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本編
24、薬草の部屋
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それからというもの、聖力を高めるレッスンや泉の間での祈りの儀式など、ありとあらゆる教えを受けてあっという間に数日が過ぎた。
だんだんとルーティンが分かってきて順応してしまっている自分が憎い。うう。
どうしたって私を王宮に帰す気はないみたいだ。
相変わらず皆は丁寧に優しく接してくれるけれど、もうそろそろ限界。
そこで私は決心したのだ。
こうなったら、自力で脱出してやるっ!
今日は泉の間へ行く途中に理由をつけて、なんとかマーシャから離れることに成功した。
こそこそと、でも張り切って廊下を歩き回る。
とはいえ、この神殿ってどこに行っても変わり映えがしなくて、目印になるようなものがないのよね。
まるで迷路みたいなの。
それにしても、出口らしきものが全く見つからない……。
半ばヤケになって歩いていると、前方の曲がり角の方からこちらにやってくる足音が聞こえてきた。
や、やばい!見つかったら怒られるかも!
慌てた私は急いで近くの扉を開けて飛び込む。
この神殿の中は、許可を受けた面会の時以外は部外者が立ち入り禁止にされているため、各部屋の施錠は基本的に行われていない。
初めてここへ来た時に王宮とは違う慣習に戸惑ったものだ。
だって、あまりにも同じような扉ばかりだから、ある時、自分の部屋と間違えて他の部屋に入ってしまったの。
そうしたら……男女の神官さんたちがラブラブな場面に遭遇してしまって――――!!
そのあとは、二人にものすごい勢いで誰にも言わないでほしいと懇願された。
神官て恋愛禁止だったと思うんだけど、彼らから聞いたところによると、この国はルールがものすごく緩くて、みんな普通に健全に恋愛を楽しんでいるらしい。
それでいいのかしら……?
と思いながらも、カップルの神官さんたちから、ここでは自由に食べられないスイーツやら高級食材を使ったディナーやら美味しいお酒まで振る舞われて、私もそっと口を噤んでしまった。
ま、まあ、いいよね、健全に恋愛するくらい。
人を愛することを知ってこそ人に優しくできるわけだし、愛に溢れた国の方が幸せだもの!
そう自分を無理やり納得させて以来、部屋の出入りには気をつけていたのだ。
逃げ込んだ部屋の中は薄暗く、誰もいない静かな場所だった。
ふう、ちょうど誰もいないところで良かった。
じっとして扉越しに聞き耳を立てながら、足音が遠ざかっていくのを確認して息をつく。
やれやれ、危なかった。
ホッとして辺りを見回すと、暗さに目が慣れたのか部屋の奥まで見渡せるようになっていた。
ん??
部屋のあちこちに、こんもりとした影が見える。
あれはなんだろう、それにこの独特な匂いって……。
好奇心が抑えきれずそのこんもりとした影に近寄ってみると、あったのはなんと大量の薬草の束。
それも私の背丈をゆうゆうと超えるほどの山がいくつも連なっている。
うわ~!シエラが喜びそう!
やっぱり神殿だから、回復の薬草なんかを使って奉仕活動に役立てているのかな。
シエラが前に説明してくれたのも、熱や痛みに効果があるとかなんとか言っていたような……。
きっと神殿で扱うものなら貴重な薬草なんだろう。
じーっと薬草の山を見ながら歩いていると、ひときわ強烈な匂いを発している草の束があった。
こ、これは、今までの人生で嗅いだことのないような独特な香りだな。
よくよく見ると、他の薬草とは違って赤い実のようなものまでついている。
うん、きっと貴重なものに違いない。
薬草にも色々種類があるみたいだものね。
あの時、熱弁していたシエラの様子を思い出す。
ああ、ここに来たのがシエラだったらどんなに喜んだだろうか。
そう考えていたのも束の間、私はハッと思い出す。
あら、いけない。
こんなことしてる場合じゃないよね。
今頃マーシャが逸れた私を探してるかもしれない。
長い時間離れて怪しまれるのもよくないし、今日はこのくらいにして戻ろう。
廊下に誰もいないことを確認して部屋から出た。
よし、戻ろう。
えーと来た方向はあっちだったよね。
そう思い、回れ右をして歩き出そうとした瞬間、後ろから大声で名前を呼ばれた。
「レイラ様!」
ぎゃあっ!!
