「完結しました!」【R18】『イケメン男子高校生を飼っています。~アラサー女の欲望コンプリート日誌2024~』【こども食堂応援企画参加作品】

ぽよぽよ

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第19話「ワイン」

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第19話「ワイン」

 蛍に呼ばれ、凪はテーブルについた。明らかに蛍の食事のボリュームは少ない。蛍は、ワインのボトルをテーブルに置くと手際よくワインオープナーを使い抜栓し、蛍の席側のワイングラスに注いだ。
「凪君は18歳やから、お酒はあかんやろ。それとも今の子は18やったら、もう飲んでるんかな?」
といたずらっぽい目で尋ねた。
「はい、バイト先の先輩たちとチューハイくらいは飲むことはあります。まあ、法律違反ですけどね。」
と笑った。

 「じゃあ、ちょっと飲んでみる?ロゼワインやから飲みやすいと思うで。14%あるから、もしあれやったら、ちょっとはちみつ入れてウォーターサーバーの水で割っても美味しいけどな。」
蛍が推めるので「お願いします」と頭を下げた。
 グラスにはちみつを少し入れてウォーターサーバーで少量のお湯を入れはちみつを溶かすと冷水を三分の一まで注ぎ、その上にロゼワインを注ぎ、凪の前にサーブした。
「今日の凪君の頑張りと進化に乾杯!今日はいっぱい体力使ったんやから、どんどん食べてね!」
と蛍の茶化した乾杯の声掛けで食事が始まった。

 凪は、進められるがままに料理を口に運んだ。ペンネも生春巻きもサーロのソテーのどれもが美味しかった。気になったのは、蛍は生春巻きを二本、ペンネは10センチほどの小皿だけで、どんどんとワインを飲んでいる。
 凪も蛍が作ってくれたはちみつカクテルを口にした。ほのかに香るはちみつとロゼワインの甘い香りがまじりあい鼻をくすぐった。

 楽しく話をしながらの食事は、凪が半分程食べた時点で蛍は箸を置いた。
「螢さん、いつも食事はそんな量なんですか?」
「うん、子供のころはよう食べててんけど、今はこんな感じやで。まあ、高校時代に「これ以上背が高くなったら困るわ」って食事の量を減らして、それからはずっとこんなもん。
 親は「「螢」って名前があかんかったんかな。」って笑うんやで。ひどいよな、名前つけておいてそんなこと言うなんてな。カラカラカラ。」
と笑った。凪は意味が分からず蛍に尋ねた。
「螢さんの名前と、食事の量って何か関係があるんですか?」

 蛍はワインをくっと空け、注ぎ直すと笑いながら言った。
「ホタルって幼虫時代は肉食でガンガン食べるんやって!ゲンジボタルの幼虫の好物は凪君やねんで。カラカラカラ。」
「ん?どういう意味ですか?」
「ゲンジボタルの幼虫は「カワニナ」が「主食」やねんな。カラカラカラ。そんで成虫になったら水飲むだけで物は食べへんねんて。まあ、私は少しは食べんと死んでしまうからな。ただごはんおかずよりお酒の方が好きやから「酒の食事」と書いて「酒食」やな。カラカラカラ。わかった?」
 お酒が入り陽気になった蛍が笑いながら説明した。

 凪は、笑顔の蛍に真面目に返した。
「よくわかりました。丁寧なお答えありがとうございました。「ホタル」って幼虫の間は「カワニナ」が主食なんですね。蛍さんはもう大人ですけど、これからも僕を食べてくださいね。僕も喜んで食べられますから。」
まっすぐ蛍の目を見つめる視線に急に心拍数が上がった。
「もう、凪君、女心を鷲掴みにするなぁ。めちゃくちゃお姉さんは嬉しいぞ!さあ、凪君ももっと飲むか?」
とワインを勧めてきた。凪も喜んでグラスを出した。

 「それにしても、こんなに笑う螢さんって想像できませんでした。自宅だからですか?それともお酒が入ってるからですか?」
と聞いてくる凪に蛍は照れながら
「まあ、お酒が入ってるっていうのはあるけど、今日、凪君に5年ぶりに「女」に戻してもらったから、テンション上がっちゃってるからかな?
 それとも凪君はもっとおしとやかな女の方がええかな?」
と答えた。
「いや、どんな螢さんも好きですよ。今日は、今までにない螢さんが見られて嬉しいです。ご飯もすごくおいしかったですし、螢さんと飲むお酒はバイト先で飲むのとは一味も二味も違ってますからね。本当に体も食事もごちそうになりました。」
と丁寧に頭を下げた。(その言葉と態度が私のハートを鷲掴みにしてしまうんよなぁ…。)

 ふと時計を見ると8時を示していた。食事も終わり、二人とも高級チーズをアテに飲んでいる。ワインボトルは3本目に入っていた。



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