23 / 52
第21話「不幸の電話」
しおりを挟む
第21話「不幸の電話」
昨晩は、ホテルで頑張って5発発射したのと、食事の後のコスプレ撮影会で盛り上がりすぎたのと、慣れないワインを飲みすぎたからか、凪は11時には寝てしまった。寝ぼけた凪を何とかカウチに寝かせると、タオルケットをかけた。
蛍は洗い物を済ませ、アルバムや撮影のために出した衣装を片付けると、凪の寝顔を見ながら4本目のワインを開けた。
長いまつ毛の寝顔を「おかず」に、ワインはすすんだ。(あー、ほんまに凪君の事を好きになってしもたなぁ…。まさかの11歳下の男の子に恋してしまうことになるとは思えへんかったな。)と思いこの1週間を振り返った。
駅前ロータリーでの事故で始まったこの恋に、昔、流行ったラブコメマンガの定番で遅刻しそうで食パンくわえて走る女の子がぶつかったイケメンがその日クラスに来た転校生で、いきなり恋が始まるストーリーを重ねた。(あの頃は、そんな話世の中にあるわけあれへんやろって思ってたよな…。)
ボトルが半分ほど空いた時、蛍のスマホが鳴った。着信画面に「碧ねえちゃん」と出ている。(うわ、ゲロゲロ!嫌なときにかかってきたな…。)寝ている凪を起こさないように着信音を下げて「しかと」を決め込むことにした。しかし、何度も何度も繰り返しかかってくる電話に根負けして、ついに電話をとった。
スマホの向こうから、明らかに酔ったよく聞き覚えのある声が響いた。
「あんた、何「しかと」してんねん!電話鳴ったら早よでえや!」
いきなりぶっきらぼうに絡まれ、「むっ」としたが、酔った相手に言い返してもいいことは無いと判断した。
「しゃあないやん、お風呂入っててんから…。」
と適当に言い訳をした。すると予想外の反応が返ってきた。
「おっ、イケメン君と一緒に風呂でイチャイチャしてたってか!思いっきり当てつけてくれんな!」
あまりのことに、大声が出そうになるが、それを押さえたつもりだが、すっかり術中にはまってしまっていた。
「えっ、凪君のことなんで知ってんの、お姉ちゃん!」
(あっ、しまった。「凪君」って言ってしもた!あー、もう私のバカバカバカ!)反省したがもう遅かった
「へーえ、あのイケメン君、「ナギ君」っていうんや。どういう字書くんや?」
「そ、そんなん、お姉ちゃんに関係あれへんやろ!ふ、風呂入ってっていっても、わ、私一人で入っててんからな!」
「あーあ、慌てるとどもる癖は全然治ってへんな。はったりやはったり!今日、あんたがイケメンの男の子、助手席に乗せて走ってんのを見たから、カマかけ立ったんや。へーえ、今、お持ち帰りで部屋に居んねんな。なんやったら、今から遊びに行ったろか?」
(ゲロゲロ、こいつも性格全然変わってへん!絶対に来させたらあかん!ここは、強引にでも断らなあかんわ!)蛍は覚悟を決めて言った。
「お姉ちゃん、いい加減にして!私、明日は始発で東京出張やから来たって相手できへんで!もう、スマホも電源落として、インターホンも電池抜いて寝るから来てもあかんで!じゃあね、バイバイ!」
一方的に吐き捨て、スマホの電源を落とした。(あー、世の中で一番弱みを見せたらあかん奴に見られてしもたとは…。
スマホを機内モードにして、「既読」がつかないようにラインチェックをすると、「ごるあ!電話出ろ!」、「今から行くぞ」、「お前だけ幸せになれると思うなよ!」、「あんたのもんはわたしのもん。」、「私が奪ったるから覚悟しときや!」と次々にえげつないメッセージが入ってくる。(あーっ、もうこんな奴知らん!もう、「しかと」決め込んで寝るしかないな。電源落として、さようならや!)
