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これでいいのだ……?
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『ばっかお前、俺は国を司る聖獣だぞ? 何なら国王より偉いからな? こいつのおしめだって替えたことあんだからな?』
……いや、おしめは関係ないと思う。
レオン様、陛下の名誉のためにドヤ顔でお菓子を食べながら本人にとって黒歴史だろうおしめ話を暴露しないであげてほしい。
……ていうか……これ、念話だよね⁉︎
リアクションに困って思わず黙り込んでしまったからいいものの、私がもしおしめ話のことを口にしてたらどうすんのよー!
『レオン様、人の思考を読むのやめてください。そしていきなり念話なんて使ったらびっくりするのでやめてください!』
『お? すまんすまん。普通なら契約者以外とは念話なんて驚かれるからしねぇけど、お前さんなら問題ないと思ってつい』
つい、じゃありませんよ、もう!
でも庇ってくださったのは事実よね。
レオン様のご厚意を無駄にしちゃいけない。
私はぎゅっと手を握りしめた。
「……私はドリスタン王国の国民として、できることはしたいと思っております。けれど、私と契約しているからといって聖獣である彼らを利用したくないのです」
真剣な顔で私を見ていた陛下としっかり目を合わせて続ける。
「……これは、私のわがままだと理解しております。けれど、私が彼らと契約したのは、利用するためではありません。契約したからには、ともに寄り添い、私も彼らを護りたいと思っております」
「其方が彼らを護ると?」
「はい。私にできることは限られているのは重々承知しております。けれど、人の思惑から護れるものなら護りたいのです」
「ふ……」
陛下は面白そうに私を見つめる。
だ……大丈夫かな? これってやっぱり不敬罪になっちゃう?
「いや、なかなか肝の据わった令嬢だ。スチュワードとアンリエッタの娘なだけある。なあ、リリー?」
陛下がくっくっと笑い始めたので、私は面食らってしまった。
え、あの? き、肝の据わったって……
「だから言ったでしょう? クリステアちゃんはいい子だって」
ドヤ顔でリリー様が陛下に答えているけど、え、どういうこと?
『お前、アホだなぁ……黙って俺に護られてりゃよかったのに、あーあ。すっかり気に入られちまったな』
は? え? 気に入られたって、陛下に⁉︎
『気に入らんな……』
『うん、ふゆかい』
えっ⁉︎ 黒銀に真白⁉︎
レオン様の念話が聞こえてたの⁉︎
焦っている私を尻目に、黒銀と真白がずいっと前に出て仁王立ちになった。
「我が主は優しい心根の持ち主ゆえ、強者である我らをも護ろうと心を砕いてくれるのだ。その想いを利用するような輩は誰であろうと許さんので心せよ」
「くりすてあをなかせたり、いやなおもいをさせるやつはゆるさない」
ちょおおおぉい⁉︎ 黒銀に真白!
不敬! それ、不敬になるから!
『いや問題ないだろ。聖獣に不敬とか関係ねぇし』
ホッ、それならよかっ……いやよくない!
「あのっ、うちの黒銀と真白が……」
私が慌てて二人を止めようとすると、黒銀がそれを制した。
「ただし、主が大切にしている者や主を尊重する者に対しては敬意を表し、護ることはやぶさかではない。無論、主を護ることが第一だが」
「くりすてあをまもるついでなら、まもってやってもいい。だけど、くりすてあをいじめるやつには、ようしゃしない」
「黒銀、真白……」
毅然とした態度で陛下に告げた二人を見ていると、陛下がフッと笑った。
「ついで、か。契約者を護るのが聖獣の一番の務めなのだから、それは当然のことだな。そのついででも我らも護っていただけるのならばありがたい。よろしく頼む」
陛下が立ち上がってツカツカと私たちのところまで歩み寄り、手を差し出した。
黒銀がそれを見て手をあげて握手を返した。
続いて、真白とも握手をした。
え……もしかして、なんとか切り抜けられたの……? かな?
それから陛下は、パッとセイの方を向いた。
「君が契約した聖獣にも会わせてくれ」
ですよねー! そうくるよねー!
え、ここに白虎様と朱雀様呼んじゃうの?
聖獣様がこの部屋に勢揃いしちゃうの?
……なんだか、破茶滅茶な空間になりそうで怖いんですけど⁇
ハラハラしながら成り行きを見守っていると、セイはしばらく目を閉じていたと思うと、すうっと目を開けてから陛下に向かって深々と頭を下げた。
「……陛下の御前で緊張してしまい、うまく呼び寄せられないようです。私が未熟なために、大変申し訳ございません」
「……そうか。残念だが、また日を改めて会わせてほしい」
「はい」
……あれ? 陛下ってばそんなあっさり引き下がっちゃうの……?
そ、そうか。こんな手があったのかーっ!
うぐぅ、セイってば賢い! と、思ったけれど、後の祭りである。
だって、黒銀と真白が呼ぶ前に来ちゃったし……
それから陛下は公務が残っているからと、リリー様を伴って学園長室を退出なさった。
部屋から出る時、リリー様がくるっと振り返って私に手を振りながら「クリステアちゃん、またエリスフィード夫人とお茶会にいらっしゃいね。レイモンド、頑張りなさいね~。うふふ」とご機嫌でお帰りになった。
「くそ、母上め……」
レイ殿下が何か小さな声でつぶやいていたようだけど、私にはよく聞こえなかった。
「……ったく。お前らがそれでいいならいいけどよ。じゃ、またな」
レオン様はやれやれといった様子で立ち上がり、ひらひらと手を振り、ゆっくりとした足取りで陛下の後を追った。
「「もうくるな!」」
レオン様の背中に向けて黒銀と真白が叫んだけれど、レオン様はニヤリと笑っただけだった。
---------------------------
1月14日(木)はお待ちかね!コミカライズ版「転生令嬢は庶民の味に飢えている」13話の更新日です!
