白宮の聖女

sara

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第四章 罰

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「でも、ぼくじゃなくてタランが…」
「あなたがタランをそそのかしたのでしょう」
 カガリに自分の部屋を出ることも禁止にされた後、ようやく会うことが出来た聖女の冷たい声にロウエルは焦った。
「いいと言うまで、わたしに触れることを許しません」
 今までもサディアスにたしなめられることはあったが、ここまで突き放されるのは初めての事だった。
「もう嫌がるようなことはしないから許して」
 ロウエルは哀れっぽく言ったがサディアスの表情が緩むことは無かった。
 ロウエルは狼狽えて同席していたカガリを見たが、彼も苦々しく見返してくるだけだった。
 ロウエルは聖人が自分を見殺しにするようなことはしないだろうと思いながらも、最愛の人から拒絶されている事実に絶望した。

 それからサディアスに触ることを制限されたロウエルは生きるために出来るだけ彼女に付き従い、少しでも近くにいた。
 彼女が許可しただけの接触で細々と神聖力を流し込んで貰っていたが、日を増すごとにやつれていった。普段は多い口数も徐々に減る。
 陶酔する女性から、そこら辺の民と同じような扱いをされるのが耐え難かったし、なにより他の供奉人がサディアスに神聖力を施されているそばにいることは屈辱だった。あんなに見たがっていたサディアスの扇情的な姿も、飢えた状態では余計に渇きを募らせるだけだった。それでも行為中のサディアスからは近くにいるだけでもわずかに神聖力を得られたし、気分が良くなった彼女が差し出す手や足の甲に口づけるチャンスを逃すことは出来なかった。

 10日目。ロウエルはソファでサディアスからの抱擁をただ受けていた。腕を回し抱き返したいが、それも許可が無いと出来ない。罰が始まった当初は反射的に触ろうとするので何度も止められた。体が辛い。5日目以降、限界を何度も更新していた。
「舌を出して」
 その言葉に期待を込めて出来るだけ舌を出す。サディアスがロウエルの舌に自分の舌を絡める。ロウエルは思わず動かしそうになるのを震えながら我慢した。少しでも聖女の機嫌を損ねるようなことは避けたかった。口づけは3日ぶりだ。出来るだけ長く続けて欲しかった。
「さすがにキスはぼくも動かないとつまらないんじゃない?」
 サディアスが離れるとロウエルが期待を込めて問いかける。
「そうでもないわ」
 微笑むサディアスをみてロウエルは絶望した。
「お願い。もう許して」
 懇願するロウエルの目には涙が滲んでいた。「つらくて死にそう」
 それでもサディアスはロウエルの手を握って微笑むだけだった。
「あなたは私のためなら何でもできるんでしょう?」

 13日目。朝。もうベッドから起き上がることも出来ずにいた。いつの間にかまた寝ていたのか、意識を失ったのか、もう一度重いまぶたを開けた時にはサディアスの腕の中だった。添い寝をしていた相手が目覚めたことがわかると彼女はロウエルの頬を撫でた。優しい碧色の瞳が自分を覗き込んできた時、ロウエルは何故か怯えた。
「もう許してくれる?」
 ロウエルはかすれた声を出した。自分の中の神聖力の底を感じて、命の危機を感じていた。
「ぼくのこと嫌いになったの?」
 それならこのまま死んでもいいな。とロウエルは思った。サディアスの腕の中が最後の場所なら悪くない。
 聖女は何かを考えている様子だったが「首から上だけ許す」と言うとロウエルに口づける。
 自ら触れる許しを得たロウエルの口は必死にサディアスを求めた。
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