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個別授業⁉︎
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ステッキの威力を検証後、的を設置していた壁を元に戻した。
「あんなに硬い壁も崩せるのかよ……」
オーウェンさんは攻撃の痕跡どころか壁そのものが跡形もなくなった地面を確認するように歩きながら、呆れたように呟いた。
地面は掘り返されたばかりのような土の色をしているけれど、それ以外は他の部分と踏み心地は大して変わらない程度の硬さにしておいたから、数日も経てば目立たなくなると思う。
「私が作ったのですから、元にだって戻せますよ?」
海の追い込み漁の時だって、ちゃんと元に戻したからね!
「いやいやいや。あの強度の壁を普通の土くれに戻すのなんざ、壁を作る以上の魔力が必要だろうに」
……そうだっけ?
大きな魔法を使う時は、ドバッと適当に魔力を流してるからその差がいまいちわからないのだけど。
「……その表情から見るに、無自覚・無意識にやってるわね?」
「クリステア、其方……魔力の必要量を意識しながら魔法展開をしているのだろうな?」
うっ、ティリエさんとお父様の的確すぎる追求が!
「え、あの……大体こんな感じかな~? くらいは意識してますよ?」
多分。
「……魔力量が多すぎるのもある意味問題ね。枯渇する辛さがないから、調整する必要がないんだものね……」
いやいや、ティリエさん? 訓練も兼ねて火魔法を使って料理する時は火加減に気をつけなきゃいけなくて、かなーり繊細に魔力を使うんですよ?
だって、注ぎすぎると火力が増して黒焦げになるから。
とろ火や弱火にしたくても、うっかり出力を誤り高火力になって料理が台無しになってしまったり。
初めの頃は本当に大変だった。
そうそう、土魔法で土鍋を作った時は魔力をコントロールするのに苦労したっけ……
うんうん……と転生後に魔法を使い始めた頃のことを思い出していると、お父様が眉間に皺を寄せてため息を吐いた。
「……マーレン先生に個別で魔法の指導をしていただくよう依頼しておく」
「えっ!」
マーレン師からはなんとなく魔法を行使するさいの魔力量について教わった気がするけれど、マーレン師の講義がとにかく長いから右から左に聞き流していたのよね。
マーレン師も途中からは私が難易度の高い魔法がサクサク使えるようになるのを面白がっていたし……今更すぎませんか⁉︎
「あの、マーレンし……先生は、学園で再び教鞭に立たれるようになってお忙しいでしょうから、そんな中で私のためにお時間を割いていただくわけには……」
たまたま休み明けの修練場使用の監督をしていただくことになっているけれど、そう頻繁に個人授業なんてする暇はないはずだし。
「構わん。マーレン先生には其方のかんし……ごほん、監督役も兼ねて戻っていただいたのだからな」
「え⁉︎」
マーレン師は、お父様の依頼で学園に復帰したの?
……ていうか、今、監視って言いませんでした⁉︎
「その証拠に担当している授業はそれほどないはずだ。復帰前同様であれば、いくつかの科目を兼任しているはずだからな」
確かに、マーレン師は魔法だけではなく魔導具や魔法薬作りなどに関しても一流だ。
だからこそ魔力暴走の危険から領地で引きこもっていた私の家庭教師として最低限の人数で最高の教育を受けることができたのだから。
マーレン師も、マナー学のレティア先生など、魔力暴走を起こしかねない私を恐れずに家庭教師役を引き受け、指導してくださったことはとても感謝している。
だからこそ、ロニー様のようにマーレン師が学園に復帰されたことを喜んでいる人たちを見て、私のせいで他の才能ある人たちが優れた指導者からの学びを得る機会を奪っていたのが申し訳ないと思っていたのに……
「マーレン先生は我が領地での隠居生活をかなり気に入っていたようだが、クリステアをかんさ……監督するのを生きがいにするのも楽しかろうと引き受けてくださったのだ」
お父様、今、観察って言いかけましたよね⁉︎
でもなんとなく納得した。
マーレン師が修練場の監督役を立候補したのは、偶々時間が空いてたからとかじゃなかったんだ。
なんだか見張られてるみたいであまり気分よくはないけれど、私が無自覚にやらかして他の先生や監督役の先輩方にそれを知られないように気を配っていただいてたってことだよね。
例えばニール先生が監督役だったら、私と聖獣契約した二人との関連性なども併せて追求しようとするだろうから。
まあニール先生の場合は、私のことより主に黒銀や真白に関心があるわけだから、さほど心配する必要はなさそうだけれど。
でも他の先生や先輩方の場合は、下手に噂されて面倒なことになりかねないわね。
気をつけなきゃ。
差し当たり、休み明けはロニー様たちもいることだし私は大人しくしているほうがよさそう。
……でもその場合、ステッキを使って魔法の練習をするマリエルちゃんが悪目立ちしない? 大丈夫?