びっくりして振り返ると、そこには同じくらいびっくりした顔をしているマーシャがいた。
「レイラ様! こんなところにいらしたのですか!」
「あ、ご、ごめん。なんか迷っちゃって」
愛想笑いをしながら言う私にマーシャは近寄り、心配そうに顔を覗き込んでくる。
「大丈夫でしたか?」
「え、ええ、大丈夫よ」
「体調でもお悪いのですか?」
「べ、別にそんなんじゃ、ないよ」
まさか出口を探してたなんて言えない。
とはいえ神官に嘘なんて言えないよね……!
そんな風に悶々としていたら、慌てた私の様子を感じ取ったのか、マーシャが鋭い視線で見つめてくる。
「レイラ様……まさかおサボりしようとしたのでは……!」
「そ、そそそそんなこと、」
ない、と言ったら嘘になっちゃう……!
――――――。
その後はマーシャに手を引かれそのまま私の部屋まで戻り、こっぴどくお説教を受けた。
普段は優しいけれど、こういうときのマーシャは容赦ないのだ。
この短い時間の中でも彼女のことを理解しつつある。
真面目で自分の役目を放棄することを許さない。
彼女が重きを置いているのは常に、国民たちの幸せと国の安寧だ。
いつもはすごく優しい分、こういう時はちょっと怖いのよね……。
でもそのおかげで、自分の部屋からあの薬草部屋までの道はしっかり覚えられたもんね♪
こうして少しずつ神殿の中を覚えていけば、出口に到達できるかもしれない。
そう思うと少し希望が見えてくるような気がした。
だんだんとルーティンが分かってきて順応してしまっている自分が憎い。うう。
どうしたって私を王宮に帰す気はないみたいだ。
相変わらず皆は丁寧に優しく接してくれるけれど、もうそろそろ限界。
そこで私は決心したのだ。
こうなったら、自力で脱出してやるっ!
今日は泉の間へ行く途中に理由をつけて、なんとかマーシャから離れることに成功した。
こそこそと、でも張り切って廊下を歩き回る。
とはいえ、この神殿ってどこに行っても変わり映えがしなくて、目印になるようなものがないのよね。
まるで迷路みたいなの。
それにしても、出口らしきものが全く見つからない……。
半ばヤケになって歩いていると、前方の曲がり角の方からこちらにやってくる足音が聞こえてきた。
や、やばい!見つかったら怒られるかも!
慌てた私は急いで近くの扉を開けて飛び込む。
この神殿の中は、許可を受けた面会の時以外は部外者が立ち入り禁止にされているため、各部屋の施錠は基本的に行われていない。
初めてここへ来た時に王宮とは違う慣習に戸惑ったものだ。
だって、あまりにも同じような扉ばかりだから、ある時、自分の部屋と間違えて他の部屋に入ってしまったの。
そうしたら……男女の神官さんたちがラブラブな場面に遭遇してしまって――――!!
そのあとは、二人にものすごい勢いで誰にも言わないでほしいと懇願された。
神官て恋愛禁止だったと思うんだけど、彼らから聞いたところによると、この国はルールがものすごく緩くて、みんな普通に健全に恋愛を楽しんでいるらしい。
それでいいのかしら……?
と思いながらも、カップルの神官さんたちから、ここでは自由に食べられないスイーツやら高級食材を使ったディナーやら美味しいお酒まで振る舞われて、私もそっと口を噤んでしまった。
ま、まあ、いいよね、健全に恋愛するくらい。
人を愛することを知ってこそ人に優しくできるわけだし、愛に溢れた国の方が幸せだもの!
