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第30話「PTSD」
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第30話「PTSD」
凪が蛍の胸を丁寧にボディーソープの泡を付けた両手で触っているが、相変わらず凪の下半身に変わりはない。蛍は(ちょっと恥ずかしいけど、ここは荒療治や!)と立ち上がった。膝立ちしている凪の顔の前に蛍の茂みの高さがあった。
「(うー、超恥ずかしい…、けど、凪君のためや…)凪君、今日はここも洗ってくれる?その泡のついた手で、私の割れ目を丁寧に洗ってほしいねんけど…。」
バスルームに入って初めて凪と目が合った。(きゃー、私真っ赤になってるんバレバレや…、それとも「痴女」って思われてしもたかな…?)
凪も真っ赤になって、
「螢さん、そんなに気を使わないでください。大事なところは、ご自身で洗われた方が良いですよ。螢さん、恥ずかしいの嫌だって言ってたじゃないですか。今日の今日で、螢さんを抱くことはできませんから…。お気遣い。ありがとうございます。」
と逆に気を使われてしまった。
「……、じゃあ、お風呂入ろっか…。」
湯船に入っても会話は続かなかった。
頑張って螢が話しかけるのだが、「はい」と「いいえ」の凪の返事で会話が止まってしまう。(あー、今日の私もおかしくなってきてしもた。なんで、こんな単調な質問ばっかりしてしまうねやろか。もう、ばかばかばか!)
風呂を上がると、バスローブを凪に渡し、凪の服を乾燥機にかけた。
「後、30分程回したら、あとアイロンかけるから、1時間もしたら乾くしな。凪君、軽く飲むか?帰りのタクシー代は私出すから心配せんでええで!」
と言った瞬間に(しもた!ここは、「よかったら泊っていくか?」やったわな…。あー、何かぎくしゃくしてしまうなぁ…。)と思ったが、凪の反応は蛍の予想の下を行った。
「螢さんは飲んでください。僕は、お水いただきますから…。」
カウチにふたりで座って、1時間で見終わるコメディードラマを見た。ふたりで笑うがどうもそこに魂はこもっていない。30分で乾燥機のブザーが鳴ると
「あっ、乾燥機止まった。じゃあ、ズボンとシャツとトランクスのアイロンがけしてくるから、凪君はこのままテレビ見ててな。」
と蛍は席を立った。(あー、何か逃げてるみたいやな。うーん、どうしたらええんやろか?)と思ったところ、凪のスマホが鳴った。
「もしもし、(・・・・・・)はい。(・・・・・・)わかりました。どうもありがとうございました。よろしくお願いします。」
電話を切ると、
「螢さん、お姉さん、任意聴取に入ったみたいです。男の人二人は、すぐに認めたみたいなんでほぼ起訴で間違いないだろうて警察からの連絡でした。」
と言うのに対し
「あぁ、そう。よかった。もう邪魔されることあれへんな。」
と答えるのが精いっぱいだった。
アイロンがけを終わり、凪の衣服を持ってリビングに戻ると、スマホを片手に凪が泣いていた。遠目に以前凪がここでオナニーしていた時に開いていた、蛍が高校時代の制服を着た写真が見える。
「凪君、どうしたん?また、泣いてるん?」
と尋ねると、凪が
「螢さんの写真見て、前のエッチを思い出しても、さっきのお風呂での螢さんの裸を思い出しても勃たないんです…。今までなら、螢さんの写真見て、ちょっと想像したらいくらでも勃ったんですけど…。」
と涙を流している。
「……凪君、焦らんでええよ。私は、凪君と一緒におれるだけでええんやで。それに、今日はいっぱい出さされてるしな…」
と言って(しまった、また余計なこと言ってしもた!「出さされてる」って一番言うたらあかん奴やん!あー、もう私のバカ!)と言葉に詰まってしまった。
気まずくなり、凪の服を手渡すと、凪はすごすごと着替え
「螢さん、今日はいろいろとご面倒をおかけしました。今日は、帰ります。」
と「ぺこん」とお辞儀をした。
「凪君、4日後は会えるよね?」
不安から蛍の口から出たのはそれだけだった。
「はい、また連絡します。じゃあ、お寿司とお風呂と洗濯ありがとうございました。」
と言い、蛍からタクシー代の5千円を受け取ると玄関を出て行った。
「はーぁ、碧お姉ちゃん、えらいもん残してくれたよなぁ…。もう死刑にでもなってしまえ!」
とため息をつきながら、パソコンを立ち上げた。無意識のうちに「ED(勃起不全)」について検索していた。「心理的要因によるED」、「PTSD型ED」という言葉に手が止まった。
「PTSD…、うーん、副島さんが言ってた心の障害が優しすぎる凪君に出てしまってるってことなんかなぁ…。」
凪が蛍の胸を丁寧にボディーソープの泡を付けた両手で触っているが、相変わらず凪の下半身に変わりはない。蛍は(ちょっと恥ずかしいけど、ここは荒療治や!)と立ち上がった。膝立ちしている凪の顔の前に蛍の茂みの高さがあった。
「(うー、超恥ずかしい…、けど、凪君のためや…)凪君、今日はここも洗ってくれる?その泡のついた手で、私の割れ目を丁寧に洗ってほしいねんけど…。」
バスルームに入って初めて凪と目が合った。(きゃー、私真っ赤になってるんバレバレや…、それとも「痴女」って思われてしもたかな…?)
凪も真っ赤になって、
「螢さん、そんなに気を使わないでください。大事なところは、ご自身で洗われた方が良いですよ。螢さん、恥ずかしいの嫌だって言ってたじゃないですか。今日の今日で、螢さんを抱くことはできませんから…。お気遣い。ありがとうございます。」
と逆に気を使われてしまった。
「……、じゃあ、お風呂入ろっか…。」
湯船に入っても会話は続かなかった。
頑張って螢が話しかけるのだが、「はい」と「いいえ」の凪の返事で会話が止まってしまう。(あー、今日の私もおかしくなってきてしもた。なんで、こんな単調な質問ばっかりしてしまうねやろか。もう、ばかばかばか!)
風呂を上がると、バスローブを凪に渡し、凪の服を乾燥機にかけた。
「後、30分程回したら、あとアイロンかけるから、1時間もしたら乾くしな。凪君、軽く飲むか?帰りのタクシー代は私出すから心配せんでええで!」
と言った瞬間に(しもた!ここは、「よかったら泊っていくか?」やったわな…。あー、何かぎくしゃくしてしまうなぁ…。)と思ったが、凪の反応は蛍の予想の下を行った。
「螢さんは飲んでください。僕は、お水いただきますから…。」
カウチにふたりで座って、1時間で見終わるコメディードラマを見た。ふたりで笑うがどうもそこに魂はこもっていない。30分で乾燥機のブザーが鳴ると
「あっ、乾燥機止まった。じゃあ、ズボンとシャツとトランクスのアイロンがけしてくるから、凪君はこのままテレビ見ててな。」
と蛍は席を立った。(あー、何か逃げてるみたいやな。うーん、どうしたらええんやろか?)と思ったところ、凪のスマホが鳴った。
「もしもし、(・・・・・・)はい。(・・・・・・)わかりました。どうもありがとうございました。よろしくお願いします。」
電話を切ると、
「螢さん、お姉さん、任意聴取に入ったみたいです。男の人二人は、すぐに認めたみたいなんでほぼ起訴で間違いないだろうて警察からの連絡でした。」
と言うのに対し
「あぁ、そう。よかった。もう邪魔されることあれへんな。」
と答えるのが精いっぱいだった。
アイロンがけを終わり、凪の衣服を持ってリビングに戻ると、スマホを片手に凪が泣いていた。遠目に以前凪がここでオナニーしていた時に開いていた、蛍が高校時代の制服を着た写真が見える。
「凪君、どうしたん?また、泣いてるん?」
と尋ねると、凪が
「螢さんの写真見て、前のエッチを思い出しても、さっきのお風呂での螢さんの裸を思い出しても勃たないんです…。今までなら、螢さんの写真見て、ちょっと想像したらいくらでも勃ったんですけど…。」
と涙を流している。
「……凪君、焦らんでええよ。私は、凪君と一緒におれるだけでええんやで。それに、今日はいっぱい出さされてるしな…」
と言って(しまった、また余計なこと言ってしもた!「出さされてる」って一番言うたらあかん奴やん!あー、もう私のバカ!)と言葉に詰まってしまった。
気まずくなり、凪の服を手渡すと、凪はすごすごと着替え
「螢さん、今日はいろいろとご面倒をおかけしました。今日は、帰ります。」
と「ぺこん」とお辞儀をした。
「凪君、4日後は会えるよね?」
不安から蛍の口から出たのはそれだけだった。
「はい、また連絡します。じゃあ、お寿司とお風呂と洗濯ありがとうございました。」
と言い、蛍からタクシー代の5千円を受け取ると玄関を出て行った。
「はーぁ、碧お姉ちゃん、えらいもん残してくれたよなぁ…。もう死刑にでもなってしまえ!」
とため息をつきながら、パソコンを立ち上げた。無意識のうちに「ED(勃起不全)」について検索していた。「心理的要因によるED」、「PTSD型ED」という言葉に手が止まった。
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