転生令嬢は庶民の味に飢えている

柚木原みやこ(みやこ)

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予想通りイィ!

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「お客様……」
『主、この気配は……』
『くりすてあ……』
黒銀くろがね真白ましろが警戒している。ということは……
「わかりました。ミリア、急いで支度を手伝ってちょうだい。黒銀くろがね達は部屋で待っててね」
「かしこまりました」
突然のアポなし来客の知らせを受けた私は、ミリアに急遽身だしなみを整えてもらうと応接間のある階下へ向かった。
どうやらお父様が対応をしているみたいで、お待たせしないよう少しでも早く来るようにと厳命されたようだ。
慌ただしく階下へ降りると、そこには家令のギルバートの姿が。
「クリステア様、どうぞこちらへ。ミリア、後は私がご案内するので戻りなさい」「は、はい。それでは……」
私はミリアに見送られながら、先導するギルバートの後を追った。
「お客様は、英雄の間にお通しております」
「あの、お客様ってやっぱり……あの方?」
ねえこれ、なんだかとっても既視感デジャヴな展開じゃありませんこと?
前にもこんなことありましたよね……?
「御察しの通りでございます」
ギルバートはコクリと頷いた。
ええー? またあの方の来訪って、一体どういうことぉ?
「クリステア様がいらっしゃいました」
英雄の間目的地にたどり着くと、ギルバートは中にいるであろうお父様に私の到着を告げた。
「うむ。入りなさい」
お父様の許可を得たギルバートは、扉を開け、私に中へ入るよう促した。
「失礼いたします……」
「よーお、元気か?」
しずしずと入室した私を見るなり、ソファにもたれかかるようにしてひらひらと手を振る一人の人物。
「レオン様……お久しぶりにございます」
やっぱりかー! やっぱりレオン様だったー!
んもー、今日はもうこれ以上の面倒は勘弁して欲しいのにっ!
「あー、そういうのはいい。堅っ苦しい挨拶とか面倒だろ?」
レオン様が苦笑しながら私の挨拶を止めさせるのを見て、お父様が不機嫌そうに窘める。
「レオン様……そうは仰いますが」
「身分だのなんだのは、人間達の中だけでやってくれ。俺には関係ない。俺が契約してるのがたまたま王族なだけで、俺が偉いわけじゃないしな」
「そんなことは……」
「いーんだって。俺はお気に入りの奴に距離を置かれるのは嫌いなんだ。お前にも、嬢ちゃんにもな」
「……それがお望みであれば」
「だからそう言ってるだろ?」
「わかった。さあ、クリステア。そこに突っ立っていないでこちらへ来なさい」
えー⁉︎ お父様、切り替え早いな⁉︎
「そうそう。昔どおりでな。まったく、人間ってのは年をとると頭が固くなっていかんな」
「分別がついたと言ってもらいたい」
「俺からしてみたら、どいつもひよっこでしかねぇよ」
ハハハ……と笑うお父様達をジト目で見ていると、それに気づいたお父様がゴホン、と咳払いをひとつして居住まいを正した。
「……それで、本日はどういう用件でこちらへ?」
そうそう、それが一番知りたかったのよ。
「あー……お前らに用事、というかフェンリルの……ええと、クロ……なんだっけ?」
「我の名は黒銀くろがねだと言ったであろうが」
レオン様が思い出す前に人の姿になった黒銀くろがね真白ましろと共に転移してきた。
「あー、そう、それそれ。黒銀くろがねだ。お前に聞きたいことがあってな」
「……我に?」
え、黒銀くろがねに? 一体何を……
「お前さあ、西のドーリス領で暴れたろ。オークの集落がごっそり消滅してたじゃねぇか」
えっ? レオン様どうしてそれを⁉︎
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