モフモフも〇〇〇〇も揃っております!
皆様、チェックをお忘れなく~!
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『お? すまんすまん。普通なら契約者以外とは念話なんて驚かれるからしねぇけど、お前さんなら問題ないと思ってつい』
つい、じゃありませんよ、もう!
でも庇ってくださったのは事実よね。
レオン様のご厚意を無駄にしちゃいけない。
私はぎゅっと手を握りしめた。
「……私はドリスタン王国の国民として、できることはしたいと思っております。けれど、私と契約しているからといって聖獣である彼らを利用したくないのです」
真剣な顔で私を見ていた陛下としっかり目を合わせて続ける。
「……これは、私のわがままだと理解しております。けれど、私が彼らと契約したのは、利用するためではありません。契約したからには、ともに寄り添い、私も彼らを護りたいと思っております」
「其方が彼らを護ると?」
「はい。私にできることは限られているのは重々承知しております。けれど、人の思惑から護れるものなら護りたいのです」
「ふ……」
陛下は面白そうに私を見つめる。
だ……大丈夫かな? これってやっぱり不敬罪になっちゃう?
「いや、なかなか肝の据わった令嬢だ。スチュワードとアンリエッタの娘なだけある。なあ、リリー?」
陛下がくっくっと笑い始めたので、私は面食らってしまった。
え、あの? き、肝の据わったって……
「だから言ったでしょう? クリステアちゃんはいい子だって」
ドヤ顔でリリー様が陛下に答えているけど、え、どういうこと?
『お前、アホだなぁ……黙って俺に護られてりゃよかったのに、あーあ。すっかり気に入られちまったな』
は? え? 気に入られたって、陛下に⁉︎
『気に入らんな……』
『うん、ふゆかい』
えっ⁉︎ 黒銀に真白⁉︎
レオン様の念話が聞こえてたの⁉︎
焦っている私を尻目に、黒銀と真白がずいっと前に出て仁王立ちになった。
「我が主は優しい心根の持ち主ゆえ、強者である我らをも護ろうと心を砕いてくれるのだ。その想いを利用するような輩は誰であろうと許さんので心せよ」
「くりすてあをなかせたり、いやなおもいをさせるやつはゆるさない」
ちょおおおぉい⁉︎ 黒銀に真白!
不敬! それ、不敬になるから!
『いや問題ないだろ。聖獣に不敬とか関係ねぇし』
ホッ、それならよかっ……いやよくない!
「あのっ、うちの黒銀と真白が……」
私が慌てて二人を止めようとすると、黒銀がそれを制した。
「ただし、主が大切にしている者や主を尊重する者に対しては敬意を表し、護ることはやぶさかではない。無論、主を護ることが第一だが」
「くりすてあをまもるついでなら、まもってやってもいい。だけど、くりすてあをいじめるやつには、ようしゃしない」
「黒銀、真白……」
毅然とした態度で陛下に告げた二人を見ていると、陛下がフッと笑った。
「ついで、か。契約者を護るのが聖獣の一番の務めなのだから、それは当然のことだな。そのついででも我らも護っていただけるのならばありがたい。よろしく頼む」
陛下が立ち上がってツカツカと私たちのところまで歩み寄り、手を差し出した。
黒銀がそれを見て手をあげて握手を返した。
続いて、真白とも握手をした。
え……もしかして、なんとか切り抜けられたの……? かな?
それから陛下は、パッとセイの方を向いた。
「君が契約した聖獣にも会わせてくれ」
ですよねー! そうくるよねー!
え、ここに白虎様と朱雀様呼んじゃうの?
聖獣様がこの部屋に勢揃いしちゃうの?
……なんだか、破茶滅茶な空間になりそうで怖いんですけど⁇
ハラハラしながら成り行きを見守っていると、セイはしばらく目を閉じていたと思うと、すうっと目を開けてから陛下に向かって深々と頭を下げた。
「……陛下の御前で緊張してしまい、うまく呼び寄せられないようです。私が未熟なために、大変申し訳ございません」
「……そうか。残念だが、また日を改めて会わせてほしい」
「はい」
……あれ? 陛下ってばそんなあっさり引き下がっちゃうの……?
そ、そうか。こんな手があったのかーっ!
うぐぅ、セイってば賢い! と、思ったけれど、後の祭りである。
だって、黒銀と真白が呼ぶ前に来ちゃったし……
それから陛下は公務が残っているからと、リリー様を伴って学園長室を退出なさった。
部屋から出る時、リリー様がくるっと振り返って私に手を振りながら「クリステアちゃん、またエリスフィード夫人とお茶会にいらっしゃいね。レイモンド、頑張りなさいね~。うふふ」とご機嫌でお帰りになった。
「くそ、母上め……」
レイ殿下が何か小さな声でつぶやいていたようだけど、私にはよく聞こえなかった。
「……ったく。お前らがそれでいいならいいけどよ。じゃ、またな」
レオン様はやれやれといった様子で立ち上がり、ひらひらと手を振り、ゆっくりとした足取りで陛下の後を追った。
「「もうくるな!」」
レオン様の背中に向けて黒銀と真白が叫んだけれど、レオン様はニヤリと笑っただけだった。
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