「完結しました!」【R18】『イケメン男子高校生を飼っています。~アラサー女の欲望コンプリート日誌2024~』【こども食堂応援企画参加作品】

ぽよぽよ

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第49話「和解条件」

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第49話「和解条件」

 碧の弁護士から語られたのは、蛍と凪からすると「青天の霹靂」だった。実質的に弁護士に依頼したのは碧の夫で、「碧が凪に行ったことに関して、最大限の慰謝料の支払いを準備していることと、今後、碧が一切の接触を禁ずることを約束するので刑事告発を取り下げて欲しいので、蛍に仲介して欲しい。」と言う内容だった。碧の携帯からの着信も弁護士がかけてきたものとわかった。

 (えっ、「今後、一切の接触を禁ずること」って言ったよな!もう、碧姉ちゃんの「仕返し」に怯えんでええってこと?)と瞬時に思い、質問を2度繰り返した。
 弁護士は、感情の無い落ち着いた口調で
 「はい、二度と碧さんが河貝子様や佐久間様にご迷惑をおかけすることをお約束します。碧さんも今の生活を捨ててまで、おふたりに接触を試みるようなことは無いと思います。ですので、民事解決を持って、すべてを白紙に戻していただけるよう、佐久間様から河貝子様にお口添えしていただけないでしょうか?
 慰謝料につきましては、今後、この事件に関して一切口外しないとお約束いただけるのであれば、1000万円ご用意させていただきます。もちろん、交渉が無事に済みましたら、佐久間様にもそれ相応のお礼を考えております。いかがでしょうか?」
と返答した。

 (1000万あったら、凪君の大学費用にもなるし、妹さんの学費や生活費の足しにもなるわな。碧姉ちゃんが今後一切絡むことがないんやったら悪い話やない…。PTSDの問題も解決した…。ただ、決めるのは凪君やから…。)
「話の主旨はわかりました。凪君と話をさせてもらいます。少し時間をください。」
と電話を切ると、凪がユニットバスの扉をノックした。
「螢さん、お電話中ですか?それともお風呂ですか?フロントから「配膳によらせてもらっていいですか?」って連絡来てますけど…。」
「あぁ、大丈夫やって返事して!もうちょっとかかるから、お願いするわな。」
と答えると、ユニットバスの淵に腰掛け考え込んだ。(…、「私の心の重し」か…。やっぱり正直に告白するしかあれへにょな…。でも、それで凪君は私の元に残ってくれるんやろか…。)蛍の胸は痛み、息苦しさを感じた。

 その後、凪と豪勢な夕食を楽しんだ。蛍は、これから告白しないといけないことを考えると、箸は進まず、ワインも2杯で止まっていた。
「螢さん、今日は、あまりワイン召し上がらないんですね。何か、お体に不調でもあるんですか?」
と凪が気遣ったが、首を横に振り、「ううん、大丈夫。」と空元気を出したが、心は晴れなかった。

 夕食後も貸切風呂でも、いつ告白しようかと思っていると、「洗いっこ」しても、湯船の中でイチャイチャしていても、意識はどこか他にあって「H」に専念できなかったが、完全復活した凪は「ビンビン」だったので、湯船と洗い場の畳の上で2発、蛍の口で発射させてあげた。
 凪は、何かを感じたのか、「螢さん、無理しないでいいですよ。後で、お部屋でゆっくり楽しみましょう。」と再度、凪に気を遣わせてしまった。(ごめんね、凪君…。うん、決めた。部屋に戻ったら、すべてを話してしまおう。それで、嫌われたなら仕方がない。全ての「非」は私にあるんやからな…。)と思ったら、自然に涙が溢れた。凪は何も言わず、涙の筋道に沿って、唇をあてがうと
「螢さん、なぜ泣くんですか…?」
と言ったきり、何も話さず、ぎゅっと蛍を抱きしめた。

 部屋に戻ると、張り裂けそうな胸を押さえて、布団ではなくテーブルのある部屋で凪と向かい合って座った。
「何ですか、かしこまって?なんか、今日の夕方から螢さんおかしいですよ?何かあったんですか?」
と凪が切り出した。純粋に心配して声をかけてくれている凪の顔を見て蛍は覚悟を決めた。
「私、凪君に謝らなあかんことがあるねん…。」

 部屋に重苦しい空気が漂う中、蛍の告白が始まった。
「私、凪君に嘘言ってることがあんねん。それと、私の仕事の事やねん。嫌な女や、汚れた女やって思われるのを覚悟で凪君には全部話しておくわな…。私のこと嫌いになったらなったでしゃあないと思ってる…。けど、これからも一緒に居るんやったら、それらを隠しながら過ごすのは…。
 凪君と知り合ったんが先週の水曜日やから今日で11日目やね。凄い、濃いぃ11日間やったね。私の30年弱の人生の中で、一番刺激的で、一番キュンキュンきて、一番悩んだ11日間やったわ…。
 まず、謝らなあかん「嘘」っていうのは、凪君を縛ってる「ベンツの修理代」やねんけど、「280万」やないねん。実際には「20万」しかかかってへんねん…。凪君を縛るために「嘘」ついててん…。ひどい女やろ…。嫌われても当然やわな、高校生をありもせえへん債務で縛り付けるなんてな…。」
 凪は何も言わずに黙って聞いている。
 
 蛍は、凪の顔をちらっと見て、言葉に詰まったが、なんとか声を絞り出した。
「…、あと、わ、私の仕事やねんけど、会社勤めってことになってるけど、実際には「愛人」みたいなもんやねん。私の会社の社長…、インポテンツやからセックスはないねんけど、出張の時は一緒に行って、ホテルに泊まってお風呂で背中流したり…。それが、仕事やねん…。汚れた、いやらしい女やろ…。そんなお金で凪君とホテル入ったり、ご飯食べたりしてたんや…。軽蔑したやろ…。」

 凪は、「愛人」と聞いた時、一瞬、顔がこわばったが怒るでもなく、泣くでもなく黙っている。蛍は、凪が何も言わないので、話をつづけた。
「今日の夕方、碧姉ちゃんの弁護士と話をしてん。凪君と碧姉ちゃんの和解を取り持って欲しいってな…。刑事告訴の取り下げ前提で、慰謝料1000万で和解したいって…。私の実の姉が無茶苦茶していながら、金で許してくれって私が凪君に言わなあかんっていうのも無茶苦茶やわな。碧姉ちゃんは今後、凪君には一切かかわらへんっていう約束はしてくれるみたい…。すぐにでも言うべきやったんやろうけど、ごめん…。私が隠してたのは、その3つ。嫌な女やろ。ずっと、こんな私に「好きや」って言ってくれてる凪君を騙し続けてたんよ…。ほんまにごめん…。くすん…。」

 蛍の頬を涙が伝った。(あぁ、全部言ってしもた。終わった…。さよなら…、凪君…。大好きやったよ…。)と思うと顔を上げていられなくなり、テーブルに突っ伏して泣いた。
 凪から出た言葉は、予想外のものだった。
「わかりました。でもそれが何だって言うんですか?何か問題でも?」

 

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