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第十章 掌中の珠
Ⅰ
しおりを挟むロウエルが白宮の廊下を鼻歌交じりで歩いていると、目当ての部屋の隣の扉から出てきたカガリがこちらに気づいた。
聖女の従者はいつも供奉人が神聖力を求めてサディアスを訪ねてくると隣の部屋か、扉の前に控えるのだ。
カガリがここにいるということは、今は誰かがサディアスと共にいるのだろう。引き返そうと思ったが、思い直してカガリの元へ向かう。
わずかに怪訝な顔をしたカガリの隣に並ぶと遠くの方から小さく甘い声が聞こえる。
「これ聞いててよく耐えられるね。ぼくだったら毎回混ざりにいっちゃう」
「……お前たちとは違うからな」
からかうロウエルに、カガリは見向きもせずに応える。
「力をもらわなくても生きていけるもんね。それとも自分は特別ってこと?」
従者は顔色を変えず、返事もしない。
「ぼくはサディアスがいないと生きていけなくなって幸せ。一生サディアスと一緒にいられるし、死ぬときも一緒。よかったー。サディアスがいない世界で生きるなんて考えられない」
ロウエルは従者に挑発的な目線を送る。それでも動じないカガリに、次は何を言ってやろうかと考える。
「長い事一緒にいるんでしょ?子どもの頃とか知ってるの?」
「さあな」
「ずるいなぁ。2人の秘密?嫉妬しちゃう」
「また変なことするなよ」
やっとロウエルの方を見たカガリは僅かに苛立っている様に見える。
「はいはい。骨身に沁みてますよ」
「ならいい」
両手を上げて降参するロウエルを一瞥すると目線を廊下の先に戻す。
「じゃあ今日は大人しく帰りますか」
肩をすくめてカガリに背を向けたロウエルは、何かを企んでいるような顔をしていた。
*
ある晩、ロウエルが部屋にやってきた。彼はカガリが退出するのを待ってから、隠し持っていた酒の瓶を披露した。
「美味しいお酒が手に入ったんだ」
「……媚薬入りじゃないでしょうね」
サディアスが警戒するとロウエルはにやける。
「それはまた今度ね」
注がれたお酒を一口飲んでみると確かに美味しかった。あまり飲む機会がないサディアスにも甘くて飲みやすい。
長椅子に座るロウエルの腕に身を預けながら、しばらくお酒を酌み交わして談笑する。ロウエルはこういった何気ない時間を好んで、よく評判の茶葉や珍しいお菓子などを持って現れた。
そして今回持ってきた酒は、サディアスの体温をすぐに上げて酔いをもたらした。
「赤くなってるよ。かわいい」
ロウエルが頭や頬に何度も口づけてくる。そしてまた取り留めのない小話をする。
「そういえばさ、カガリは時々風邪ひいたりしてるよね。神聖力はあげないことになってるの?」
急な問いかけに聖女は返答に困る。
「…カガリが嫌がるから」
それは事実だった。
カガリは他の人がいる前では常に従者であり続けた。誰かが現れる可能性がある時も。ということは、ほぼすべての時間だ。神聖力を渡せるような触れ合いは滅多に無い。
「寝室の声って部屋の外まで届いてるの知ってる?いつもカガリは扉の前でつらそうにしてるんだけどなぁ」
2人で扉の方を見た。ロウエルの言ってることは嘘だろうということはわかっていた。カガリは常に冷静で自分の立場をわきまえている。腹立たしいことに。
「だからさ、ちょっと意地悪しない?今日はいつもより聞かせてあげようよ」
いつもなら断るロウエルの申し出にも、お酒がまわっている今日は乗り気になった。
*
2人は寝室に向かわず、そのまま長椅子の上で、深く口づけをしながら衣服を脱がせ合う。
いつもは日常を過ごす場所で淫らなことをするのは、中々に興奮した。
ロウエルはサディアスの唇で肌の柔らかさを感じ、耳で吐息と混ざる甘い声を聴くのが至福で、より長くそれを楽しむために前戯にかなり時間をかける。が、今日はすぐにでも挿入たい気分だった。
ここでの音は、寝室での情事よりも鮮明にカガリに聞こえるだろう。その事にロウエル自身も煽られている。
深く口付けをし、胸をほぐす。聖女の濡れた唇から甘い声が漏れ始めたころに、長椅子に座らせた。彼女の股を大きく開かせ、足も長椅子にあげる。ロウエルに突き出すような姿勢で空気に曝された秘部はすでに愛液を垂らしている。
「いつもより感じてるね。お酒のせい?それともあの堅物が扉の向こうで、一人で欲情してるって想像したら濡れる?」
そう言いながら指で割れ目をいらう。わざと水音が鳴るように指2本を谷間にそって往復させる。
「わかるよ。いつもすましてる人が欲情してる姿って考えるだけで興奮するよね」
神殿での正装に身を包み、神に祈りを捧げるサディアスの姿を思い浮かべる。貞淑で気品に溢れた彼女が、今は目の前で自分に陰部を差し出してロウエルが与える快楽に身を任せている。その姿は体が震えるほど魅力的だ。
陰部に指を差し込むと空気を入れるようにかき混ぜる。部屋に淫らな音と喘ぎ声が響く。
ロウエルはたまらなくなってサディアスを椅子から立たせ、自分が椅子に座る。
察したサディアスは自ら跪いて、先端に蜜を溜めて待ち望む肉棒に舌を伸ばす。何度も音をたて舐めあげると、ロウエルの口から熱い吐息と声が漏れる。
聖女の口の中に迎えられ擦り上げるたびにいやらしい水音がして、ロウエルの耳が敏感になるようだった。扉の外で聞かされるのはさぞ辛いだろう。さらに欲望が膨れ上がる。
サディアスに口を離すように合図すると、自分の膝に座るように促した。
聖女は導かれるままに背を向けて座る様に腰を落とし蜜壺に棒を咥え込んだ。快感に震える聖女の肩に甘噛をすると、小さく悲鳴をあげた。
すべて収まると足を開き、四肢で聖女の全身を支えて腰を突き出す。
サディアスの腹に手を回すと跳ねさせるように体を動かす。彼女は小さく飛び上がっては落ちてくる動作の度に声が上がる。先端が最奥に当たる。彼女の体重と柔らかい体を感じ多幸感が募る。
「ほら入口に向いてるから、今カガリが入ってきたら僕たちが繋がってる所が見えちゃうね」
サディアスの膣が絞まるのを感じる。
こんなことで興奮しちゃうんだね。とロウエルの心に黒い感情が沸き起こった。
「見せちゃおっか?そしたら混ざってくれるかなぁ」
そういうと、聖女は懸命に首を振る。溢れる蜜がロウエルの尻の方まで垂れているの。膣内の痙攣と収縮、力が流れ込む量で聖女が何度も細く絶頂しているのがわかる。喉を仰け反らせてよがっている。
「これ、気持ちいいね。またしてくれる?」
そう問いかけるがサディアスの耳にはもう届いてはいないみたいだった。
キツく絞められ、快感の限界と神聖力が満ちたことを感じ、強く打ち上げて奥で果てた。聖女の真っ赤な体が脱力する。それを支えると、熱を帯びた目をした聖女が口づけをくれた。
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