そう自分を無理やり納得させて以来、部屋の出入りには気をつけていたのだ。
逃げ込んだ部屋の中は薄暗く、誰もいない静かな場所だった。
ふう、ちょうど誰もいないところで良かった。
じっとして扉越しに聞き耳を立てながら、足音が遠ざかっていくのを確認して息をつく。
やれやれ、危なかった。
ホッとして辺りを見回すと、暗さに目が慣れたのか部屋の奥まで見渡せるようになっていた。
ん??
部屋のあちこちに、こんもりとした影が見える。
あれはなんだろう、それにこの独特な匂いって……。
好奇心が抑えきれずそのこんもりとした影に近寄ってみると、あったのはなんと大量の薬草の束。
それも私の背丈をゆうゆうと超えるほどの山がいくつも連なっている。
うわ~!シエラが喜びそう!
やっぱり神殿だから、回復の薬草なんかを使って奉仕活動に役立てているのかな。
シエラが前に説明してくれたのも、熱や痛みに効果があるとかなんとか言っていたような……。
きっと神殿で扱うものなら貴重な薬草なんだろう。
じーっと薬草の山を見ながら歩いていると、ひときわ強烈な匂いを発している草の束があった。
こ、これは、今までの人生で嗅いだことのないような独特な香りだな。
よくよく見ると、他の薬草とは違って赤い実のようなものまでついている。
うん、きっと貴重なものに違いない。
薬草にも色々種類があるみたいだものね。
あの時、熱弁していたシエラの様子を思い出す。
ああ、ここに来たのがシエラだったらどんなに喜んだだろうか。
そう考えていたのも束の間、私はハッと思い出す。
あら、いけない。
こんなことしてる場合じゃないよね。
今頃マーシャが逸れた私を探してるかもしれない。
長い時間離れて怪しまれるのもよくないし、今日はこのくらいにして戻ろう。
廊下に誰もいないことを確認して部屋から出た。
よし、戻ろう。
えーと来た方向はあっちだったよね。
そう思い、回れ右をして歩き出そうとした瞬間、後ろから大声で名前を呼ばれた。
「レイラ様!」
ぎゃあっ!!
びっくりして振り返ると、そこには同じくらいびっくりした顔をしているマーシャがいた。
「レイラ様! こんなところにいらしたのですか!」
「あ、ご、ごめん。なんか迷っちゃって」
愛想笑いをしながら言う私にマーシャは近寄り、心配そうに顔を覗き込んでくる。
「大丈夫でしたか?」
「え、ええ、大丈夫よ」
「体調でもお悪いのですか?」
「べ、別にそんなんじゃ、ないよ」
まさか出口を探してたなんて言えない。
とはいえ神官に嘘なんて言えないよね……!
そんな風に悶々としていたら、慌てた私の様子を感じ取ったのか、マーシャが鋭い視線で見つめてくる。
「レイラ様……まさかおサボりしようとしたのでは……!」
「そ、そそそそんなこと、」
ない、と言ったら嘘になっちゃう……!
――――――。
その後はマーシャに手を引かれそのまま私の部屋まで戻り、こっぴどくお説教を受けた。
普段は優しいけれど、こういうときのマーシャは容赦ないのだ。
この短い時間の中でも彼女のことを理解しつつある。
真面目で自分の役目を放棄することを許さない。
彼女が重きを置いているのは常に、国民たちの幸せと国の安寧だ。
いつもはすごく優しい分、こういう時はちょっと怖いのよね……。
でもそのおかげで、自分の部屋からあの薬草部屋までの道はしっかり覚えられたもんね♪
こうして少しずつ神殿の中を覚えていけば、出口に到達できるかもしれない。
そう思うと少し希望が見えてくるような気がした。
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