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第18話「手料理」
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第18話「手料理」
凪のマンションの地下駐車場にマイバッハを止めると、蛍は周囲を見回した。幸い、駐車場に他の人影はない。このまま、駐車場から蛍の部屋のあるフロアーまでできれば、他の人とは会いたくない気持ちがあった。
アラサー女がイケメンの高校生を連れて部屋に入るところを見られ、のちの行為を変に想像されるのが嫌だったからだ。幸い、エレベーターの庫内を写すモニターには人影は確認できなかった。
速足で凪を連れて乗り込むと、目的階のボタンを押した。1階に停まることなくエレベーターは蛍の部屋のフロアーに到着した。玄関を入ったところで
「凪君、ちょっと2,3分だけここで待っててな。部屋の中に洗濯物干してるから、それだけ片付けてくるわ。」
と言い残し、部屋の中に入っていった。
凪は深く息を吸い込んだ。(あぁ、蛍さんの匂いがする。勢いでおじゃましちゃったけど、本当は迷惑やったんやろか…)と思っていると、
「もう入ってきてええよ。けっこう散らかってるけどごめんな。」
と蛍から声がかかった。
玄関から中に入ると、20畳近くある広いリビングダイニングに、隣接する部屋が二つあるようだった。その部屋はどちらもドアが閉まっている。リビングダイニングは、50インチのテレビと5.1chのスピーカーシステムが中央に配置され、大きめのカウチとテーブルが置かれていた。テレビラックには、たくさんのDVDが並んでいる。
キッチン前には2人掛けのこ洒落たテーブルと椅子が並んでいる。やや細身で小さめの3ドア冷蔵庫と電子レンジと1人用の炊飯器がある。食器棚の横にショーケース型のワインラックとウォーターサーバーが設置されている。
思いのほか、シンプルな部屋だった。
「凪君、そこのソファーにでも腰掛けといて。テレビ見るんやったらつけてくれてええよ。」
凪をカウチに座らせると、蛍は奥の部屋に消えていった。再び現れた時は、髪はアップにまとめられ、スーツ姿からゆったりとしたスカートに履き替えブラウスの上から、胸から太ももの上まであるエプロン姿になっていた。
「か、可愛い…。」
思わず口からこぼれた凪の言葉に、蛍は真っ赤になって照れた。
「もう、恥ずかしいこと言わんとってよ…。ちょっと、冷蔵庫の中、確認するからゆっくり待っててな。」
ウォーターサーバーから、グラスに冷水を注ぐと、カウチの前のテーブルに置いた。凪の視線はずっと蛍を追いかけている。冷蔵庫の中を確認する蛍のお尻に目が釘付けになっていると
「凪君、お腹の好き具合はどう?ご飯炊いたほうがええかな?パエリアくらいやったら20分程でできるで。それともペンネでええ?
あとは、プロシュートと野菜で生春巻きでも作ろうと思うんやけど、凪君、セロリは食べられる?他にボリュームいるならサーロのソテーでもするけど。」
と蛍が冷蔵庫の中を見ながら凪に声をかけた。
返事ができずにいると、蛍が振り返り尋ねた。
「ん?どないなん?」
「あっ、すみません。いつもの螢さんと雰囲気が違うんで、見とれてしまってました。いつものスーツ姿もカッコいいですけど、部屋着も素敵ですね。」
「えっ、今、聞いてるんはご飯の事やねんけど。もう一回言わなあかんか?」
とちょっと口をとんがらがせて、再度、できるメニューを説明した。
蛍はアレクサに「お気に入りの音楽かけて」と声をかけると、J―POPのオルゴールのインストロメンタルの調べが室内に流れた。
「とんとん」と対面キッチンで包丁を扱う蛍の姿を「ぼーっ」と見つめながら、凪は頭の中がふわふわしたゆるーい感覚に浸っていた。
蛍の手際よく調理を進める姿をじっと見つめる凪の視線を感じつつ、ペンネを茹で始めた。ホールトマトの缶を出した。ニンニクのスライスをフライパンでオリーブオイルで炒めるとトマトを投入した。フライパンの火を弱火に落とすと、にんじんとセロリを細切りにすると生春巻きで巻き始めた。小さめのフライパンを出すと、サーロに粗挽き胡椒をふり掛けると、低温で焼き始めた。
茹で上がったペンネをざるで湯切りをするとトマトソースの入ったフライパンに投入して和えていく。サーロをひっくり返すとコンロの火を中火にして上からふたをかけた。
先に6本の生春巻きに豆苗を添えた皿が置かれ、ニンニクが香るトマトソースペンネが大きめの皿と小鉢に分けて二つ並んだ。調味料が並んだラックがテーブルに置かれ、一人前のサーロソテーがテーブルに置かれた。