上がった心拍数が収まることは無く、小刻みな震えが蛍を襲った。カウチで寝ている凪の寝顔を覗き込んだ。幸せそうな顔をして寝息を立てる凪に蛍は囁いた。
「凪君…、凪君のことは絶対に私が守ったるからな…。」
頬に軽い口づけをすると、蛍は自分の寝室へ入っていった。
昨晩は、ホテルで頑張って5発発射したのと、食事の後のコスプレ撮影会で盛り上がりすぎたのと、慣れないワインを飲みすぎたからか、凪は11時には寝てしまった。寝ぼけた凪を何とかカウチに寝かせると、タオルケットをかけた。
蛍は洗い物を済ませ、アルバムや撮影のために出した衣装を片付けると、凪の寝顔を見ながら4本目のワインを開けた。
長いまつ毛の寝顔を「おかず」に、ワインはすすんだ。(あー、ほんまに凪君の事を好きになってしもたなぁ…。まさかの11歳下の男の子に恋してしまうことになるとは思えへんかったな。)と思いこの1週間を振り返った。
駅前ロータリーでの事故で始まったこの恋に、昔、流行ったラブコメマンガの定番で遅刻しそうで食パンくわえて走る女の子がぶつかったイケメンがその日クラスに来た転校生で、いきなり恋が始まるストーリーを重ねた。(あの頃は、そんな話世の中にあるわけあれへんやろって思ってたよな…。)
ボトルが半分ほど空いた時、蛍のスマホが鳴った。着信画面に「碧ねえちゃん」と出ている。(うわ、ゲロゲロ!嫌なときにかかってきたな…。)寝ている凪を起こさないように着信音を下げて「しかと」を決め込むことにした。しかし、何度も何度も繰り返しかかってくる電話に根負けして、ついに電話をとった。
スマホの向こうから、明らかに酔ったよく聞き覚えのある声が響いた。
「あんた、何「しかと」してんねん!電話鳴ったら早よでえや!」
いきなりぶっきらぼうに絡まれ、「むっ」としたが、酔った相手に言い返してもいいことは無いと判断した。
「しゃあないやん、お風呂入っててんから…。」
と適当に言い訳をした。すると予想外の反応が返ってきた。
「おっ、イケメン君と一緒に風呂でイチャイチャしてたってか!思いっきり当てつけてくれんな!」
あまりのことに、大声が出そうになるが、それを押さえたつもりだが、すっかり術中にはまってしまっていた。
「えっ、凪君のことなんで知ってんの、お姉ちゃん!」
(あっ、しまった。「凪君」って言ってしもた!あー、もう私のバカバカバカ!)反省したがもう遅かった
「へーえ、あのイケメン君、「ナギ君」っていうんや。どういう字書くんや?」
「そ、そんなん、お姉ちゃんに関係あれへんやろ!ふ、風呂入ってっていっても、わ、私一人で入っててんからな!」
「あーあ、慌てるとどもる癖は全然治ってへんな。はったりやはったり!今日、あんたがイケメンの男の子、助手席に乗せて走ってんのを見たから、カマかけ立ったんや。へーえ、今、お持ち帰りで部屋に居んねんな。なんやったら、今から遊びに行ったろか?」
(ゲロゲロ、こいつも性格全然変わってへん!絶対に来させたらあかん!ここは、強引にでも断らなあかんわ!)蛍は覚悟を決めて言った。
「お姉ちゃん、いい加減にして!私、明日は始発で東京出張やから来たって相手できへんで!もう、スマホも電源落として、インターホンも電池抜いて寝るから来てもあかんで!じゃあね、バイバイ!」
一方的に吐き捨て、スマホの電源を落とした。(あー、世の中で一番弱みを見せたらあかん奴に見られてしもたとは…。
スマホを機内モードにして、「既読」がつかないようにラインチェックをすると、「ごるあ!電話出ろ!」、「今から行くぞ」、「お前だけ幸せになれると思うなよ!」、「あんたのもんはわたしのもん。」、「私が奪ったるから覚悟しときや!」と次々にえげつないメッセージが入ってくる。(あーっ、もうこんな奴知らん!もう、「しかと」決め込んで寝るしかないな。電源落として、さようならや!)
上がった心拍数が収まることは無く、小刻みな震えが蛍を襲った。カウチで寝ている凪の寝顔を覗き込んだ。幸せそうな顔をして寝息を立てる凪に蛍は囁いた。
「凪君…、凪君のことは絶対に私が守ったるからな…。」
頬に軽い口づけをすると、蛍は自分の寝室へ入っていった。
10
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
麗しき未亡人
石田空
現代文学
地方都市の市議の秘書の仕事は慌ただしい。市議の秘書を務めている康隆は、市民の冠婚葬祭をチェックしてはいつも市議代行として出かけている。
そんな中、葬式に参加していて光恵と毎回出会うことに気付く……。
他サイトにも掲載しております。
JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――
のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」
高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。
そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。
でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。
昼間は生徒会長、夜は…ご主人様?
しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。
「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」
手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。
なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。
怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。
だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって――
「…ほんとは、ずっと前から、私…」
ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。
恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。
ちょっと大人な体験談はこちらです
神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない
ちょっと大人な体験談です。
日常に突然訪れる刺激的な体験。
少し非日常を覗いてみませんか?
あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ?
※本作品ではGemini PRO、Pixai.artで作成した生成AI画像ならびに
Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。
※不定期更新です。
※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる