白宮の聖女

sara

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第八章 忠僕の契り

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 隣国との国境で武力衝突が起ったとの知らせが国中に広がり民をざわめかせていた。
 いつもより慌ただしく人々が行き合う王都。
その喧騒は白宮には届かず、宮の主はいつも通り自分の部屋の長椅子でくつろいでいた。
聖人の力は各国最大の機密事項であった為、外交問題が発生しているときほど、聖女は神殿と国に動きを制限される。
 サディアスは自分の奇跡の特性から戦ごとの度に、なにか役立てないかと思うのだが今は出来るだけ大人しくすることが聖人の責任とされた。


「今日は珍しく誰も来ないわね」

 サディアスが頬杖をついて従者に話しかける。

「私が禁じましたから」

 机で書類に目を通していたカガリはなんの気なしに答えた。

「どうして?」

「たまにはゆっくりされたらいい」

 その返答を不思議に思って、カガリの顔色を伺うと彼は眉間にシワを寄せ、紙になにか書き込んでいた。

「忙しそうね」
 
「少し…」

 従者は書類を巻いてテーブルの隅に寄せると眼鏡を外して、つらそうに目頭を指で押さえる。
 サディアスはゆっくりと立ち上がるとカガリの後ろに立ち、小さな手で彼の両目を覆う。カガリは手から伝わる温もりが疲労を癒すのを感じた。

「視力を良くすることはできますか?」

「生まれつきの問題は癒せないわ。神が望まれたものだから」

 知っているはずのことを真面目に答える。

「ずっと力を注ぎ続けたらもしかしたら良くなるかもね」

 そんなはずはないのだが、サディアスはいたずらっぽく言った。

「では、試してみなくてはな」

 カガリは彼女の手を取ると口づけをした。サディアスは少し驚いたがすぐに笑顔になる。

「ゆっくりさせる気なんて無かったみたいね」

 カガリも笑みを浮かべるとサディアスを抱きかかえ、2人は口づけしながら寝室へ向かった。


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