【完結】エルモアの使者~突然死したアラフォー女子が異世界転生したらハーフエルフの王女になってました~

月城 亜希人

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エルモアの使者編

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 共感……なのかな?

「なんか、少し違うかも。共感してるって感じではないと思うんだけど……」

「そう? ノインは、選ばなかった方に共感しちゃってるように思えるけど。スキルを見て、この魔物はいらないって思ってる自分が嫌なんじゃないの?」

 私はドキリとした。思いもよらなかった。完全に図星だ。

「僕は昔、使用人になる奴隷を選ばされたことがあったんだけどね、ノインと同じで選べなかったんだ。選ばれなかった奴隷のことを考えると、どうしてもね。なんていうか、自分だったら、いらないって言われたら辛いなって思っちゃってさ」

「いらない……」

 私は、前世でよくそういった意味合いの言葉をぶつけられてきた。
 なにくそって跳ねのけてきたけど『あれはない』とか『呼ばなくていい』とか言われてるのを聞くと、やっぱり傷ついた。

 容姿以外でもそうだった。陸上競技で選手に選ばれたことも一度もなかった。
 現世でも、三歳まではルリアナのせいで、いらない子扱いだった。

「そっか。私、自分が選ばれなかった方だから、切り捨てる側に回ってるのが納得できなかったみたい。無意識に、根に持っちゃってたのね……」

「え? 何? 選ばれなかったって? ノインが?」

「アハハ、ごめん、気にしないで。独り言」

 私は慌てた。思わず口に出しちゃってたわ。
 急いで魔物図鑑をめくって、誤魔化す。そこで手が止まる。

「あ……決まった、かも」

 私が手を止めたのは、最初に『いらない』と除外した魔物の頁。
 この世界で最も弱く、他の魔物の餌になるしかない魔物。
 素材に用途がなく、それでいて繁殖力だけはあるから、大発生すると餌を求めた他の魔物を集める厄介者。人からは凄く嫌われていて、常に駆除対象になっている。

 ルシウスが、私の開いた頁を見て渋い顔をする。

「ノイン、いくらなんでも、その魔物は駄目だよ。戦力の拡充にはならない」

「ううん、いいの。ルシウスの顔を見たら、心が決まっちゃった」

「何それ? どういうこと?」

「だって、これまで私のすることに反対したことなかったでしょ?」

 私は魔物図鑑を閉じ、フォークを手に取った。
 そうと決まれば、あとは見つけて交渉するだけ。

「ノインって、天邪鬼なんだね。しばらくアデル先生と戦えないよ」

「それは大丈夫。ルシウスが一緒に戦ってくれればいいだけだもの」

 ルシウスが口をぽかんと開けるのを見て、私は笑う。
 次の仲間は、通称『役立たず』のウインドゼリーフィッシュ。
 腹が減ってはなんとやら。あんまりお腹は減ってないけど、私は目の前にある早めの昼食をもりもり食べた。薄味だけど、素朴な味つけで美味しかった。
 
 
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