転生令嬢は庶民の味に飢えている

柚木原みやこ(みやこ)

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バレてーら……

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レオン様にオークを殲滅したことがバレているだなんて……いったいどうして⁉︎
動揺を隠せない私を余所に、黒銀くろがねは憮然として答える。
「ドーリスだか何だか知らぬが、ここより西の地でオークどもを蹴散らしたのは間違いないな」
ちょっ、黒銀くろがねったら、あっさり答えてどうするのよおぉ⁉︎
「あー……やっぱりか。最近ドーリス領を通ってきた商隊や冒険者どもからオークが増えてきたからって聞いてたし、そろそろどうにかしなきゃなって思ってたんだよ。それなのに、今朝方オークの気配がすっかり消えちまっただろぉ? 気になって転移していってみりゃあ、殲滅された後ときた」
うあー……そりゃそうだよね。
集落ができるくらいだから目撃情報もあるだろうし、調査しようって話にもなるよ……
前回もその前に殲滅しちゃったんだっけ。
「そこにフェンリルの……」
黒銀くろがねだと言うておろうが」
「……黒銀くろがねの魔力の気配が残ってたんでな。一応確認に来たってわけだ」
黒銀くろがねさんや、今呼び名を気にしてる場合じゃないからね⁉︎ 空気読もう?
「先程言ったとおり、我がオークを殲滅したのは間違いない。わかったなら疾く去るがよい」
黒銀くろがねは、シッシッと言わんばかりにレオン様を帰そうとする。
ちょっとおおぉ? 黒銀くろがねさん⁉︎ そういう態度は良くないぞ!
「ったく、取りつく島もねぇなぁ。お前がやったってのはハナからわかってんだ」
レオン様は苦笑すると、スッと笑みを消して黒銀くろがねに鋭い目線を向けた。
「なんで、わざわざ他領まで行った? お前ほど強大な力の持ち主が大暴れしたら、悪目立ちするだろうが」
「……オークを確実に手に入れようと思ってな。いそうなところにアテがあったから行ってみれば、たまたま群れに当たったから殲滅せねばと思ったまでのこと」
「お前なぁ……オークの集落なんてぇのはそんな簡単に無くなりも逃げたりしやしねぇんだから、ちょこーっとだけ狩って帰りゃいいだろうが。要はやりすぎなんだよ」
レオン様は頭をガリガリと掻きながら、はぁ……とため息をついた。
うぅ、レオン様の言うことが正論すぎて……
「レオン様、申し訳ございません。私が黒銀くろがねにオークを獲ってくるように頼んだのです」
「ああ。そうだろう。コイツがここまで度が過ぎたことをやるとしたら、契約者のためとしか思えないからな」
「本当に申し訳ございません……」
「主! 我が勝手にしたことで主が此奴に謝罪する必要などない!」
「馬鹿野郎! 聖獣契約舐めんな。お前はただ主人たるお嬢を独占するための手段と思ってるのかもしれんが、人間がお前のような強大な力を持つ聖獣と契約するってのは重い責任を伴うんだよ! 主人を大事にしたいならちったあ考えろ!」
「ひっ!」
レオン様が黒銀くろがねに向けて怒鳴った時の迫力に恐怖を覚えた私は、思わず悲鳴をあげてしまった。
「! 主に手出しは許さんぞ!」
「くりすてあを、こわがらせるやつは、ゆるさない!」
威圧に怯える私を庇うように黒銀くろがね真白ましろが私の前に立った。
「レオン様、娘は威圧に慣れていないのだ、抑えてはくれまいか?」
お父様が二人を制するように立ち塞がりそう言うと、レオン様が決まり悪そうな表情になった。
その途端、締め付けるような恐怖感が消え去った。
……今のが、威圧……?
め、めめめめーっちゃ怖かった……!
ちびらなくて良かった!
乙女の尊厳は守られた……!
「……あー、すまん。お嬢を怖がらせるつもりはなかった」
「い、いえ。こちらが悪いのですから……」
「お嬢、聖獣と契約するってことの責任の重さやリスクってのは承知してるな?」
「は、はい……」
……多分。まだまだ至らない点はあると思うから、ちゃんと勉強しなきゃ。
私がしっかりしないと、皆に迷惑をかけるってことが今回のことで重々見に染みたよ……


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漫画「転生令嬢は庶民の味に飢えている」第3話は、10月10日(木)更新です!
是非読んでくださいませ~!
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