「凪君おまたせ!大したもんできへんかったけど、食べよか。」
凪のマンションの地下駐車場にマイバッハを止めると、蛍は周囲を見回した。幸い、駐車場に他の人影はない。このまま、駐車場から蛍の部屋のあるフロアーまでできれば、他の人とは会いたくない気持ちがあった。
アラサー女がイケメンの高校生を連れて部屋に入るところを見られ、のちの行為を変に想像されるのが嫌だったからだ。幸い、エレベーターの庫内を写すモニターには人影は確認できなかった。
速足で凪を連れて乗り込むと、目的階のボタンを押した。1階に停まることなくエレベーターは蛍の部屋のフロアーに到着した。玄関を入ったところで
「凪君、ちょっと2,3分だけここで待っててな。部屋の中に洗濯物干してるから、それだけ片付けてくるわ。」
と言い残し、部屋の中に入っていった。
凪は深く息を吸い込んだ。(あぁ、蛍さんの匂いがする。勢いでおじゃましちゃったけど、本当は迷惑やったんやろか…)と思っていると、
「もう入ってきてええよ。けっこう散らかってるけどごめんな。」
と蛍から声がかかった。
玄関から中に入ると、20畳近くある広いリビングダイニングに、隣接する部屋が二つあるようだった。その部屋はどちらもドアが閉まっている。リビングダイニングは、50インチのテレビと5.1chのスピーカーシステムが中央に配置され、大きめのカウチとテーブルが置かれていた。テレビラックには、たくさんのDVDが並んでいる。
キッチン前には2人掛けのこ洒落たテーブルと椅子が並んでいる。やや細身で小さめの3ドア冷蔵庫と電子レンジと1人用の炊飯器がある。食器棚の横にショーケース型のワインラックとウォーターサーバーが設置されている。
思いのほか、シンプルな部屋だった。
「凪君、そこのソファーにでも腰掛けといて。テレビ見るんやったらつけてくれてええよ。」
凪をカウチに座らせると、蛍は奥の部屋に消えていった。再び現れた時は、髪はアップにまとめられ、スーツ姿からゆったりとしたスカートに履き替えブラウスの上から、胸から太ももの上まであるエプロン姿になっていた。
「か、可愛い…。」
思わず口からこぼれた凪の言葉に、蛍は真っ赤になって照れた。
「もう、恥ずかしいこと言わんとってよ…。ちょっと、冷蔵庫の中、確認するからゆっくり待っててな。」
ウォーターサーバーから、グラスに冷水を注ぐと、カウチの前のテーブルに置いた。凪の視線はずっと蛍を追いかけている。冷蔵庫の中を確認する蛍のお尻に目が釘付けになっていると
「凪君、お腹の好き具合はどう?ご飯炊いたほうがええかな?パエリアくらいやったら20分程でできるで。それともペンネでええ?
あとは、プロシュートと野菜で生春巻きでも作ろうと思うんやけど、凪君、セロリは食べられる?他にボリュームいるならサーロのソテーでもするけど。」
と蛍が冷蔵庫の中を見ながら凪に声をかけた。
返事ができずにいると、蛍が振り返り尋ねた。
「ん?どないなん?」
「あっ、すみません。いつもの螢さんと雰囲気が違うんで、見とれてしまってました。いつものスーツ姿もカッコいいですけど、部屋着も素敵ですね。」
「えっ、今、聞いてるんはご飯の事やねんけど。もう一回言わなあかんか?」
とちょっと口をとんがらがせて、再度、できるメニューを説明した。
蛍はアレクサに「お気に入りの音楽かけて」と声をかけると、J―POPのオルゴールのインストロメンタルの調べが室内に流れた。
「とんとん」と対面キッチンで包丁を扱う蛍の姿を「ぼーっ」と見つめながら、凪は頭の中がふわふわしたゆるーい感覚に浸っていた。
蛍の手際よく調理を進める姿をじっと見つめる凪の視線を感じつつ、ペンネを茹で始めた。ホールトマトの缶を出した。ニンニクのスライスをフライパンでオリーブオイルで炒めるとトマトを投入した。フライパンの火を弱火に落とすと、にんじんとセロリを細切りにすると生春巻きで巻き始めた。小さめのフライパンを出すと、サーロに粗挽き胡椒をふり掛けると、低温で焼き始めた。
茹で上がったペンネをざるで湯切りをするとトマトソースの入ったフライパンに投入して和えていく。サーロをひっくり返すとコンロの火を中火にして上からふたをかけた。
先に6本の生春巻きに豆苗を添えた皿が置かれ、ニンニクが香るトマトソースペンネが大きめの皿と小鉢に分けて二つ並んだ。調味料が並んだラックがテーブルに置かれ、一人前のサーロソテーがテーブルに置かれた。
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