「……クリステア。其方、聞いているのか?」
「は? ……あ、は、はい!」
やばい、お父様とお話している最中だった。
「ふう……とにかく、マーレン先生には頼んでおくので、休み明けにマーレン先生に相談しなさい」
「うぅ……はい」
しかたない。甘やかさないでほしいと頼んだばかりなのだし、そこはきちんととしなきゃ。
「うへぇ、クリステア嬢はマーレン先生の愛弟子ってやつかぁ。こりゃ俺が魔導具作りを教える機会はねぇかな」
オーウェンさんが残念そうに言うけれど、マーレン師から魔導具作りを教わる予定はないし、オーウェンさんみたいな変態じみた魔導具は作れる気がしないのですが⁉︎
「呆れた。まだ諦めてなかったの?」
ティリエさんが肩をすくめながら笑った。
「だってよぉ、クリステア嬢の相談してくるモンはどれも挑戦しがいがあっからな。発想力のあるやつに技術があればどんなすげえモンができるか考えただけでわくわくするだろ?」
少年のようなキラキラした目で語るオーウェンさんは見てて微笑ましいけれど、私を巻き込むのはやめてください。
「うむ。我が娘は才能があるからな」
ちょっとお父様、こんなところで親バカ発動するのやめてください。
私が半目で見つめると、お父様は気を取り直すように咳払いをした。
「ゴホン……さて、今日のところはこれでお開きとしよう。昼食を用意させたので食べていきなさい」
「うふふ、喜んで! 実は期待してたのよねぇ」
「うむ。もちろん美味い酒は出るんじゃろうな?」
ティリエさんとガルバノおじさまはいつものようにお父様と接しているけれど、オーウェンさんは「こ、ここ公爵家の昼食会に⁉︎ テ、テーブルマナーとか覚えてっかな……?」といきなり挙動不審になった。
いや、ただの昼ごはんなのでそんなに気負うことないんですけど……
そんな今日のランチはサンドイッチとコンソメスープだった。
そのまま手づかみでどうぞ、と勧められてホッとした様子のオーウェンさんは、天然酵母で焼いた柔らかい食パンに挟まれたオークカツのカツサンドやふっくらと焼き上げただし巻き卵を挟んだたまごサンドに「この肉、美味っ! パン柔らかっ⁉︎ え、何これこのふわふわしたの、もしかしてたまごか⁉︎」と驚きながらも気持ちいいくらいたくさん食べていた。
うちの料理人たちは、本当に腕を上げたなぁ……
うん、腕を上げたから。すごいと思ってるから。
料理長、ドアの隙間からこっそり覗いてガッツポーズしないように!
---------------------------
エールポチッとありがとうございます!
励みになっております( ´ ▽ ` )
文庫版「転生令嬢は庶民の味に飢えている」四巻、書き下ろし番外編がおまけについて発売中です!よろしくお願いします!
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いやいや、ティリエさん? 訓練も兼ねて火魔法を使って料理する時は火加減に気をつけなきゃいけなくて、かなーり繊細に魔力を使うんですよ?
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