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12、家族団欒
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「アリシア! ここよ!」
カフェの扉を入ると元気な声に迎えられた。
声のした方を見ると、奥のテーブルにいるお母様が椅子から立ち上がり、満面の笑顔で私に手招きをしている。
隣に座っているお父様は少し困ったような笑顔だけど、いかにも微笑ましいといった表情だ。
久しぶりに会えた嬉しさに、思わず小走りで駆け寄る。
久しぶりの休暇を取った私は、このラバドゥーン公爵家の領地までやって来た両親とティータイムを過ごすことになっていた。
「久しぶりね、アリシア。元気だった?」
お母様はそう言って慈しむように私をギュッと抱きしめてくれる。
「はい。お母様も元気そうで何よりです」
「うふふ、私はいつでも元気よ」
「それにしても、急にどうしたんですか?」
いくらなんでも急に来るなんて、両親にしては珍しい行動のような気がする。
仕事熱心で、余程のことがない限り領地から離れることはあまりしないのに。
「それはもちろん、あれだけのことをして貰ったんだからお礼に来ないと」
お母様は力を込めて言い放った。
「へ? お礼?」
「ああ、本当に助かったよ。アリシア、ありがとう」
お父様も同じように感情のこもった声で言う。
「えっ? あの、お父様、ちょっと何の話か全くわからないです」
「ラバドゥーン公爵家の公子様から頂いた支援のことだよ」
「支援???」
「ああ、領地の民たちも大喜びさ!」
一体何の話なの?!
驚きつつよくよく聞いてみると、なんとミハイル様はお父様に連絡を取って、ルリジオンの領地に沢山の支援を送ってくれたとのことだった。
お陰で街のあちこちを整備したり専門家や人員の手配、領地民への配布物、ルリジオン家へのお心遣いまでもがしこたま届けられたという。
ミハイル様がそんなことを……?!?!
「公子様にお礼のご挨拶をと思ったんだが、それは丁重に断られてしまってな。その代わり休暇のアリシアに久しぶりに会うようにとおっしゃってくださったんだ」
あ……。もしかしてこの前、ふいにミハイル様の前でこぼした『両親に久しぶりに会いたい』って呟きを覚えてくださってたんだ。
恥ずかしい気持ちと、嬉しい気持ちが複雑に入り混じる。
そんな私の表情を見て何かを思ったのか、お母様が口を開いた。
「あんなに素敵なお方のお側にいられるならきっと幸せよねえ」
そう言いながらうっとりした表情をしている。
思わず先日ミハイル様から受けた大きな温かい手の感触と優しい瞳を思い出し、一瞬ドキッと胸が高鳴るが、すぐに現実に引き戻された。
ま、まさかお母様ったら、また変なことを考えているんじゃ……。
そうだわ、ここへ来てすっかり忘れていたけど、お母様はとてもちゃっかりした性格だった。
ふと以前あった出来事を思い出す。
珍しく子爵家の領地に訪れていたとある高位貴族の令息が、私に社交辞令を言ったことが発端だった。
お母様はここぞとばかりにその令息と私のご縁を繋げようとあれこれ画策し始めたのだ。
いくら私のためとはいえ、お父様もトーマスも呆れ返っていたっけ。
放っておくと暴走しかねない。
「え、ええ、もちろん、素敵な公子様にお仕えできて光栄ですわ。それよりも、ここはこの街1番のカフェなんですよ。美味しいスイーツを頂きましょうよ!」
「アリシアの言う通りさ。さあケーキでも食べよう」
すかさずフォローに入ってくれたお父様と一緒に、お母様の気を逸らすべくメニューを広げる。
ああ、なんだかこの感じ懐かしい。
天然な上に無鉄砲すぎるお母様に翻弄されながら、お父様と二人でどれだけフォローしてきたことか。
それでも、その明るさに家族や領民たちまでもが癒やされ元気をもらっている。
こんなに素敵な家族を持てたのは、過去3度の人生を含めて初めてだ。
そんなことを思い返し、改めて幸せな気持ちになる。
その大切な家族や領地に、ミハイル様はたくさんの優しい贈り物をしてくださるなんて……!
