僕はこれに夢想転移という名をつけた。

七瀬黒芭

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第一章 異変

八話 瑠々の恐怖

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 私は物静かなほうだ。だから誰にも声をかけず、かけられずに今まで学校生活を送ってきた。きっとこれからも、今まで通り誰とも……とか、思っていた。

 ある日の放課後、まっすぐ家に帰らず寄り道をした。普段は通らない道。川の隣にある道。

 その道の隣の川。そこは夕方になるとオレンジ色になってとても綺麗な姿を見せる。
 その光景が好きで、ごく稀に見に来ることがあった。そんなささいな光景のおかげで、心が癒されていた。

 ────数日後の朝。
 その日は寝坊したせいで少しだけ学校に遅刻した。学校はいつもと変わらずに活気に溢れていた。
 
 しばらくたって、昼休みになったから昼食をとろうと思ったが、あいにく遅刻したせいでお弁当を持ってくるのを忘れた。だから仕方なく校売で昼食を買い、屋上で食べることにした。
 案の定、屋上には誰もいなかったからゆっくりすることができた。
 だが校庭が普段よりさらに騒がしい。誰かが喧嘩でもしているのだろうか。
 まぁ、何であろうとせっかく誰もいないのだからゆっくりしていこう────

  ────────

 ────時間が経ち、気がつくと寝ていたようだ。先程までの騒々しさはなくなり、校庭は静寂に包まれていた。
 少しばかり肌寒いため教室に戻ろうと廊下に出る。だが校内も校庭と同様にいつもみたいな活気はまったくなかった。
「……戻ろう…」
 近くの階段を降り、廊下の角を曲がるとそこには────

────真っ赤なインク……じゃない。あれは……血?

 大量の赤い液体と共に異様な臭いまで漂ってきた。
 途端に吐き気がするが必死に堪える。
「どういう……こと…?」
 状況が掴めない。一体昼休みの間に何があったというのだ。
 ────いや、問題はそこではない。何故こんなにも大量の血があるのだろうか。

 明らかに普通ではない光景に戸惑うはずなのに、誰かに助けを求めるのが普通なはずなのに、吐き気が少しするだけで精神は安定していた。
 途端に自分が怖くなってくる。こんな状況に置かれてるのに何故普通でいられるのだろうか。どうして───

 ────どうして私は笑っているんだろうか。

 自分自身が恐怖そのものでしかなかった。
 自分自身わけがわからなかった。

 特に血に対して怖いとは思わない。これが誰の血であろうと、その先にどんな絶望が待っていようと、どうでもよかった。

 今はただ、この世界の何かが変わってしまったことが嬉しかった。
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