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ウェズリーの街編

2.鉱山洞窟の街ウェズリー到着(2)

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 そういった報告をヤス君から受けながら、俺たちはカナン大平原を東に進み、二日を経てウェズリー山へ到達。

 赤味がかった岩肌を晒すその山を和気あいあいと談笑しながら登っていると、三メートルはあろうかという翼竜と遭遇。

 岩場から顔を覗かせ、俺たちに気づくと翼を前足のようにして身を乗り出してくる。巨大な蜥蜴トカゲの前足が翼になっている印象。

「でかっ! プテラノドン⁉」

「全然違う! あれはワイバーンだろ!」

「サクヤ正解!」

 臨戦態勢をとっている間に、矢が飛んでワイバーンの目にすとんと突き刺さる。

 ギャアア――。

 ワイバーンが叫び、地面にひっくり返ってのたうち回る。

「ヤス君、早いな⁉」

「一匹じゃねーっすからね! 三匹小さいのが飛んできます!」

「ユーゴ、サクヤ、ワイバーンは任せるよ!」

 OK! といつもの返事をしてワイバーンに向かう。かなり激しく暴れているので例の如く【過冷却水球】でおとなしくしてもらう。近くに幾つか置いたら勝手に凍りついていった。

「大きいばっかりでデモノイドよりも楽だね」

「一気に鈍ったな。変温動物っぽいし寒さに弱いのかもな」

 サクちゃんが「任せた」と踵を返す。ヤス君とフィルの援護に向かうようだ。判断が早くて助かる。本当、やりやすい。

 俺は【過冷却水球】でワイバーンを氷漬けにし、【異空収納】に収める。背後ではキィキィと甲高い鳴き声が上がっている。振り返ると鳴き声が止んで血飛沫が上がった。
 
「なんだよ。俺の出番はなしか」

 サクちゃんが残念そうに言う。ヤス君の【氷柱舞ツララマイ】とフィルの【風刃フウジン】を食らった鳥女がドサドサと地面に落下する。

 三匹いたが、首が胴から離れているのが一匹。残り二匹は【氷柱舞】を受けて体が穴だらけになっていた。

「うっ、臭っ⁉ やべぇっすこれ⁉ ちょ、フィル君嗅いでみて! すごいよこれ! 鼻腐るよ!」

「やだよ! ここまでにおってるからいいよ!」

 なんか揉めているが、あの鳥女は臭いらしい。ヤス君に手招きされたが、そんな声を聞いた以上は近寄りたくない。

 行かないという意思表示を手振りで伝えて待つ。サクちゃんも俺の側に戻ってきた。誰が行くかと言いたげな顔で。

「めっちゃ臭かったっすよ!」

 【異空収納】に死骸を収め、こちらに合流したなりにヤス君が言った。どんなにおいだったか訊くと、糞便が腐ったような臭気だったと例えられた。

「ヤス君、そんなもんを嗅がせようとしないでよ」

「何言ってんすか! 共有してこそのパーティーでしょ⁉」

「良いことならな。それにしても、ハーピーって臭いんだな。ショックだ。見た目はそれなりの美人って感じなのにな」

「へぇ、ハーピーだってよく分かったね。勉強したんだ」

「いや、まぁ、うん」

 歯切れの悪い返事をするサクちゃん。なんか恥ずかしいことでもあるのだろうと思ったのでそっとしておいた。多分、実はファンタジー好きとかそういう落ちだろう。
 
  
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