明日仕事に戻ったらお礼を言わなくちゃ。
そうして、ミハイル様に心から感謝しつつ、家族水入らずの時間を楽しんだのだった。
カフェの扉を入ると元気な声に迎えられた。
声のした方を見ると、奥のテーブルにいるお母様が椅子から立ち上がり、満面の笑顔で私に手招きをしている。
隣に座っているお父様は少し困ったような笑顔だけど、いかにも微笑ましいといった表情だ。
久しぶりに会えた嬉しさに、思わず小走りで駆け寄る。
久しぶりの休暇を取った私は、このラバドゥーン公爵家の領地までやって来た両親とティータイムを過ごすことになっていた。
「久しぶりね、アリシア。元気だった?」
お母様はそう言って慈しむように私をギュッと抱きしめてくれる。
「はい。お母様も元気そうで何よりです」
「うふふ、私はいつでも元気よ」
「それにしても、急にどうしたんですか?」
いくらなんでも急に来るなんて、両親にしては珍しい行動のような気がする。
仕事熱心で、余程のことがない限り領地から離れることはあまりしないのに。
「それはもちろん、あれだけのことをして貰ったんだからお礼に来ないと」
お母様は力を込めて言い放った。
「へ? お礼?」
「ああ、本当に助かったよ。アリシア、ありがとう」
お父様も同じように感情のこもった声で言う。
「えっ? あの、お父様、ちょっと何の話か全くわからないです」
「ラバドゥーン公爵家の公子様から頂いた支援のことだよ」
「支援???」
「ああ、領地の民たちも大喜びさ!」
一体何の話なの?!
驚きつつよくよく聞いてみると、なんとミハイル様はお父様に連絡を取って、ルリジオンの領地に沢山の支援を送ってくれたとのことだった。
お陰で街のあちこちを整備したり専門家や人員の手配、領地民への配布物、ルリジオン家へのお心遣いまでもがしこたま届けられたという。
ミハイル様がそんなことを……?!?!
「公子様にお礼のご挨拶をと思ったんだが、それは丁重に断られてしまってな。その代わり休暇のアリシアに久しぶりに会うようにとおっしゃってくださったんだ」
あ……。もしかしてこの前、ふいにミハイル様の前でこぼした『両親に久しぶりに会いたい』って呟きを覚えてくださってたんだ。
恥ずかしい気持ちと、嬉しい気持ちが複雑に入り混じる。
そんな私の表情を見て何かを思ったのか、お母様が口を開いた。
「あんなに素敵なお方のお側にいられるならきっと幸せよねえ」
そう言いながらうっとりした表情をしている。
思わず先日ミハイル様から受けた大きな温かい手の感触と優しい瞳を思い出し、一瞬ドキッと胸が高鳴るが、すぐに現実に引き戻された。
ま、まさかお母様ったら、また変なことを考えているんじゃ……。
そうだわ、ここへ来てすっかり忘れていたけど、お母様はとてもちゃっかりした性格だった。
ふと以前あった出来事を思い出す。
珍しく子爵家の領地に訪れていたとある高位貴族の令息が、私に社交辞令を言ったことが発端だった。
お母様はここぞとばかりにその令息と私のご縁を繋げようとあれこれ画策し始めたのだ。
いくら私のためとはいえ、お父様もトーマスも呆れ返っていたっけ。
放っておくと暴走しかねない。
「え、ええ、もちろん、素敵な公子様にお仕えできて光栄ですわ。それよりも、ここはこの街1番のカフェなんですよ。美味しいスイーツを頂きましょうよ!」
「アリシアの言う通りさ。さあケーキでも食べよう」
すかさずフォローに入ってくれたお父様と一緒に、お母様の気を逸らすべくメニューを広げる。
ああ、なんだかこの感じ懐かしい。
天然な上に無鉄砲すぎるお母様に翻弄されながら、お父様と二人でどれだけフォローしてきたことか。
それでも、その明るさに家族や領民たちまでもが癒やされ元気をもらっている。
こんなに素敵な家族を持てたのは、過去3度の人生を含めて初めてだ。
そんなことを思い返し、改めて幸せな気持ちになる。
その大切な家族や領地に、ミハイル様はたくさんの優しい贈り物をしてくださるなんて……!
明日仕事に戻ったらお礼を言わなくちゃ。
そうして、ミハイル様に心から感謝しつつ、家族水入らずの時間を楽しんだのだった。
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