郎は嫌いなアレではないと分かると安心した様に息をつく。
七海としても、泣いて嫌がる晴太郎に挿れるなんて事はもうしたくない。ものすごく心が痛む。次から座薬を処方された時は突っ返そう、と心に誓った。
楽しみにしていた誕生日が、晴太郎にとっては辛くて苦しくて散々な日になってしまった。誕生日を祝えなかった分、二人で過ごす年末年始くらいは思い切り甘やかしても良いのでないかと七海は思う。
明日は彼の好きな物をたくさん作って、誕生日ケーキも焼いて、晴太郎が喜ぶと事をたくさんしよう。彼が笑顔でいてくれる事が、七海とってこの上ない幸せだ。
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